研究課題/領域番号 |
05044071
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 平七郎 北海道大学, エネルギー先端工学研究センター, 教授 (80001337)
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研究分担者 |
GELLES David バテル, パシフィック・ノースウエスト研究所, 主管研究員
GARNER Frank バテル, パシフィック・ノースウエスト研究所, 主管研究員
渡部 精一 (渡辺 精一) 北海道大学, エネルギー先端工学研究センター, 助手 (60241353)
黒川 一哉 北海道大学, 工学部, 助教授 (00161779)
大貫 惣明 北海道大学, 工学部, 教授 (10142697)
EDWARDS D.J. バテル, パシフィック・ノースウエスト研究所, 研究員
木下 博嗣 北海道大学, 工学部, 助手 (40177895)
EDWADS D.J. バテル, パシフィック・ノースウエスト研究所, 研究員
DAVID S.Gell バテル, パシフィック・ノースウエスト研究所, 主任研究員
FRANK A.Garn バテル, パシフィック・ノースウエスト研究所, 主幹研究員
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 核融合炉第一壁材料 / 低放射化材料 / パナジウム合金 / 中性子照射 / オーステナイト鋼 / イオン・電子線照射 / フェライト系鋼 / Fe-Cr-Mn鋼 / 低放射化フェラオト鋼 / 粒界偏析 / Fe-Cr-Mn系鋼 / 粒界移動 / ヘリウム効果 / 高速中性子照射 / 相互作用 / 核変換元素 / スエリング / 低放射化 / 相安定性 / 照射点欠陥 |
研究概要 |
今年度は過去3年間の結果の考察と追加実験研究を行った。その結果、低放射化材料の開発に際し検討されるべき事項として、以下のようにまとめられた。 1)Fe-Cr-Ni系鋼について、照射下で粒界におけるNiの顕著な偏析とCr濃度の低下を同定し、偏析と同時に粒界移動が起こり、これら現象は照射点欠陥の粒界への流入に支配されることを中性子照射および電子線照射実験から明らかにした。また、高速中性子照射により約50dpaで数%のスエリングが生ずることを観察した。これらのことから、改良型316ステンレス鋼は、国際熱核融合実験炉(ITER)のように短期的には照射量(30dpa程度)が少なく、放射化レベルも低い場合には低スエリングのため核融合炉構造材として使用可能である。 2)各種低放射化オーステナイトFe-Cr-Mn系鋼を200℃で中性子照射後、機械的性質と合金組成の関係を調べ、Fe-10%Cr-(20-25)%Mn-3%AlおよびFe-10%Cr-30%Mn鋼が良好な性質を示し、また、Al添加により照射下における相安定性が向上することを明らかにした。また、Fe-Cr-Mn系改良AMCR合金鋼を高速中性子で420℃、520℃及び600℃で32-36dpaまで照射後、密度測定からスエリングを評価した結果、Fe-12%Cr-11%Mn-0.5%Si-1.4%Wに0.3%Cを添加した鋼が耐スエリング特性に優れているが、相安定性に欠けることを確認し、炭素添加がある程度スエリング抑制および相安定に効果的であることが判明した。以上の結果から、Fe-Cr-Mn系高マンガン鋼の場合は、電磁場、強度等の核融合炉の環境を考慮すると魅力ある材料である。しかし、第一壁材料の様に500℃以上の高温度に曝せれる場合は、相安定性の観点から不適と判断され、核融合、炉のバックアップ材など200℃以下の低温度での構造材料としてのみ利用可能と評価された。 3)低放射化Fe-(9-12)Cr-2W鋼をFFTFで高速中性子照射後の機械的性質に及ぼすB、Y、Al添加の効果を調べ、スエリング非常に低く100dpaでも問題にならない程度であった。MoやMbに代わってWやV元素の添加により降伏強度や抗張力は十分維持できるが、DBTTが照射で上昇することが明らかにされた。従って、オーステナイト系ステンレス鋼に代わる第一壁材料あるいはブランケット構造材として低放射化フェライト鋼が実証炉等中期的には有望であるがDBTTを改善する必要する必要がある。これまでの実験から、機械的性質、耐照射特性を考慮するとFe-(9-12)%Cr-2%W鋼が最適と判断される。ただし、核変換で生成するヘリウムの靭性-脆性遷移温度(DETT)上昇が大きいためそのヘリウム効果の解決が重要であることが指摘された。 4)低放射化材料として将来最も期待されている、バナジウム及びバナジウム合金の照射化の合金組成変化として、核変換(n,r)による組成変化が中性子照射により起こることを見い出し、特にバナジウムではCrおよびTiが生成することをEDS分析からはじめて明らかにした。現在、V-4Cr-4Ti合金が耐照射特性に優れている低放射化合金として有望視されてが、長期間の使用中に核変換でCr新たに生成されるため合金成分が変化し、その結果、材料特性が大きく影響される可能性が有ることが明かになり、今後この核変換元素の効果の更なる研究が必要であることが指摘された。 5)照射現象に関する基礎的知見として、(a)Vと同様に核変換により、WがReさらにOs元素に変化する事が同定され、低放射化フェライト鋼に添加されているWがこの核変換でその性質が大きく影響されること、(b)電子線/Heイオン同時照射実験から、Heは原子空孔と強く相互作用し、空孔型積層欠陥四面体がボイド核生成サイトとなる。また、TiおよびPの微量添加によりスエリング、および粒界偏析が抑制されるが、ボイド数密度は増大すること、さらに(c)ステンレス鋼の粒界は照射中移動と濃度変化が起こり、粒界移動はエピタキシアル的に成長に起因する事を明らかにした。
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