磁性体の粒子効果に関する共同研究

• 研究課題/領域番号: 05044070
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 共同研究
• 研究機関: 理化学研究所
• 研究代表者: 勝又 絋一 (勝又 紘一) 理化学研究所, 磁性研究室, 主任研究員 (90002104)
• 研究分担者: TUCHENDLER J パリ大学, 遠赤外工学研究室, 教授 ; STEINER M. ハーンアイトナー研究所, 教授 ; RENARD J.P. パリ大学, 基礎電気研究所, 研究室長 ; 谷口 年史 大阪大学, 理学部, 助手 (80207183) ; 竹内 徹也 大阪大学, 低温センター, 助手 (90260629) ; 松田 雅昌 理化学研究所, 磁性研究室, 研究員 (90260190) ; 萩原 政幸 理化学研究所, 磁性研究室, 研究員 (10221491) ; 田中 良和 理化学研究所, 磁性研究室, 研究員 (90250109) ; TUCHENDLER Jacques Universite Paris VI ; STEINER Michael Hahn-Meitner Institut ; RENARD Jean-pierre Universite Paris-sud ; T. Lubeck デュイスブルク大学, 低温物理研究室, 助手 ; M. Ocio サクレー凝縮物質研究所, 主任研究員 ; J. Tuchendle パリ大学, 遠赤外工学研究室, 教授 ; M. Steiner ハーンマイトナー研究所, 教授 ; J.P. Renard パリ大学, 基礎電気研究所, 研究室長 ; 伊達 宗行 大阪大学, 理学部, 名誉教授 (80028076)
• 研究期間 (年度): 1993 – 1994
• 研究課題ステータス: 完了 (1994年度)
• 配分額: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円); 1994年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円); 1993年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
• キーワード: 磁性体の量子効果 / 一次元磁性体 / ハルデンギャップ / ESR / X線磁気散乱 / 中性子回折

研究概要

本研究では、一次元磁性体における量子効果の研究で世界をリ-ドしている日本、フランス、ドイツの研究者が協力してこの分野及び周辺の分野の量子現象を解明することを目的とした。平成6、7年度の研究実績及び成果は以下の通りである。
1.ドイツ・デュイスブルグ大学のリューベックが来日し、大阪大学及び理化学研究所において重い電子系の量子効果について実験的研究を行った。
2.勝又が米国・ブルックヘブン国立研究所に滞在し、ランダム磁性体Fe_<1-X>Co_XBr_2の中性子散乱実験を行い、ミクロなクラスターの存在を見出した。
3.竹内がフランス・パリ大学、グルノ-ブル低温研究所等に滞在し、超低温における金属スピングラスの磁気測定を行った。
4.萩原がフランス・パリ大学に滞在し、分子磁性体の試料を作製し、ルナ-ルと共同でその磁気的性質を調べた。
5.田中が米国・ブルックヘブン国立研究所に滞在し、シンクロトロン放射光X線を用いた磁気散乱法によりEr薄膜等の磁気構造の測定を行った。
6.勝又がドイツ・ハーンマイトナー研究所に滞在し、中性子散乱法によりスピン量子数2一次元反強磁性体CrCl_2の磁気励起の測定を行った。
7.松田が英国・ラザフォードアップルトン研究所に滞在し、バルス中性子を用いて交換相互作用の競合する一次元磁性体の高エネルギー磁気励起の測定を行った。
8.萩原、勝又とチューシャンドレーが共同でS=5/2擬二次元反強磁性体Rb_2MnCl_4のESR測定を行い、反強磁性共鳴における二次元性の効果を調べた。
9.田中が米国・ブルックヘブン国立研究所に滞在し、シンクロトロン放射光X線を用いた磁気散乱法によりYとLu基板上のEr薄膜の構造を調べ、基板によりErに磁気構造が大きく異なることを見いだした。
10.理化学研究所とブルックヘブン国立研究所との共同研究によりスピン量子数1一次元反強磁性体NINO及び少量のCu不純物を含むNINOの中性子非弾性散乱実験を行い、ハルデンギャップの大きさを求めた。また、スピン相関距離がCu不純物導入により短くなることを見いだした。
11.萩原、勝又と、ュ-シャンドレーが共同でS=5/2擬一次元反強磁性体TMMCのESR測定を行い、ESRモードに対する量子効果を見いだした。
12.竹内、谷口がオランダ・アムステルダム大学に滞在し、希土類磁性体やアクチナイド磁性体の磁気測定を行った。
13.萩原がフランス・パリ大学に滞在し、Fe,Co等を含む電荷移動錯体の試料合成を行い、その磁性を測定した。
14.松田達がS=1/2擬一次元磁性体SrCuO_2及び関連する物質の合成に成功し、その磁気測定より大きな量子効果を見いだした。また、これらの物質について米国・ブルックヘブン国立研究所において中性子散乱実験を行い磁気励起についての知見を得た。

研究成果

• [文献書誌] M.Hagiwara,K.Katsumata,J.Tuchendler: "Antiferromagnetic Resonance in Rb_2MnCl_4" J.Phys.:Condens.Matter. 6. 545-550 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] K.Katsumata: "Experimental Studies of One-dimensional Quantum Spin Systems" J.Mag.Mag.Mat.(印刷中). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] M.Hagiwara,K.Katsumata: "Magnetic Properties of Anhydrous CrCl_2" J.Mag.Mag.Mat.(印刷中). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] M.Matsuda,K.Katsumata: "Magnetic Properties of a Quasi-one-dimensional Magnet with Competing Interactions" J.Mag.Mag.Mat.(印刷中). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T.Takeuchi,A.Yamagishi,T.Mizuno,M.Date,T.Higashi: "Orientation of Red Blood Cells in High Magnetic Field" J.Mag.Mag.Mat.(印刷中). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T.Takeuchi,T.Kumada,T.Yoshida,K.Kindo,K.Inoue,S.Merah,M.Yamashita,M.Verdaguer: "Magnetic Properties of New Haldane Gap Materials" J.Mag.Mag.Mat.(印刷中). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] M.Matsuda,G.Shirane,K.Katsumata,J.Tuchendler,S.M.Shapiro: "Spin Fluctuations in the Random Magnet with Competing Anisotropies Fe_<0.75>Co_<0.25>Br_2" Physica B. (印刷中). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] K.Hirota,S.M.Shapiro,K.Katsumata,M.Hagiwara: "Finite-chain Effects on the Spin Excitations in the S=1 Haldane System NINO with Cu Impurities" Physica B. (印刷中). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] M.Hagiwara.K.Katsumata,J.Tuchendler: "Electron Spin Resonance Experiments on an S=5/2 Linear Chain Antiferromagnet in High Frequencies and Fields" Physica B. (印刷中). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T.Takeuchi,T.Taniguchi,D.Kudoh,Y.Miyako: "Magnetic Properties of RERu_2Si_2 (RE=Tb,Dy,Ho)" Physica B. (印刷中). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] M.Hagiwara, K.Katsumata and J.Tuchendler: "Antiferromagnetic Resonance in Rb_2MnCl_4" J.Phys. : Condens.Matter. 6. 545-550 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] K.Katsumata: "Experimental Studies of One-dimensional Quantum Spin Systems" J.Mag.Mag.Mat.(in press). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] M.Hagiwara and K.Katsumata: "Magnetic Properties of Anhydrous CrCl_2" J.Mag.Mag.Mat.(in press). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] M.Matsuda and K.Katsumata: "Magnetic Properties of a Quasi-one-dimensional Magnet with Competing Interactions" J.Mag.Mag.Mat.(in press). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] T.Takeuchi, T.Mizuno, T.Higashi, A.Yamagishi and M.Date: "Orientation of Red Blood Cells in High Magnetic Field" J.Mag.Mag.Mat.(in press). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] T.Takeuchi, T.Yosida, K.Inoue, M.Yamashita, T.Kumada, K.Kindo, S.Merah, M.Verdaguer and J.P.Renard: "Magnetic Properties of New Haldane Gap Materials" J.Mag.Mag.Mat.(in press). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] M.Matsuda, K.Katsumata, S.M.Shapiro, G.Shirane and J.Tuchendler: "Spin Fluctuations in the Random Magnet with Competing Anisotropies Fe_<0.75>Co_<0.25>Br_2" Physica B. (in press). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] K.Hirota, S.M.Shapiro, K.Katsumata and M.Hagiwara: "Finite-chain Effects on the Spin Excitations in the S=1 Haldane System NINO with Cu Impurities" Physica B. (in press). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] M.Hagiwara, K.Katsumata and J.Tuchendler: "Electron Spin Resonance Experiments on an S=5/2 Linear Chain Antiferromagnet in High Frequencies and Fields" Physica B. (in press). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] T.Takeuchi, T.Taniguchi, D.Kudoh and Y.Miyako: "Magnetic Properties of RERu_2Si_2 (RE=Tb, Dy, Ho)" Physica B. (in press). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] M.Hagiwara,K.Katsumata,J.Tuchendler: "Antiferromagnetic Resonance in Rb_2MnCl_4" J.Phys.:Condens.Matter. 6. 545-550 (1994)
• [文献書誌] K.Katsumata,M.Matsuda,S.M.Shapiro,G.Shirane: "Metastability and Incommensurability in the Random Magnet with Competing Anisotropies Fe_<1-X>Co_XBr_2" (発売予定).