研究課題/領域番号 |
05044122
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大日方 昂 千葉大学, 理学部, 教授 (40012413)
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研究分担者 |
BAMBURG Jame コロラド州立大学, 生化学教室, 教授
阿部 洋志 千葉大学, 理学部, 助手 (00222662)
JAMES R Bamb Colorado State Univ, Dept of Biochem., 教授
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1994年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1993年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | Cofilin / ADF / Actin-binding proteins / Actin / Cytoskeleton / Muscle cell / Nerve cell / Xenopus / Myofibrillogenesis |
研究概要 |
筋と神経細胞をモデル系としてADFとコフィリンによるアクチン細胞骨格系の動的制御について研究し、以下の成果をあげた。 1.筋型コフィリンの発見、構造決定、および両者の振舞いについて マウスの筋で腫に発現する新しいタイプのコフィリンを発見、cDNAをクローニングし、全構造を決定した。既知の非筋型コフィリンとのアミノ酸配列を比較、基本的な機能ドメインを共有すること、また相同性が約70%であることを明らかにした。なお、ニワトリでは筋、非筋に共通の1種のコフィリンのみを見出した。筋型、非筋型コフィリンの役割の違いを探るために、両者のmRNAの発現パターンをマウス胎児で解析、前者は筋節など筋形成領域で顕著に、後者は全域にわたることを見いだした。 2.コフィリン、ADF分子の機能ドメイン コフィリンのアクチンおよびPIP2結合部位は104〜128アミノ酸にあるとされる。今回この部位を欠くミュータントコフィリンを遺伝子操作により作成して、ミュータント蛋白質がアクチンと反応性をもつことから、新たなアクチン結合部位の存在を示した。 3.コフィリンとADFの細胞内における振舞いと機能制御 DMSO処理や熱ショックを受けた細胞ではコフィリンが核内移行し、ロッド構造をつくることが既に知られる。本研究で、ADFも同様な振る舞いをすること、またADFは神経軸策内を移動し、神経末端で濃縮されてしばしばアクチン/ADFロッドをつくること、またコフィリンは細胞質分裂の際、分裂溝に濃縮されることを見いだした。次に、コフィリンの細胞内での動的な振舞いを見るために、N-端に蛍光標識に適するタグをつけたコフィリンを大腸菌内で生産、イオドアセトアミドテトラロ-ダミンで標識して培養筋細胞内に注入し、外来コフィリンの振舞いを調べた。この外来コフィリンは高い活性をもち、高い濃度で注入されると、速やかにアクタン繊維を崩壊させコフィリン/アクチンロッド構造を形成することが観察された。しかし、時間を経ると細胞内での外来コフィリンの作用は低下していくこと、コフィリン活性の高低はPIP2の結合が無、有に対応することを示した。更に、細胞内でのADF、コフィリンのリン酸化による制御を調べた。ADFはリン酸化により機能活性が低下すること、筋成長につれリン酸化ADFが増すことを明らかにした。コフィリンもリン酸化によりアクチン繊維への結合能が低下することを見いだした。両蛋白質の重要なリン酸化部位はN-端から2番目のSerであることが決定された。また細胞周期に依存してリン酸化の低とが変わること、特に細胞内アクチン繊維に劇的な経んかが起こるM期にリン酸化の減少がおこることを見いだした。また、コフィリンが細胞質分裂の過程で、分裂溝に濃縮されること、濃縮の時期がアクチンの濃縮(収縮環形成)より遅れ、収縮環の消失に関わることを示唆した。 4.Xenopusにおけるコフィリン/ADF類似蛋白質の発見、一時構造の決定、組織分布、および発生過程での変化 ニワトリのADFとコフィリンcDNAをプローブとして、Xenopus幼生のcDNAライブラリーよりコフィリン/ADF類似蛋白質を検索し、2つの蛋白質(A9、A11と呼称)を見いだした。両者のアミノ酸配列全長をコードするcDNAを得、塩基配列を決定、168個のアミノ酸からなるペプチド鎖の全一次構造を解明した。両者はよく類似した構造をもち、ともにニワトリやマウスのADF/コフィリンとも高い相同性を示した。大腸菌内でcDNAから蛋白質を発現させ、精製して機能検定した結果、コフィリン/ADF活性をもつことを確認した。ノーザンブロットおよびIn situハイブリダイゼーション法により発現を解析の結果、卵母細胞にも発現されていること、発生過程では神経系や筋形成領域での発現が顕著であるが、成熟筋組織での発現は低下することが見られた。特異的なモノクローンおよびポリクローン抗体を作成、全蛋白質抽出液の2次元電気泳動パターン上にADF/コフィリンを同定することを可能にした。2次元電気泳動解析の結果、リン酸化の程度が発生過程で劇的に変化することを見いだした。形態形成におけるADF/コフィリンの役割を引続き検討中である。
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