研究分担者 |
WINELAND D.J 標準技術研究所(NIST) (アメリカ), 主任研究員
MOORE R.Bob マクギル大学, 理学部・物理教室(カナダ), 教授
VALLI K. イバスキラ大学, 理学部・物理教室(フィンランド), 教授
WERTH Gunter マインツ大学, 理学部・物理学科(ドイツ), 教授
WOLLNIK Herm ギーセン大学, 理学部・物理教室(ドイツ), 教授
大谷 俊介 電気通信大学, レーザー極限研究センター, 教授 (60023735)
KLUGE Jurgen 重イオン研究所(GSI)原子物理部門(ドイツ), 主任
篠塚 勉 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 助手 (10134066)
藤岡 学 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 教授 (70016111)
永井 泰樹 東京工業大学, 理学部, 教授 (80028240)
福田 共和 東京大学, 原子核研究所, 助教授 (50116092)
田辺 徹美 東京大学, 原子核研究所, 助教授 (20013394)
久保野 茂 東京大学, 原子核研究所, 助手 (20126048)
宮地 孝 東京大学, 原子核研究所, 助手 (20013401)
川上 宏金 東京大学, 原子核研究所, 助手 (50013412)
和田 道治 東京大学, 原子核研究所, 助手 (50240560)
野村 亨 東京大学, 原子核研究所, 教授 (60087393)
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研究概要 |
本研究は量子光学分野で大きな発展をとげたイオントラップ中の蓄積イオンについての超精密測定技術を不安定原子核イオンに適用し、原子核に関する精度の高い知見を得ようとするものである。申請段階ではペニングトラップを用いた不安定核の質量測定と超微細異常の両者について実験の検討を行っていたが、海外側の責任者GSI・Kluge教授及びマクギル大学・Moore教授のコメントもあり、まずは超微細異常の測定を推進することとなった。これに伴い、外国共同研究者についても、この分野の世界の第一人者であるマインツ大学のWerth教授のグループと主として共同研究を行うこととなった。Werth教授のグループは^<153>Eu^+,^<43>Ca^+等の安定元素及び長寿命不安定核^<131>Ba^+,^<133>Ba^+について超微細定数を超高精度(10桁の精度)で測定を行い、また現在取り組んでいる。しかし加速器施設のオンライン型装置でない為、短寿命核イオンについては測定対象とすることができない。一方、東大原子核研究所のイオントラップはオンライン型を目指しており(現時点では、イオントラップとレーザー系の整備の為のオフライン測定を行っている)、近い将来サイクロトロンビームを用いて製造できるかなりの広い領域の不安定核を対象とすることができる。 今年度は以上の状況にあって次の3つの方向の活動を行った。(1)マインツ大学との協力によるレーザー・マイクロ波二重共鳴法(以下二重共鳴と略)の研究装置の開発,(2)核研サイクロトロン施設におけるイオントラップ実験を行う為の付帯装置の設計・整備,(3)当研究にかかわる物理面の進展についての調査、研究。(1)についてはマインツ大学Werth教授が来訪し、現在電通大レーザーセンターで進めている^<43>Ca^+の二重共鳴についてマインツ大学の結果と比較検討を行うことを含めて意見交換を行った。又、マインツ大学博士号取得奨学金生Dr.Beckerが来訪し、レーザー系の改良について共同作業を行っている。一方、マインツ大学の実験については核研・和田が訪れ、研究方向について意見交換を行った。また、平成6年9月にはマインツ大学の招聘により、電気通信大学博士課程学生が2ケ月間マインツ大学に滞在することが決まっている。(2)についてはサイクロトロン施設のイオントラップ実験コースのビーム輸送系の設計、一部装置の試作を行っており、これについては核研・和田がドイツ・ギ-セン大学を訪れ集中的な計算を行った。又、9月には同大学のWollnik教授が来訪し、さらに詳細設計について議論を行った。核研では又、サイクロトロンビームで製造した不安定原子核イオンをHeガス中に捕集し、それを高分解能、低エミッタンスでビームとして引き出すことのできる多重極ビーム輸送装置・SPIGを開発してきたが、この技術にかかわる国際協力として核研・田中技官をフィンランド・イバスキラ大学Valli教授のもとに派遣し、その交流を行った。(3)に関しては(a)イオントラップ全般、(b)イオン・電子及びイオン・中性原子衝突物理、(c)不安定原子核の構造とその研究の方向の以上について調査・意見交換を行った。(a)としては研究責任者・片山が米国ミシガン州立大学、テキサス大学、テキサスA&M大学、標準技術局(NIST)、コロラド大学を訪問し、この研究活動状況の調査を行った。この交流を通じてテキサスA&M大学・Schuessler教授が近く文部省招聘教授として核研に来訪・滞在し、共同研究を行うこととなった。NIST・Wineland主任研究員は今後の研究交流について協力を検討してくれることとなった。(b)としては核研・田辺がヨーロッパの研究状況について調査した。また、核研・宮地は近い将来のペニングトラップ実験で使用する強磁場中の半導体検出器についてヨーロッパの専門家と意見交換を行った。(c)としては核研・久保野及び福田、又、東工大・永井がドイツ・GSI研究所、フィンランド・イバスキラ大学を訪問し学術交流及び研究状況調査を行った。
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