研究課題/領域番号 |
05044103
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
道上 正規 (道上 正のり) 鳥取大学, 工学部, 教授 (10027245)
|
研究分担者 |
アンジェリ マセオ ジオ 中央イタリア水文研究所, 研究員
ディ シルビオ ジアンパ パードバ大学, 教授
ウベルチーニ ルシオ ペルージャ大学, 教授
檜谷 治 (桧谷 治) 鳥取大学, 工学部, 助教授 (00165127)
藤田 正治 京都大学, 農学部, 助教授 (60181369)
澤井 健二 摂南大学, 工学部, 教授 (70109073)
ANGELI Giovanni maleo Dr, IRPI-CNR
DI SILVIO Gianpaolo Professor, University of Padova
マセオ ジオバニ アンジ 中央イタリア水文研究所, 研究員
ジアンパウロ ディ シル パードバ大学, 教授
ルシオ ウベルチーニ ペルージャ大学, 教授
マセオ ジオバニ.アンジ 中央イタリア水文研究所, 研究員
ジアンパウロ ディ.シル パードバ大学, 教授
|
研究期間 (年度) |
1993 – 1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1995年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1993年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | 斜面侵食 / 地すべり / 表面波 / 河床変動 / 流砂 / 斜面崩壊 / 土石流 / 河道侵食 |
研究概要 |
我が国やイタリアのように急峻な山岳地帯を有する地域では、自然災害に占める土砂災害の割合が大きく、土砂災害の予測法と対策法を開発することが急務である。土砂災害は、土砂の生産・輸送・堆積過程に伴って生じるものであり、その軽減防止策を考えるためには、地形、地質、気候等の諸条件に対して普遍性のある土砂の生産・輸送・堆積過程のモデルを構築することが重要である。そこで本研究は、我が国とイタリアにおける地形、地質、気候条件等の類似点に着目し、斜面崩壊の発生機構、崩土が貯水池に流入したときの表面波の形成と伝播、山地河川の河道の侵食と土砂の輸送機構、裸地の侵食機構および微細土砂の流出機構、流砂の土石流の現地計測技術等について、現地調査、資料解析、水路実験および数値実験を通して比較研究を行い、斜面侵食と土砂および土塊の輸送現象を普遍的に説明できる解析モデルを提示することを目的としたものである。なお、本研究は日本政府とイタリア政府の学術交流協定に基づいたプロジェクトであるので両国間の土砂災害に携わる研究者間でデータを交換しあって、研究が進められた。 本年度は、研究の最終年度にあたり、これまでの研究を総括して(1)崩壊土塊の流入による洪水波(水面波)の数値シミュレーション、(2)山地河川の河道侵食と土砂の輸送機構および(3)土砂動態システムの構築を行った。 まず(1)では、これまでの1次元の実験的研究および1次元の数値シミュレーション法を発展させ、発生する波の形状、最大波高特性、波の伝播および減衰特性を詳細に検討した。その結果、最大波高に関しては新たなパラメータとして土砂流入長を考える必要性が明らかとなり、その影響について従来のパラメータである土砂厚および土砂流入速度を含めて示した。その結果、土砂の流入速度と擾乱の伝播速度(長波の波速)がほぼ等しくなったとき、波の波高は最大となり、その最大値は土砂流入厚の1.5〜1.8倍になることが判明した。また、2次元の土砂流入実験を行い、発生する波の形状、最大波高特性、波の伝播および減衰特性を1次元の特性と比較しながら明らかにするとともに、実験結果との比較検討から数値シミュレーション法の妥当性が確認された。さらに、イタリアのバイオントダムにおける1969年の実例を再現し、イタリアで収集した資料に記載されている表面波の伝播特性、対岸への波の遡上高さ等が十分な精度で再現できることを確認するとともに、その成果をわかりやすく表示するために、ビデオを作成し関係者に配布し好評を得た。 つぎに(2)では、昨年度に引き続き山地河川の特徴的な侵食形態である水みち侵食について、一様砂の実験および数値シミュレーションを行った。さらに、河床材料を実河川に近づけるために混合砂に拡張して実験を行うとともに、混合砂に適用できる数値シミュレーション法の開発を行った。その結果、一様砂の場合、流路の変動は側壁近傍の深掘れの移動が関係していることが明らかとなり、数値シミュレーション法にこの深掘れの移動モデルを考慮すると実験の再現性が向上することが明らかになった。また、混合砂の場合は、水みちの発生は大きな粒径の砂礫が関係しており、流路変動は小さな粒径の砂の動きがきっかけとなることが明らかになった。また、水みち侵食による土砂輸送量に関しても、数値シミュレーションによって十分な精度で再現できることが明らかになった。 最後に(3)では、特に流砂および土石流の現地観測法に関して検討した。具体的には、流砂がパイプに衝突するときに発生する音をパイプに取り付けたマイクで収録したり、土石流が河道を通過するときの音を地面を通して録音し、その音響特性すなわち振幅や周波数特性から土石流や流砂の量を計測する方法の可能性について検討した。その結果、現地や実験室での適用結果からある程度の実用性が示された。 また、イタリアで日本側の研究者とイタリア側での研究者によるジョイントセミナーを開催した。このセミナーではそれぞれの研究成果を発表し、活発な討議がさなれ、多くの研究者・技術者に示唆に富むセミナーとなった。
|