広角サブミリ波望遠鏡を用いた南天銀河のサーベイ観測による銀河系の全体構造の研究

• 研究課題/領域番号: 05044033
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 共同研究
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 長谷川 哲夫 東京大学, 理学部, 助教授 (50134630)
• 研究分担者: DAME Thomas ハーバード, スミソニアン天体物理学センター, 教授 ; SHAVER Peter ヨーロッパ南天天文台, 教授 ; NYMAN Åke L. スウェーデン, ヨーロッパ南天天文台サブミリ波望遠鏡, 主任研究員 ; BOOTH Roy S. オンサラ天文台, 台長 ; 岡 朋治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 日本学術振興会特別研 ; 阪本 成一 東京大学, 理学部, 日本学術振興会特別研 ; 林 正彦 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 助教授 (10183914) ; 半田 利弘 東京大学, 理学部, 助手 (40202270) ; 祖父江 義明 東京大学, 理学部, 教授 (10022667) ; THOMAS M. Da ハーバード スミソニアン天体物理学センター, 教授 ; PETER A. Sha ヨーロッパ南天天文台, 教授 ; AKE L. Nyman スウェーデン=ESOサブミリ波望遠鏡, 主任研究員 ; ROY S. Booth オンサラ天文台, 台長
• 研究期間 (年度): 1993 – 1994
• 研究課題ステータス: 完了 (1994年度)
• 配分額: 14,000千円 (直接経費: 14,000千円); 1994年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円); 1993年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
• キーワード: サブミリ波望遠鏡 / 銀河面サーベイ / 銀河系の構造 / 星間物質 / 自動観測システム / 星の生成 / 銀河 / 銀河系 / 電波天文学 / ミリ波 / サブミリ波

研究概要

本計画は、チリ・ラシーヤにあるヨーロッパ南天天文台構内に、日米欧の研究者が協力して小型の専用望遠鏡を設置し、北半球からは観測できない南天の銀河(天の川)の観測を行い、既に長野県野辺山に設置されている同型の望遠鏡による北天銀河の観測結果と総合することで、波長1.3mmの一酸化炭素COのスペクトル線による銀河系の完全なサーベイを完成させることを目的としている。この観測結果を既に米国の研究者らによって得られている波長2.6mmの一酸化炭素スペクトル線によるサーベイ結果と比較することにより、星間分子ガスの物理状態および星形成活動の観点から見た、我々の銀河系の全体構造が明らかにされると期待される。この目的を果たすために、本年度は、2回にわたり日本からチリ・ラシーヤへ研究者を派遣し、平成5年度に現地に設置した60cmサブミリ波サーベイ望遠鏡の総合調整およびテスト観測を行った。
平成6年11月から12月には、主として、望遠鏡の総合調整および計算機環境整備を行った。主な調整項目と結果は以下の通りである。
1)アンテナ駆動部:アンテナ駆動系のサーボ回路に関してパラメータの最適化を行った。機械的には安定して動作し、完全に機能することを確認した。
2)光学ガイドシステム:電波望遠鏡のアンテナが正しく目的の方向を指向しているか確認するための光学ガイドシステムを調整し、同システムのCCDカメラによって撮像した星像を用いることで目的を達成できることを確認した。
3)望遠鏡制御用計算機:計算機と望遠鏡本体との電気的接続を確認し、制御用計算機からの指示どおりの動作が完全に実行されることを確認した。次に、望遠鏡制御ソフトウェアを調整し、天体追尾が完全に行われることを確認した。
4)データ集録用計算機:観測データを収容するためのワークステーションを立ち上げ、望遠鏡制御用計算機と接続した。この接続によって、観測データが自動的に転送されることを確認した。また、このワークステーションをヨーロッパ南天天文台構内の電子計算機ネットワークに接続し、同ネットワークを介して外部の計算機とデータ交換が可能であること、さらに、同ネットワークが接続しているInternetを介して、日本の三鷹および野辺山にあるワークステーションとデータ交換が可能であることを確認し、そのデータ転送能力を評価した。緊急時に限っては、オンラインでデータ交換するだけの能力を持つことがわかったが、当初の推定通り常時使用するには過負荷であるため、通常は光磁気ディスクなどの媒体を物理的に交換することによってデータ交換する必要があることが確認された。
以上を総合すると、当初の予定通り、チリの観測サイトに於いても、サブミリ波サーベイ望遠鏡としての基本性能を達成していることが確認できた。
平成7年2月から3月には、以下の調整を行った。
1)電波光学系:スウェーデン・ヨーロッパ南天天文台サブミリ波望遠鏡の研究グループより提供された受信器を望遠鏡に搭載した。電波光学系の調整を行い、太陽など強力な電波源である天体をテスト観測することによって、望遠鏡の電波光学性能が所定の仕様を達成していることを確認した。
2)超広帯域電波分光器:広い速度幅を持つ銀河中心の観測や南天銀河面サーベイを効率的に行うために、新たに超広帯域分光器を搬入した。現地にて最終調整を行い、所定の性能が出ていることが確認された。
以上の調整・確認によって、サブミリ波望遠鏡としての性能が達成されていることが確認された。この後、オリオン分子雲など比較的強いサブミリ波分子線源のテスト観測を行った結果、天文学的データを取得できるだけの性能を持つことが確認された。引き続いて、南天の銀河(天の川)の観測を開始した。
米国在住の共同研究者と2.6mm輝線データとの比較方法やデータ交換の方法について議論を行い、具体的な方法を確立した。また、1.3mm輝線観測が進行している領域のうち、対応する2.6mm輝線データが質的・量的に不十分である領域については、米国研究者側で再観測を行う方針である旨を確認した。現状で問題となっている具体的な天域について検討を行い、いくつかの領域については米国研究者の手によって再観測を実施することになった。

研究成果

• [文献書誌] T.Hasegawa et al.: "A Large-scale Cloud Collision in the Galactic Center molecular Cloud near Sagittarius B2" The Astrophysical Journal. 429. L77-L80 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Y.Sofue: "Giant Explosion at the Galactic Center and Huge Shocked Shells in the Halo" The Astrophysical Journal. 431. L91-L930 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T.Handa et al.: "Detection of a Circumstellar Gas around DM Tau;A Protoplanetary Disk around a Single Star?" The Astrophysical Journal. (印刷中). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] M.Hayashi et al.: "A C^<18>O(J=1-0) Survey of Protostellar Candidates Embedded in the Taurus Molecular Cloud" The Astrophysical Journal. 426. 234-239 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] S.Sakamoto et al.: "A Large Area CO(J=2-1) Mapping of the Giant Molecular Clouds in Orion" The Astrophysical Journal. 425. 641-652 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] K.Wada et al.: "Gasdynamical Approach to a Face-on View of the Milky Way" The Astrophysical Journal. 437. L123-L125 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T.Hasegawa et al.: "A Large-scale Cloud Collision in the Galactic Center Molecular Cloud near Sagittarius B2" the Astrophysical Journal. 429. L77-L80 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Y.Sofue: "Giant Explosion at the Galactic Center and Huge Shocked Shells in the Halo" the Astrophysical Journal. 431. L91-L93 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] T.Handa et al.: "Detection of a Circumstellar Gas around DM Tau ; A protoplanetary Disk around a Single Star?" the Astrophysical Journal. in press. (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] M.Hayashi et al.: "AC^<18>O (J=1-0) Survey of Protostellar Candidates Embedded in the Taurus Molecular Cloud" the Astrophysical Journal. 426. 234-239 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] S.Sakamoto et al.: "A Large Area CO (J=2-1) Mapping of the Giant Molecular Clouds in Orion" the Astrophysical Journal. 425. 641-652 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] K.Wada et al.: "Gasdyanamical Approach to a Face-on View of the Milky Way" the Astrophysical Journal. 437. L123-L125 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Hayashi,M.: "A Dynamically Accreting Gas Disk around H1 Tauri" Astrophysical Journal(Letters). 418. 71-74 (1993)
• [文献書誌] Hayashi,M.: "A C^<18>O(J=1-0) Survey of Protostellar Candidates Embedded in the Taurus Molecular Clouds" Astrophysical Journal. (印刷中). (1994)
• [文献書誌] Hayashi,M.: "A Clumpy Ring of CS(J=1-0) Emission around the S140 IR Cluster" Publications of the Astronomical Society of Japan. 44. 391-405 (1992)
• [文献書誌] Sakamoto,S.: "A Large Area CO(J=2-1)Mapping of the Giant Molecular Clouds in Orion" Astrophysical Journal. (印刷中). (1994)
• [文献書誌] Skrutskie,M.: "Detection of Circumstellar Gas associated with GG Tauri" Astrophysical Journal. 409. 422-428 (1993)
• [文献書誌] Ohashi,N.: "The Nobeyama Millimeter Array Survey for Protoplanetary Disks around Protostar Candidates and…" Astrophysics and Space Science. (印刷中). (1994)
• [文献書誌] Nyman,L.-A.: "Infrared and SiO Maser Observations of OH/1R Stars" Astronomy and Astrophysics. 280. 551-566 (1993)
• [文献書誌] Nyman,L.-A.: "Molecular Radio Line Survey of the Carbon Star 1RAS 15194-5115" Astronomy and Astrophysics. 269. 377-389 (1993)
• [文献書誌] Nyman,L.-A.: "A Survey of Circumstellar CO Emission from a Sample of 1RAS Point Sources" Astronomy and Astrophysics Supplement Series. 93. 121-150 (1992)
• [文献書誌] Olberg,M.: "A Molecular Outflow associated with Herbig-Haro Jet HH 46/47" Astronomy and Astrophysics. 259. 252-256 (1992)
• [文献書誌] Bergeron,J.: "Discovery of z〜l Galaxies Causing Quasar Absorption Lines" Astronomy and Astrophysics. 257. 417-424 (1992)
• [文献書誌] Dame,T.M.: "A Complete CO Survey of M31.I.Distribution and Kinematics" Astrophysical Journal. 418. 730-742 (1993)
• [文献書誌] Bertsch,D.L.: "Diffuse Gamma-Ray Emission in the Galactic Plane from Cosmic-Ray,Matter,and Photon Interactions" Astrophysical Journal. 416. 587-600 (1993)
• [文献書誌] Kitamura,Y.: "High-Resolution Observations of Turbulence in the Subcondensation TMC-lc in Heiles' Cloud 2: Estimation of the Velocity Spectrum of Turbulence" Astrophysical Journal. 413. 221-236 (1993)
• [文献書誌] Hasegawa,T.: "A Large-Scale Cloud Collision in the Galactic Center Molecular Cloud Near SGR B2" Astrophysical Journal(Letters). (印刷中).
• [文献書誌] Omodaka,T.: "Shocked Photodissociation Regions in the Orion Bright Bar" Astrophysical Journal. (印刷中).
• [文献書誌] Tatematsu,K.: "Molecular Cloud Cores in the Orion A Cloud.I.Nobeyama CS(1-0) Survey" Astrophysical Journal. 404. 643-662 (1993)
• [文献書誌] Hanawa,T.: "Effects of Magnetic Fields and Rotation on the Fragmentation of Filamentary Molecular Clouds: Compirison of the Theory with the Orion A Cloud" Astrophysical Journal(Letters). 404. 83-86 (1993)
• [文献書誌] Handa,T.: "A Gradient of the CO J=2-1/J=1-0 Intensity Ratio Over the Galactic Plane" AIP Conference Proceedings. 278. 315-318 (1993)
• [文献書誌] Sakamoto,S.: "A Large Area CO(J=2-1)Mapping of the Orion Giant Molecular Clouds" AIP Conference Proceedings. 278. 319-322 (1993)
• [文献書誌] Oka,T.: "CO(J=2-1)Observations of the Molecular Cloud Complex in the Galactic Center" AIP Conference Proceedings. 278. 50-51 (1993)