研究課題/領域番号 |
05044023
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
森田 道也 学習院大学, 経済学部, 教授 (10095490)
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研究分担者 |
宮川 公男 麗澤大学, 国際経済学部, 教授 (60017473)
松井 美樹 横浜国立大学, 経営学部, 助教授 (70173789)
趙 家林 麗澤大学, 国際経済学部, 専任講師
佐藤 修 東京経済大学, 経営学部, 助教授 (50170725)
児玉 文雄 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20016538)
ZHAO Jin lin Reitaku University, Lecturer
柴田 絋一郎 財団法人機械振興協会経済研究所, 調査部長
柴田 紘一郎 (財)機械振興協会, 経済研究所, 調査部長
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
19,500千円 (直接経費: 19,500千円)
1995年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1994年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1993年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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キーワード | 連動経営 / 優良な経営 / 世界的水準製造企業 / リーン生産 / コミュニケーション・システム / 経営風土 / ミドルマネジメント / 経営の国際比較 / 優良製造企業 / 経営特性 / 連動性 / 学習力 / 世界的水準製造 / 相互依存関係 / 平行的格差 / 経営の構築論理 |
研究概要 |
本研究は、平成5年度より平成7年度まで継続的におこなわれた。本研究の成果は下記の通りである。 ・経営研究のための国際的データ・ベースの構築: 本研究は、日本、米国、イタリア、英国、ドイツの5ヶ国の大学の研究者の共同研究であるが、各国の研究グループが各々の国における、一般機械、電気機器、自動車3業種の優良(世界的水準)製造企業と無作為抽出企業の同一形式の調査をもとに進めることでスタートした。現在までに、日本、米国、イタリアの調査は完了し、各々、46社(優良32社、無作為抽出14社)、30社(優良15社、無作為15社)、34社(優良17社、無作為抽出17社)のデータ・ベースが構築された。英国については10数社が完了し、ドイツは実際の研究スタートが遅れたために本年度より来年度にかけて調査が完了する状態にとどまった。上記3ヶ国の調査データについては研究に供される状態になっている。 ・分析成果: 研究成果の主な内容は、まず事業所経営が企業の競争力の源泉にあるという認識にたって、そこで優れた製造事業経営には共通する法則が存在するのかという経営の全体的視野からの研究の結果、それは存在するという発見である。それは運動構造という概念で要約できる特性であった。 製造企業経営での競争力をつくりあげる要因としては従来からいわれてきたことは、日本の優良製造企業経営の研究結果としてその「リーンさ」にあるというのが一般的な議論であった。しかしながら、多くの日本の企業の評価はそれに対してかんばしくない。表立ったさまざまな行動実践をあげるだけでは経営の特性をいったことにならないというのが大方の評価であった。 調査の結果として判明したことは、経営の歪さを含んでは強くならないという事実であった。現場でのQCサークル。JITシステム、品質管理の仕方などの個々の側面での優良さではなく、それが戦略的行動から現場までの行動体系を一貫した優秀性をもっていなければならない。また、個別の側面での経営成果に寄与する長期的な、優れた特性や機能ぶりは、そこだけの努力でできあがるのではなく、他の側面との同様の機能ぶりとの相互連携性が前提になる。 本研究では、経営の側面を現場での協力関係から事業所全体の戦略的行動性まで10の側面にわけて分析をおこなった。ある事業所と他の事業所を比較して、両者の格差があるときには、それはそれら10の経営側面すべてで格差があるという事実がわかった。ちまたにいわれる研究開発が優れていて、製造部門が弱いとか、「リーン」生産方式で中心的に重要と指摘されているJIT性が優れていれば、経営の格差がでるというものではない。経営を網羅する諸側面が他社の比して優れていることが「優良な」経営の基本的特性である。 この傾向は、米国およびイタリアのケースでもいえる。しかしながら、経営をおこなうパターンはどうやら各国で違いがあり、それは広い意味でコミュニケーション・スタイルに反映していることも判明した。広い意味でのコミュニケーション・スタイルとは、職務とか経営のマネジメントの水準の違う人々の間でのコミュニケーションの仕方を包含する。共通することは、経営のあらゆる側面での連動性を持つことが経営の中心課題であり、それを達成した企業が優れた経営をおこなっているという事実であるが、それをいかに達成するのかという点において人々の関係を含んだ文化的背景の違い、経営様式の違いが反映されるということである。日本のケースの連動経営の論理は把握した。 コミュニケーションの連動性が経営の連動性のベースになる。その場合に、重要なことは、組織成果を高めるように作用するコミュニケーションをつくりあげることで、単なるおしゃべりという意志疎通ではない。そえは長期、短期の計画の連動性、成功につながるコミュニケーションをいかに組織に根づかせるかということである。そこで重要な要としての役割はミドルマネジメントによって果たされなければならない。彼らのコミュニケーションの中枢の役割を果たすのである。
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