研究課題/領域番号 |
05044069
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | (財)基礎化学研究所 |
研究代表者 |
福井 謙一 基礎化学研究所, 所長 (40025739)
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研究分担者 |
PIERRE Gaspa ブリュッセル自由大学, 上級研究員
REINHARD Sch マックス, プランク研究所, 上級研究員
COALSON Rob ピッツバーグ大学, 助教授
田崎 秀一 基礎化学研究所, 副主任研究員 (10260150)
長岡 正隆 基礎化学研究所, 副主任研究員 (50201679)
山下 晃一 東京大学, 工学部, 助教授 (40175659)
GASPARD Pierre Free University of Brussel
SCHINKE Reinhard Max-Planck Institute
GASPARD Pier ブリュッセル自由大学, 上級研究員
SCHINKE Rein マックス, プランク研究所, 上級研究員
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1993年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 波束ダイナミクス / 非断熱遷移 / 光解離反応 / 量子カオス / 拡散過程 / 非可積分力学系 / 非平衡定常状態 / 散逸過程 / 非可積分学系 / 波束ダイナミックス |
研究概要 |
本質的に非平衡で且つ不可逆な散逸過程である化学反応過程は、電磁場あるいは溶媒中での時間に依存した量子力学的動的過程である。本国際共同研究では化学反応をこのような観点から研究する理論的手法の開発と新しい量子基礎理論の構築を目的とした。研究計画として、化学反応を非可積分力学系すなわちカオス系としてとらえ、(1)量子波束法、(2)経路積分法、(3)量子状態拡散モデル、(4)密度分布関数の発展演算子の解析を通して、そのような力学系の量子化と不可逆性の発現機構の解明を試みた。このような量子力学的微視的理論と非可積分力学系の数理解析的手法を融合させて化学反応理論の基礎付けをする我々の試みは、卓越した独創性をもつ本研究分担者の協力を得て始めて可能となる。本年度は平成5年度〜7年度まで継続した本国際共同研究の最終年度なので、交付申請書記載の研究計画に沿ったうえで、纏めと将来展望の意味も込めた以下の共同研究を進めた。 1.山下は、Gaspard博士と遷移状態量子法を用いて波束ダイナミクスについて共同研究を行なった。(Gaspard、山下)。さらに平成7年8月4日から8月22日までマックス・プランク研究所にて、Schinke博士と(i)HCPの異性化変角状態と(ii)HXO (X)→H+XO (n,j)(ただしX=C,N,and O)についての光解離反応の遷移状態領域における散乱共鳴状態を量子波束法を用いて追跡し、少数多体系の力学と関連づける共同研究をした。これらの結果は学術誌に掲載予定である。(Schinke、山下)また平成7年5月11日から6月2日まで、Coalson博士を東京大学及び基礎化学研究所に招聘し、経路積分法を化学反応量子多体系へ展開して、時間に依存した量子力学的手法による化学反応論に関して議論を深め、共同研究を一層推進した。(Coalson、山下) 2.長岡は、Coalson博士が上記の期間に基礎化学研究所を訪問した際に溶液内化学反応でのエネルギー移動がいかに起こるのかについて討論し、平成8年2月18日から3月4日にピッツバーグ大学に訪問して経路分析法の化学反応量子多体系への展開を進めた。またGaspard博士とは、昨年度に引き続き、量子状態拡散モデルを用いて、多体系、特に溶液系の化学反応などの開放系に関する波動関数アプローチを実行し、散逸系の量子基礎理論を展開した。さらに量子拡散過程に関する波動関数アプローチを凝縮系の適当な化学反応に対して適用した。そのために文献調査と対象系の選択の検討を行ない、輻射場中の電子遷移の従来の取り扱いを古典場中の化学反応系に置き換えて考察し、その結果得られた基礎方程式の数値的解法を研究した。(Gaspard、長岡) 3.田崎はGaspard博士と化学反応系の理解に不可欠な微視的散逸機構に関して共同研究を行い、以下の結果を得た。(1)保存的な決定論的拡散モデルにおける非平衡定常状態の研究:多重パイこね変換において非平衡定常分布を特異不変測度を用いて厳密に構成し、非平衡状態の記述に特異測度が重要な役割を演じていることを示した。(2)フロベニウス・ペロン演算子のスペクトルの研究:分布関数の緩和率はフロベニウス・ペロン演算子の一般化された固有値として計算される。マルコフ分割を持つ任意の写像に使える一般化された固有値問題の解法(分布関数の時間発展から指数緩和する項を系統的に分離する方法)を開発し、パイこね変換、多重パイこね変換およびCat写像に適用した。(3)くまで型分岐を示す系の密度分布の発展演算子のスペクトルの研究:分布関数の時間発展を記述する演算子が、分岐前には安定固定点の吸引率に関係した離散的固有値を、分岐点ではcritical slowingに関係した連続固有値を、分岐後には安定固定点の吸引率と不安定固定点の反発率に関係した離散的固有値を持つことを示し、分岐がスペクトルの変化として捉えられることを明らかにした。(Gaspard、田崎)
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