研究分担者 |
SCHMIDT Rudi ドレスデン工科大学, 教授
SCHMIDTーOTT オット ウオルフ ディータ ゲッティンゲン大学, 物理第二研究所, 教授
HASS Michael ワイツマン研究所, 教授
MUNZENBERG G GSI, 主任研究員
LYNEN Uli GSI, 教授
足立 実 東京工業大学, 理学部, 原子核助手 (80016112)
藤田 佳孝 大阪大学, 理学部, 助手 (60093457)
石原 正泰 東京大学, 理学部, 教授 (40013396)
下田 正 大阪大学, 理学部, 助教授 (70135656)
旭 耕一郎 東京工業大学, 理学部, 助教授 (80114354)
SCHMIDTOTT Wolfdieter Universitat Gottingen
MUNZENBERG Gottfried GSI
NEUGART Rain マインツ大学, 物理学研究所, 主任研究員
SCHMIDTーOTT オット ウォルフ ディータ ゲッティンゲン大学, 物理第二研究所, 教授
BROUDE Cyril ワイツマン研究所, 教授
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研究概要 |
高エネルギー重イオン破砕反応において生成される種々の放射性核のスピン偏極・整列現象の機構を研究した.得られた大強度の偏極・整列した放射線核ビームを凝縮系中に導入して,核分光学および核物性研究に応用するのが目的である.東工大-理研-阪大が協力して開発した重イオン反応偏極測定の方法を用いて,阪大および阪大-GSIの協力研究で得られつつある超流動ヘリウム中における放射性イオンの振舞の知見を生かし,偏極放射性イオンの凝縮系中における物性的振舞を研究した.なお,実験研究は日本の研究班の主導で行うものであるが,ドイツ・ダルムシュタット市の重イオン研究所(GSI)で完成した重イオンシンクロトロン(SIS)からの500-1000MeV/u領域の重イオン線を用いた.また,関連する研究機関,例えばイスラエルのワイツマン研究所やイタリアのレニアロ国立研究所の重イオン線も用いることができた.特にイタリア・レニアロ研究所では放射性核ビーム^<93>Tcが得られその核偏極を創り出すことに成功した.以前GSIにおいて同様の核偏極をもつ放射性ビームを創ったが,今度は加速器の関係でさらに質のよいビームが得られた. ドイツ,イスラエル,イタリアでの実験のために日本から研究者を延べ5名派遣し,彼地の研究者の協力を得て実験データを集積し,データのとりまとめと討論を行った.得られた実験結果について核物理,核物性以外に原子,分子物理,低温物理,クラスター物理の研究者たちとも討論を行った.特に,GSIはドイツにおける核物理,核化学,原子分子物理の一大研究中心で欧州のみならず,米国などの研究者との行き来の盛んなところである.関連分野あるいは未知の専門分野の研究者を捕らえて,本研究班の実験データをもとに核物性,凝縮系物理その他の分野について将来の応用の可能性について討論する機会をできるだけ多くとるよう心掛けた.そのため,各地から実験研究の成果について講演や教義の依頼があったがまだ十分に果たした訳ではない.また,現在論文発表の準備中である.ドイツ・ハイデルベルク,フランス・トゥール,アメリカ・ニューポートビ-チでの国際研究集会では招待講演として成果を発表した. 液体ヘリウム中に高速イオンを打ち込むさいの問題点を次々に解決してきたが,次の点が新しく判明した.高速イオンが液体ヘリウム中に打ち込まれ,イオン化によりエネルギーを失いつつ遂にほぼ静止するに至るまで,1)普通のエネルギー損失によって静止に至る成分と2)超流動ヘリウム中において集団流によるためか異常に長い飛程をもつ成分が見られるに至った.まだ十分に物理的な解釈が出来てはいないが,超流動ヘリウムの中の流れの状態をいろいろ創り出して実験する必要があろう. 氷球粒子中に捕えられた核偏極をもつイオンはその偏極を保持することが明らかになったが,強い電場のもとではイオンが氷球粒子から抜け出して運動するためか,核偏極は保持されないようである.このことも新しい現象として詳しく研究する必要がある.液体ヘリウム中の超微細相互作用を明らかに出来る可能性があろう. 偏極核の超流動ヘリウムや固体中における振舞いは核物性,クラスター物理の方面から多大の関心をもって見守られる領域となりつつあり,クラスターの内部構造,内部場の研究等,特徴を生かした研究を行うに至って,本年度は主として高エネルギー領域における偏極測定法の確立と偏極核を凝縮系の中へ打ち込む実験方法を確立した.
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