研究課題/領域番号 |
05044037
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福山 秀敏 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (10004441)
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研究分担者 |
LEE P.A. カリフォルニア州立大学, 教授
SCALAPINO D. マサチュセッツ工科大学, 教授
RICE T.M. スイス連邦工科大学(ETH), 教授
三宅 和正 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (90109265)
前川 禎通 名古屋大学, 工学部, 教授 (60005973)
永長 直人 東京大学, 工学部, 助教授 (60164406)
倉本 義夫 東北大学, 理学部, 教授 (70111250)
川上 則雄 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (10169683)
小形 正男 東京大学, 教養学部, 助教授 (60185501)
上田 和夫 東京大学, 物性研究所, 教授 (70114395)
今田 正俊 東京大学, 物性研究所, 助教授 (70143542)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1994年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 銅酸化物高温超伝導 / 重い電子 / 有機導体 / メソスコピック系 / t-Jモデル / ハバ-ドモデル / モット転移 / 分数統計 / アンダーソン局在 |
研究概要 |
現代の高度技術を支える半導体の物性の理解はバンド理論をもとに展開されてきた。即ち、現代の技術はバンド理論によって支えられていると言える。一方、重い電子系とそれが示す超伝導(1979年)、有機導体での超伝導(1980年)、分数量子ホール効果(1981年)、高温超伝導銅酸化物(1986年)等の強相関電子系に於ける新しい現象の発見はバンド理論だけでは理解の出来ない物質群の存在を明らかにした。このような物質群は基礎科学的に大変興味あると同時に将来の大きな実用的可能性が予想され、その物性の解明は現在の物性物理学の最重要課題のひとつであり、活発に研究されている。一方、この様な強相関電子系を理解するための理論的枠組を構築することは、物性理論ばかりでなく、理論物性学全体にとっての一大テーマである。従って、世界中で第1線の研究者が競って研究している。幸い我国では、この分野についての関心が永年高く又、研究者、特に若い活発な研究者に恵まれている。本研究は、1991〜93年度にはスイス工科大学の理論・実験グループと我国の理論研究者で構成された国際学術研究「強相関系の磁性と超伝導」が交付を受け、多大な効果をあげた。この経験をもとに、より大きな発展を期して我国の研究者とスイス及びアメリカに於ける強相関電子系の理論的研究に携わる中心的研究者との交流を持ち、我国の研究をより推進すると同時に将来ますます重要となる国際交流の基礎をより確固なものとすることを目的として、本研究は始まった。 強相関電子系の典型的な例として1.銅酸化物高温超伝導 2.遷移金属酸化物 3.重い電子系 4.有機導体 5.メソスコピック系がある。このうち1と2はモット転移近傍の異常金属状態と位置づけられ、とくに重要なデ-マであり、世界的な規模で広範な研究が続けられているが本研究グループの成果はその中核をなすと言っても過言ではない。実際本国際学術研究のメンバーは各自独自の思想に基づいた個性的な研究を強力に推進すると同時に、それをもとに本科学研究費による相互間の情報交換・討論を頻繁に行い共同研究の実を挙げた。本援助に心から誠意を表すと共に以下に各項に沿って実績の概略を述べる。 1.銅酸化物高温超伝導 2次元t-Jモデルに対する分子場による相図及び物理量の計算と高温超伝導体に於ける実験との詳細な比較(福山、永長、Lee)。とくにキャリア低濃度領域におけるスピン・ギャップの起源と諸物理量の示す異常性の相関についての統一的描像の提案(福山)。 ゲージ場の効果と2層構造に着目した分子場理論の試み(Lee)。 超伝導状態における電子励起とク-パ-対の対称性に対する数値的厳密対角化法による研究(前川)。 ダイマーハイゼンベルグ模型での反強磁性とスピン・ギャップ相の競合(今田)。 ホール係数が異常を示す温度領域についての考察(今田)。 スピンのゆらぎに注目した現象論的考察(三宅、上田)。 2次元ハバ-ドモデルに対するRPA近似による磁気的性質の究明(Scalapino)。 梯状t-Jモデルに於ける磁気励起の究明(Rice)。 1/N展開によるd-pモデルの研究(黒田)。 2次元t-Jモデルに対するGutwiller型変分関数による考察(小形)。 1次元t-Jモデルに対する変分関数による理解とそれの2次元系への拡張(小形)。 超対称1次元t-Jモデルの励起スペクトル(倉本)。 2.遷移金属酸化物 巨大磁気抵抗に対する無限次元模型による解析(今田)。 3.モット転移の理論 一体のスペクトルの分離の指摘(福山、小形)。 スケーリング則と電荷質量の発散とキャリア数消滅について(今田)。 無限次元上のハバ-ド・モデルの数値的くりこみ群による解析(倉本)。 4.重い電子系 無限次元上のアンダーソンモデルによる近藤絶縁体のスピン・電荷励起について(倉本)。 5.有機導体 (DCNQI)_2Cuに於けるモット転移とパイエルス転移の協力現象(福山)。 6.メソスコピック系 量子細線及び微小接合に於ける朝永、ラティンジャー液体状態とアンダーソン局在に伴う特異な輸送係数の究明(福山、小形、永長、川上)。とくに、量子化されたコンダクタンスが相互作用効果と乱れによって崩壊する過程を詳細に検討(福山、小形)。 朝永・ラティンジャー液体中の局所的欠陥について(永長)。
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