研究課題/領域番号 |
05044110
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
安保 正一 大阪府立大学, 工学部, 教授 (70094498)
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研究分担者 |
ZECCHINA Adr イタリア, トリノ大学, 教授
CHE Michel フランス, パリ第6大学, 教授
山下 弘巳 大阪府立大学, 工学部, 助手 (40200688)
ADRIANO ZECC イタリア, トリノ大学, 教授
MICHEL CHE フランス, パリ第6大学, 教授
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 光触媒 / NOx分解 / 銅イオン / ゼオライト / EXAFS測定 / ESR測定 / FT-IR測定 / ホトルミネッセンス / 光触媒反応 / 光触媒分解反応 / イオン交換触媒 / 銅イオン触媒 / 表面活性サイト |
研究概要 |
本研究は、光触媒を用いて常温で環境に優しい高効率でNOx除去が行えることに注目し、最終的には、太陽光で大気中のNOx除去の光触媒反応系を設計することを目的としておこなっているものである。平成6年度は、イオン交換法により調製した銅イオン触媒上における銅イオンの存在状態と還元挙動、銅イオンとNOとの相互作用およびそれに及ぼすゼオライト担体の影響についての詳細な知見を得ることを目的として研究を遂行した。 銅(II)/ゼオライト試料はすべて水和したCu^<2+>に基づく軸対称かつブロードなESRシグナルを与えた。試料を高温で真空排気すると、排気温度に依存してシグナルの強度、形およびg-値は変化した。銅(II)/ZSM-5試料の場合、排気温度が300℃を越えるとESRシグナルの強度は著しく減少した。このときCu^<2+>(d-d遷移)に基づくUV吸収(500nm-800nm)は劇的に減少し、同時にCu^+に帰属できると考えられるUV吸収(300nm〜400nm)が観測された。また、この時、試料の色は白色へと変化し、これらの結果は300℃の真空排気処理によりCu^<2+>がCu^+に還元されたことを示唆した。 銅(II)/ゼオライト試料を高温で真空排気することで調製した銅(I)/ゼオライト触媒ではCu^+に基づく発光が観測された。銅(I)/L-ゼオライトでは、450nm付近、銅(I)/ZSM-5、銅(I)モルデナイト、銅(I)/Y-ゼオライトでは450nmと510nm付近にそれぞれ発光が観測できた。450nm付近の発光はCu^+モノマー種の(3d^94s^1)励起状態からの光放射失活過程に、510nm付近の発光はCu^+ダイマー種の励起状態からの光放射失活過程に帰属できた。この発光スペクトルの結果は、一次元的細孔構造のL-ゼオライトではCu^+はモノマー種として、二次元的細孔構造のZSM-5、モルデナイトでは、モノマー種とわずかなダイマー種、三次元的細孔構造のY-ゼオライトでは、モノマー種およびCu^+ダイマーとして存在していることを示唆した。 973Kでの真空排気処理で調製した銅(I)/ゼオライト触媒のFT-EXAFSを観測したところ、ZSM-5やモルデナイトでは孤立したCu^+の存在を示唆するCu-O結合によるピークのみを与えるのに対し、Y-ゼオライトの場合には、隣接Cu原子の存在に基づくピーク(Cu-Cu)が観測され、Y-ゼオライト中にCu^+ダイマー種が多く存在するという上述した発光スペクトルによる結論を支持した。これらの結果は、細孔構造が高次元になるほどゼオライト細孔内での銅イオンの拡散が起こりやすくなり、ダイマー種形成の寄与が大きくなることを示した。 銅(I)/ゼオライト触媒上にNOを添加するとCu^+に起因する発光強度はNO圧の上昇にともない速やかに消光され、同時に発光の寿命も短くなった。このことは、NOがCu^+の励起状態とも相互作用することを示唆した。事実、NO存在下275Kで種々の銅(I)/ゼオライト触媒を光照射するとN_2とO_2が生成しNOの光触媒分解反応が275Kでも進行することが解った。銅(I)/ゼオライト上におけるNOの光触媒分解反応の収率は、銅(II)/ゼオライト試料の排気処理温度に大きく依存し、Cu^+に基づく発光収率の排気温度依存性とよい平行関係を示した。このことは、NOの光触媒分解にCu^+の光励起状態が重要な役割をなしていることを示すものである。銅(I)/ZSM-5(発光種:Cu^+モノマー種)、銅(I)/Y-ゼオライト(発光種:Cu^+モノマーとダイマー)および銅(I)/SiO_2(発光種:Cu^+ダイマーのみ)触媒のNO光触媒分解反応における活性を比較すると、銅(I)/ZSM-5>銅(I)/Y-ゼオライト>銅(I)/SiO_2の順となり、Cu^+ダイマー種よりモノマー種がNOの光触媒分解により高い活性を持つことを示唆した。
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