研究課題/領域番号 |
05044088
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 拓宋 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (20016760)
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研究分担者 |
佐瀬 幹哉 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (20225907)
亀山 啓輔 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (40242309)
小杉 幸夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (30108237)
ROMAN Kuc エール大学, 工学部, 教授
KUC Roman Yale University
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 超音波 / 知能化 / センサー融合 / ニューラルネット / 高次相関 / 医用画像 / 非線形効果 / 位置推定 / 位置計測 / 医用診断 |
研究概要 |
従来、センサーは対象を限った物理量を検出する素子として捉えられていたが、階層化された高度な情報処理システム、たとえば生体内の神経回路システムが外界の状況を把握する場合などでは、各所に分散したセンサーがそれぞれ付随した情報処理機能を有する方が全体としてより効率の高いシステム構成が可能となる。ところが、得られた各センサーからの情報は例えば医用診断を例にとってみれば、最終的に病名を確定し、治療に役立つ情報の形にまとめ上げる作業が必要となる。そこで、本年度は、各センサーごとに分数処理された情報を融合する技術を中心に調査・研究を行った。以下具体的成果を列挙する。 1)超高波映像系におけるセンサ情報の融合 昨年までの研究では生態組織の超音波計測について提案してきた、反射率変化パラメータΔI_N、位相シフトパラメータN、構造変化パラメータΔφ_D、等を精度良く得るために各々の特質に応じた知的処理を行ってきたが、本年度は組織の特性化を含め、腫瘍の悪性度を判定するという立場からこれらの情報を融合する研究を進め、先ずΔI_NとΔφ_Dの融合により、ヒトの肝臓における組織の微細構造マップを得ることに成功した。次いで、相関図上の分布から新しいパラメータの抽出を行い。これをもとにしたクラスタリング処理の結果、ヒト胎盤の繊維化した組織の映像化が可能になった。 2)ニューラルネットによる画像融合 体内の血流量や代謝分布を測定するための画像センサの一つであるPET(Positron Emission Tomography)は心理負荷を与えた時の人間の脳内の活動分布を求めたり、脳梗塞などによる病変を映像化するうえで重要なセンシング技術であるが、ポジトロンの発生位置と再結合に伴うガンマ線の放出位置が異なること、およびセンサの密度がS/Nの制約上十分に上げられないことなどからボケた画像しか得られなかった。本研究では、PETからの情報に、MR(核磁気共鳴)像から得られる脳内組織分布に関するアプリオリな情報を融合することで制約付きデコンボリューションを行い、今までには得られなかった鮮明な画像を得ることに成功した、特に画像融合を行うためには逆問題を解くためのニューラルネットワーク動作の一形式であるネットワークインバーションの方式を用い、MR像からあらかじめ得られる脳灰白質、白質、髄液などの分布に応じた固定結線をネットワークに組み込むことで、実際に有り得ない解を排除し、合理的な逆問題解を得ている。 3)ニューラルネットによる位置情報の結合 昨年度米国側で進めているこうもりの位置検出モデルの高精度化の技術と、日本側で進めているAnswer-in-weights形式のニューラルネットを用いた位置情報の推定技術を融合させた位置推定方式については、サンプリング点の増大などの改良を進め、昨年度より精度を向上させることができた。また、この技術を生体内の神経の位置探査にも応用する方式について基礎的検討を行い、複数の電極対から得られる誘発電位波形に関する情報をAnswer-in-weights形式の層状ネット内で融合することで神経の走行位置を推定できる方式を提案するとともに、ボランティアの上腕正中神経の誘発電位計測結果に適用することでその有効性を確かめることができた。 以上のように本年度は、昨年度までで得られた個別のセンサーについての知能化に加うるに異種センサーもしくは同種多数のセンサーから得られる情報の2次的な知能化処理の一つである融合処理を主眼に研究を進め、このような階層的なセンサの知能化技術が非常に多くの分野に適用可能であることを特に医用工学面での実測で示すことができた。これらのアイディアの一部は2年間の主として米国における調査過程で得られたものである。
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