研究課題/領域番号 |
05044054
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
田中 信男 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (60127165)
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研究分担者 |
BARNHART E.R 公衆保健局, 防疫センター(米国), 研究員
PATTERSON D. 公衆保健局, 防疫センター(米国), 室長
SVEC F. チェコ国立科学アカデミー, 高分子化学研究所, 室長
FRECHET J.M. コーネル大学, 化学教室(米国), 教授
横山 和成 農林水産省, 農業環境技術研究所, 研究員
細矢 憲 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (00209248)
FRECHET Jean m.j. Cornell University
SVEC Frantisek Czech Academy of Science
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | ポリマー充填剤 / 核酸分離 / 液体クロマトグラフィー |
研究概要 |
本共同研究においては(1)高速液体クロマトグラフィー用充填剤として使用される多孔性高分子充填剤の高性能化、(2)生体試料に適用可能な高分子材料の検索、(3)ロッド型の新しい分離メディアの開発、および(4)遺伝情報に悪影響を及ぼすとされる有機塩素化合物の生体試料あるいは環境からの濃縮およびその処理法の開発という遺伝関連巨大分子の分離・分取のために解決しなければならない4つの基礎的な項目について検討を行った。 1.多孔性高分子充填剤の高性能化 (1)従来懸濁重合法によって調製される粒子径の不均一な充填剤の持つ低いカラム性能、低いカラム安定性等の欠点を克服し、充填剤の高性能化を図るために、二段階膨潤重合法によって、粒子径均一充填剤を調製し、その性能について検討したところ、従来法で得られた充填剤の性能を大きく上回る充填剤が得られた。 (2)分離選択性にも大きな影響を与える多孔性充填剤の細孔径制御については、二段階膨潤重合法で使用した種ポリマーが希釈剤として機能することで、巨大分子の分離により適した、大きな細孔を有する充填剤が得られる場合があることを見いだし、重合法の特徴を生かした細孔径の制御方法を確立した。 2.生体試料に適用可能な高分子材料の検索 (1)グリセリンモノメタクリレートおよび架橋剤であるグリセリンジメタクリレートを用いて、粒子径均一粒子を与える二段階膨潤重合法で微小細孔を有する高速液体クロマトグラフィー用充填剤を調製した。得られた充填剤は逆相条件下で蛋白質などの親水性生体試料に保持を示さず、一方で疎水性低分子化合物に対しては十分な保持を示すことが明らかとなり、この充填剤は親水性生体試料を低分子化合物と分離し精製する際に極めて有効なものであることを確認した。 (2)この充填剤は十分に大きな細孔を有する場合にも上記の性質を発現することが明らかとなり、このことにより、一体型のロッドカラムへの応用が可能であることが分かった。 3.ロッド型の新しい分離メディアの開発 (1)ロッドカラムの調製は生体試料との適合性を考慮してPEEK製のカラム内で行った。外国側の共同研究者らが生体試料の分離用に開発したロッドカラムの製法に基づいて、PEEK製カラム内でのロッドポリマーの調製を試みたところ、十分に使用に耐えるカラムの調製が可能であることを確認した。 (2)得られたカラムが生体試料の分離に適した巨大細孔と低分子化合物の分離に適したミクロポアのみを有する細孔構造を持っていることを確認した。 (3)このポリマーロッドカラムに加えて、シリカゲルを基にした親水性ロッドカラムの調製も同時に検討した、得られたシリカゲルロッドカラムは比較的均質な大きさを持つ巨大流路を持ち、低分子化合物の分離にも比較的高いカラム効率を与えた。 4.有機塩素化合物の分離、処理に関する検討 (1)血中試料を液体クロマトグラフに直接注入して分析分取を行うためには血中の蛋白質を排除し、低分子化合物のみを保持する分離メディアが要求される。この血中試料の直接分析は、従来の煩雑な前処理を必要とする分析法の簡便化に寄与するのみならず、試料を直接分析することによるより正確な分析にも大きく寄与する。検討の結果、血中試料内に含まれるポリ塩素化ビフェニルの単離が可能であることが明らかとなった。 (2)単離した試料の低毒化を検討するために、濃縮したカラム上でのこれらの芳香族塩素化合物の光分解を実施した。その結果、例えば濃縮されたダイオキシンは紫外線のみならず太陽光によっても光分解を受けることが明らかとなり、これらの新しい分離メディアは単なる分離濃縮メディアだけではなく、反応のメディアとしても使用が可能であることが明らかとなり、開発したメディアの応用性を示すことが出来た。
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