研究課題/領域番号 |
05044108
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
宮里 達郎 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (90029900)
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研究分担者 |
SAHRAOUIーTAH ターハー エム ランカスター大学, 物質科学部, 研究員
JONES B.K. ランカスター大学, 物質科学部, 上級講師
MEREDITH Dav ランカスター大学, 物質科学部, 上級講師
WIGMORE J.Ke ランカスター大学, 物質科学部, 上級講師
西谷 龍介 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (50167566)
浅野 種正 九州工業大学, マイクロ化総合技術センター, 教授 (50126306)
MEREDITH David j School of Physics & Chemistry, Lancaster University.
M.SAHRAOUI T ランカスター大学, 物質科学部, 研究員
J.KEITH Wigm ランカスター大学, 物質科学部, SeniorーLec
TAHAR M.Sahr ランカスター大学, 物質科学部, 研究員
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
1995年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1994年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1993年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 超高周波フォノン / SiGe系薄膜 / ヒートパルス・フォノン / アルミボロメータ / 歪みを伴う界面 / 高周波スパッター / HEMT / フォノンモード変換 / ヒートパルス / ボロメータ / アルミ薄膜 / 応答関数 / 時間分解能 / 不規則表面 / SiGe / Si膜 / 熱フォノン / ヒーター / 格子歪 / Si / SiGe系 / モード変換 / 多層膜 |
研究概要 |
○はじめに::この研究に於いて最も重要な事は超高周波のフォノン(1)発生及びその(2)検出をいかに精密に制御し本研究の目的に役立てるか、そしてその対照となる(3)SiGe系薄膜の試料をいかに精密に作製し(4)正確なデータを得て、その実験結果からどのようにして(5)真実を見出だし、その(6)結果を応用することによって、所定のデバイスに到達するかということである。 ○この一年間の成果::初年度及び2年度までは、ともかくもこの(1)(2)(3)においては順調に進んで来たが、(4)の段階において幾つかの疑問点が生じた。例えばヒートパルスフォノンの検出を行なうアルミニウムボロメータの応答速度や感度、再現性等において疑問が生じ、日本側(九州工大)で作製しランカスター大学において測定するやり方では詳細な問題点の洗い出しは困難となり、日英双方に測定装置を設置しむしろ双方での実験結果について徹底的な比較検討を行なう事とし、この時点で押さえるべき点をきちんと押さえておく必要があるという結論に達した。そこでヒートパルスの発生・検出の問題から徹底的に検討を行い、多くの問題を解決し我々はこれまでに行なわれたどのようなヒートパルスの測定技術も凌駕する大幅な改善に成功した。その主な内容は次の様にまとめられる。 ヒーターの改善:超高周波フォノンを発生させるヒーターは、空間分解能を高くするためにフォトリソグラフィーの技術を用い、サイズを約50μm X 50μm程度にする必要があり、電極の構造においてはdB/dtによる電磁誘導を極力おさえる構造に改善を行なった。 ボロメータの改善:ボロメータとしての薄膜アルミ(約100Å)は、5X10^<-6>Torr程度の酸素ガス雰囲気で作製したものが最も感度が高いこと、かつ油拡散ポンプによるオイルによる汚染が再現性に問題を与えることが分かりオイルフリーな真空を得るためターボ分子ポンプを用いることした。更にこの条件で作製したアルミニウムの結晶構造は六方晶系であることが分かり、本研究における重大な新発見の一つとなった。このような新しい結晶構造が感度が高い原因の一つと考えられ目下論文にまとめるべく準備している。このボロメータの部分と電極部分のアルミの質および膜厚が異なることや完全なオーミック性を持たせるため、ポジ型のレジストを2回用いる新しい微細加工技術を開発した。 ブレークスルーの改善:本研究においては対象となる基板は500μmという極めて狭い空間で、しかも数nsの極めて短いパルスを用いるため、ヒ-タとボロメータの間の電磁誘導(ブレークスルー)の防止は極めて重要な問題で、電極の構造の改善や、ヒ-タとボロメータの電流の向きを直交させたり、取り付ける同軸ケーブル(直径0.5mm)を表面に垂直に接続する等の工夫により、測定精度や再現性、信頼性の飛躍的向上に成功した。 インピーダンス不整合の対策:ヒ-タやボロメータのインピーダンスと測定系、特に同軸の特性インピーダンスとの不整合が測定時にリンキングを生じせしめ測定を困難としたが、減衰器を挿入して反射波との干渉を減少させる方法や同軸ケーブルを数mと長くする方法(これは数nsの極めて短いパルスを用いることが幸いして干渉を防止し、更に挿入したパルス高と反射したパルス高をモニターで測定出来るため、ヒ-タに加わった電力を正確に知ることが出来るようになった)を取り解決に成功した。 このように多くの技術開発や工夫により、ヒートパルスの測定技術を格段に高めることに成功し、この分野の研究にブレイクスルーを開いた。 歪みを伴う界面でフォノン散乱に対する理論の展開:宮里とWigmoreはランカスター大学のKozorezovと共に、本実験のように歪みわ伴う界面でのフォノン散乱の機構を明らかにするためにeikonal modelに基づく理論的検討を行い、札幌で開かれたPHONON 95の国際会議で発表し、更に具体的な計算は、Physica BとJ.Physicsに掲載された。 SiGe系薄膜の高周波スパッターによる作製:高周波放電によるSiGe系薄膜の作製に成功し、この膜で大きなフォノンモード変換が生ずることが分かった。然しHEMTを作るためにはMBEによる薄膜が必要であることが分かり近々日立製作所から提供を受けることになった。ここまでの成功は次の段階の成功の高い可能性を示している。
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