研究課題/領域番号 |
05044031
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 康夫 東北大学, 理学部, 教授 (00013483)
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研究分担者 |
TASSET Franc ラウエランジバン研究所, 主任研究員
ZEYEN Claude ラウエランジバン研究所, 主任研究員
伊藤 晋一 高エネルギー物理学研究所, 助手 (00221771)
中島 健次 日本学術振興会, 特別研究員
武田 全康 東北大学, 理学部, 助手 (70222099)
山田 和芳 東北大学, 理学部, 助教授 (70133923)
加倉井 和久 東京大学, 物性研究所, 助教授 (00204339)
池田 宏信 高エネルギー物理学研究所, 教授 (90013523)
藤井 保彦 東京大学, 物性研究所, 教授 (00013524)
西 正和 東京大学, 物性研究所, 助手 (90156034)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1994年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1993年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | 偏極中性子 / スピンエコー / 高感度エネルギー分光 / ポラリトメーター / スピン反転 / 偏極度解析 / 原子炉 / 3軸中性子分光装置 / 偏極中性子散乱研究 / 偏極モノクロメーター / 三軸中性子分光法 / スピンエコー法 / 高分解能中性子散乱法 / 三次元偏極解析 / パルス偏極中性子 / 冷中性子偏極 |
研究概要 |
今年は日仏共同研究の最終年度であり、初期の研究目標として建てた二つの柱の当面の完成の達成を心がけた。最初に結論を報告すると一つは目標通りかなりの成果をみたが、もう一つの方は思わぬ方向に事が運ぶこととなった。以下に少し詳しく述べることにする。 1.中性子スビンエコー法の新しい方法の開発 スピンエコー法と言うのは、中性子スピンを積極的に利用して、中性子スピンのラーモア才差運動を「時計」に使い、高感度エネルギー分光を行わせるものである。この方法は既に超低速中性子を用いる場合には完成した方法として良く知られている。しかしながら、熱中性子領域の実験として、特に3軸中性子分光装置とスピンエコー法とを組み合わせる技術は解決すべき多くの問題を抱えており、技術開発のみならず、技術的問題点を探ることすらなかなか行われていないのが実情である。幸いにして技術的に先行しているラウエ・ランジバン研究所(ILL)が原子炉改修のために長期間停止することにより、(ILL)からこの問題について日本との共同研究を打診してきたので我々も興味を持ってこの技術を修得することを目論んだ。最初は(ILL)のスピンエコー装置を東海村に持ち込み、その実験装置で研究する予定であったが、運搬の繁雑さ、及び(ILL)が希望する運送保険を我々が支払うとなると莫大な額になることが判明したので、最初の方針を変更して、国際学術研究費を使ってプロトタイプのスピンエコー装置を組み立てることにした。昨年中に設計、組み立てられた中性子スピン才差運動用の電磁石をJRR3原子炉5Gに設置された3軸型中性子分光装置に搭載し偏極中性子を用いてスピンエコーのシグナルが設計通りに得られることを先ず確かめた。5G中性子分光装置は高偏極度中性子が得られているので、十二分に性能テストを繰り返すことが出来、電磁石をはじめ、エコーを出すための全てのコンポーネントの性能試験結果得られ、最初の目的であるこの方法の問題点を探り出すことが出来た。その後、ほぼ半年間、問題解決に当り今度は実際に分光実験を同じく5G分光器を用いて行った。この実験によって典型物質からの散乱ビームのエコーシグナルを得ることが出来た。おそらく3軸分光器とスピンエコー装置と組み合わせた実験としては世界で最初のスピンエコーシグナルであろう。現在加倉井助教授が渡仏し(ILL)に於て5Gで得られたデータ解析
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を実行中である。 2.偏極中性子ポラリトメーターの開発 偏極中性子を磁性体に入射し中性子が散乱されると中性子スピン偏極も変わる事が知られている。スピンはベクトルとして取り扱えるので、スピン偏極の変化を厳密に促えようとすると3次元のスピン偏極度解析を行う必要がある。つまり3X=9の各成分について解析を必要とする。これは非常に大変なので或種の簡便化が必要で、その一つとして考えられたのがポラリトメーターである。中性子スピンの散乱の際のスピンフリップ過程を知れば対称性から各々の成分の相互関係が予測できるので入射中性子スピン方向を任意に制御したうえで解析すれば全部の成分を測る必要はない。このためには中性子スピンが資料の内部磁場だけでスピン反転することが保証されなければならない。この条件を満足するために資料を無磁場中に保持する装置が必要である。中性子スピンは電子スピンと比べると10^<-3>も小さいので弱い磁場でもスピン反転が起こってしまう。勿論偏極度の性能と得られる結果の感度とは比例関係にあるので我々がどの程度の精度で観測したいかによって零磁場の到達度も異なってくる。(ILL)では超伝動磁場遮蔽によって非常に高感度で実験が出来ることを既ににデモンストレイレションで示している。我々はこの方法を導入し、現実的に必要な感度にまで性能を落としてどう実験ができるか、また非弾性実験のために大きな試料を使うときにどの程度低感度で満足出来るかなど、基本的な実験を計画した。実験はJRR3の6Gに設置された分光装置を用いた。所が、6Gに据え付けた中性子偏極子の性能が初期の目標値を大幅に下回っていることが判明し他。その原因については今もって不明であるが、偏極子自信の性能が初めから良くなかったことが全ての過程を再検討した結果判明した。この偏極子は前回の国際共同研究で(ILL)に於て製作されたものであり、担当のMagerl博士と検討した結果、(ILL)でこの偏極子の処理を最初からやり直すこととなった。最終的にどの方法が最適か現在、技官の小野寺氏と武田助手が渡仏し(ILL)に於て実験中である。その検討を待って、先ず6Gの中性子偏極の性能試験から始めて初期の目標を達成することにしている。なお同時進行していたスーパーミラー偏極中性子の技術は(ILL)との協力によって或程度初期の目標に到達し、これを使って高エネルギー物理学研究所の中性子施設に於て偏極中性子分光実験を実施している。 隠す
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