研究分担者 |
GEOGUIEV Ivo アルバータ大学経営学部, 助手
FINN Adam アルバータ大学, 経営学部, 助教授
NAKAMURA Mas アルバータ大学, 経営学部, 教授
HOSKINS Coli アルバータ大学, 経営学部, 教授
MCFADYEN Stu アルバータ大学, 経営学部, 教授
伊東 暁人 静岡大学, 人文学部, 助教授 (40242755)
岩本 武和 京都大学, 経済学部, 助教授 (80223428)
鳥畑 與一 (鳥畑 与一) 静岡大学, 人文学部, 助教授 (60217594)
佐藤 誠二 静岡大学, 人文学部, 助教授 (10170755)
浅利 一郎 静岡大学, 人文学部, 教授 (50115432)
近 昭夫 九州大学, 経済学部, 教授 (20021826)
マサオ ナカムラ アルバータ大学, 経営学部, 教授
イヴォ グェオルギェフ アルバータ大学, 経営学部, 助手
アダム フィン アルバータ大学, 経営学部, 教授
コリン ホスキンス アルバータ大学, 経営学部, 教授
スチュワート マックファ アルバータ大学, 経営学部, 教授
土居 英二 静岡大学, 人文学部, 教授 (30126784)
|
研究概要 |
本国際共同研究2年目の本年度は、初年度の日本-カナダ経済関係に関する基礎資料調査および初年度のカナダ側スタッフの来日調査の研究成果を踏まえ、カナダにおける主要な日系企業の調査をカナダ・アルバ-タ大学スタッフとの共同調査・共同研究としておこなった。 1994年7月26日から8月12日にかけてカナダ東部およびカナダ・アルバ-タ州およびブリテイッシュ・コロンビア州において調査旅行をおこなった。カナダ東部トロントではカナダ連邦政府Industry Canadaにおいて連邦政府レベルでの日本-カダナ経済問題、日本企業誘致政策、北米自由貿易協定と環太平洋経済圏の関係などについて担当官へ面会ヒヤリング調査をおこなった。また、カナダ連邦政府Statistics Canadaでは日本で入手しがたいカナダ関係統計資料の収集をおこなうだけでなく、直接統計作成部門の担当官に面会しヒヤリング調査をおこなった。ヒヤリング調査した担当官の個人的見解のレベルではあるが、カナダ政府関係者の認識はある意味で日本-カナダ経済関係は転換期にあるというものであった。すなわち、第1に、従来の日本-カナダ間の貿易関係は、カナダから原材料・エネルギーの輸入、日本から工業製品の輸出という垂直的な相互補完関係であったが、カナダ政府は、主要な製造業7業種製品の日本への製品輸出拡大をめざし「対日アクション・プラン」を公表し輸出構造の転換をはかっており、一定の成果をあげつつある。第2に、日本からの直接投資も西部諸州への資源・エネルギー関係の直接投資から東部諸州の製造業・金融・サービス業への投資が増加してきており、1993年で71件5億6200万ドルにのぼってきている。第3に、この間の国際経済関係の変化が日本-カナダ経済関係にも反映してきている。1989年発効した北米自由貿易協定は、日本からカナダへの直接投資の比重を、資源・エネルギー関係をのぞいて、低下させており、この傾向は長期にわたつて続くものを考えられる。また、カナダ側から見ると、カナダ政府が発表した「太平洋2000年戦略」のなかでは、日本は急成長するアジア経済の中心の一つではあるがやはりその重要性は相対的に低下させてきていることも否めない。日本-カナダ経済関係は、カナダにとっては輸出入ともに貿易相手国で第2位、日本にとってカナダは輸出で第13位、輸入で第9位(いずれも1993年通関統計)であり、今後も両国の経済関係は変化を遂げつつもその重要度を増すことは間違いない。 カナダ東部オンタリオ州ではトヨタ自動車、サンヨ-電気の現地企業および東京銀行支店など日本の主要製造業を、カナダ西部諸州では大昭和製紙、王子製紙、三井物産の現地会社あるいは支社など資源関連企業を訪問調査した。東部の日系製造業は北米自由貿易協定以後、北米市場におけるカナダ現地企業の位置・役割の再検討時期に入つてきていることが共通してみられた。それに対し、資源関係への直接投資は、それ自体に日本経済にたいする意味をもつており、またカナダ現地の地域経済にとつても重要な役割を果たしていることが確認できた。なお、今回の調査報告の詳細は、「日本企業のカナダ進出の現状に関するヒヤリング調査報告」(静岡大学『法経研究』43巻3号,1994年11月)にまとめてある。 以上の国際共同研究の成果をふまえ、今後は以下の課題を設定して研究成果をまとめる予定でいる。すなわち第1に、日本の直接投資がカナダ経済に与える影響を、雇用、所得形成、技術関連、地域経済について実証的かつ統計的に解明する作業を継続する。第2に、カナダ・アルバ-タ大学の共同研究スタッフは、日本におけるカナダ系企業の直接投資の現状とあらたなマスメデイアをとおした日本-カナダ経済関係の発展に調査研究の直接的な焦点を絞ってその研究成果を整理していく予定でいる。第3に、これまでの研究成果を一層発展させる基礎が,日本側スタッフおよびカナダ側スタッフの間でできあがっているので今後も研究視野を広げて共同研究を継続するつもりである。
|