研究課題/領域番号 |
05044098
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大嶋 泰治 大阪大学, 工学部, 教授 (20029242)
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研究分担者 |
SAVITREE Lim カセサート大学, 理学部, 準教授
MORAKOT Tant キンモンクット工科大学, エネルギー資源学部, 準教授
AMARET Bhumi マヒドン大学, 理学部, 教授
松村 正利 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (50015781)
藤尾 雄策 九州大学, 農学部, 教授 (90038224)
小林 猛 名古屋大学, 工学部, 教授 (10043324)
吉田 敏臣 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 教授 (00029290)
LIMTONG Savitree Faculty of Science. Kasetsart Univ., Assoc. Prof.
TANTICHAROEN Morakot Faculty of Energ. & Resources, KMIT, Assoc. Prof.
BHUMIRATANA Amaret Faculty of Science. Mahidol University, Prof.
MARAKOT Tant キングモンクット工科大学エネルギー資源学部, 準教授
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
21,000千円 (直接経費: 21,000千円)
1995年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1994年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1993年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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キーワード | キャッサベデンプン / ヘミセルロース / キシロース / アルコール発酵 / 殺虫タンパク / キシリトール / アセトン・ブタール発酵 / 生分解性ポリマー / キャッサバデンプン / デンプン分解酵素 / 生物殺虫剤 / 組換え体酵母 / 固定化菌体 / キャサバデンプン / 酵母 / キチナーゼ |
研究概要 |
東南アジア諸国において豊富に生産されるキャッサバデンプンなどの農林産資源、およびヘミセルロースなどの農林産廃棄物を、微生物プロセスを用いて有効に工業利用するための技術の開発に関する基盤的研究を、タイの研究者と共同で実施することを目的とした。 研究は、キャッサバデンプンなどを有効に利用するための前処理に用いる酵素の開発、農林産資源を用いて生産すべき有用物質の生産微生物の育種、および工業的生産プロセス開発のための基盤的研究から構成された。 得られた結果の概要は以下のようにまとめられる。 1.デンプン、ヘミセルロースの有効利用のための分解酵素に関する研究。 キャッサバデンプンは、通常アミラーゼが処理を行いグルコース又はマルトースに分解し、微生物による発酵原料として用いる。藤尾らは、キャッサバデンプンの効率的分解を行うための分解酵素生産菌を探索し、リゾップス属カビを選択し、その生産アミラーゼの性質を明らかにした。更にキャッサバデンプンの効率的分解を行うには、セルラーゼを含む組織分解酵素との共存処理の有効であることを明らかにした。これらの酵素処理によりキャッサバデンプンの糖化を行い、酵母によるアルコールを試行したところ、良好な結果を得、今後のキャッサバデンプン利用技術の開発に寄与すると考えられる。 2.農林産資源からの有用物質生産を行うための微生物育種に関する研究 デンプン質資源からの発酵生産として、タイで開発が期待されている殺虫毒素生産を、農林産廃資源の有効利用として、主成分の一つであるキシロースからのエタノール生産を取り挙げ、それぞれの生産微生物の育種を検討した。Bhumiratanaらは、蚊の駆除に用いるBacillus thuringensisによる殺虫タンパクの効果で、キチナーゼの共存により相乗的に向上することを明らかにし、キチナーゼ遺伝子の取得を行い、殺虫タンパク生産菌への導入を行った。更に殺虫タンパクの大量生産について、培養工学的検討を行っている。 大嶋、Limtongらは、キシロースからのエタール生産を行うため、タイで分離した比較的高温でアルコール醗酵をする酵母、Saccharomyces cerevisiacに、キシロース資化に必要な2遺伝子を導入した組換え体アルコール発酵酵母を育種し、エタノール生産を検討した。その結果、キシロース代謝には、それに必要な補酵素であるNADとNADHのバランスが重要であり、培養中の酵素レベルを調整することにより生産を改善することができることを明らかにした。また上述の補酵素バランスを保っため、大腸菌由来のトランスヒドロゲナーゼ遺伝子の導入を行ったが、顕著な効果は認められなかった。これらの研究結果は将来の農林産資源の有効利用の例として寄与するものと考えられる。 農林産資源を用いた発酵プロセスに関する研究 農林産資源からの有用発酵生産を、タイ国などの東南アジア諸国に適した方法で行う必要がある。本研究ではいくつかの例を挙げ、プロセスの最適化に関する研究を行った。松村らは、キシロースから、糖アルコールであるキシリトールへの変換発酵に注目し、変換酵母の高密度培養法を開発し、高い効率でキシリトールを生産するプロセスを提案した。吉田らは、パーム油生産における廃棄物の有効処理に注目し、パーム油分解微生物としてdostridium属の一株を選び、同苗によるアセトンおよびブタノール生産の至適条件の検討、プロセス工学的知見を得た。小林らは、デンプン資源からの発酵生産プロセスの検討を分担し、生分解性ポリマー(プラスチック)の原料である乳酸発酵プロセスの最適化を行った。 本国際共同研究において、タイの研究者からの情報提供や微生物をはじめとする研究材料を得ることができ、研究の推進に寄与した。また本研究を通して今後の研究協力の可能性を確実にすることができた。
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