研究課題/領域番号 |
05044124
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野口 忠 東京大学, 農学部, 教授 (50011937)
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研究分担者 |
高橋 伸一郎 東京大学, 農学部, 助教授 (00197146)
CONTI Marco スタンフォード大学, 医学部, 助教授
VAN Wyk Juds ノースキャロライナ大学, 医学部, 教授
CLEMMONS Dav ノースキャロライナ大学, 医学部, 教授
UNDERWOOD Lo ノースキャロライナ大学, 医学部, 教授
VANWYK Judson j. The University of North Carolina, School of Medicine, Professor
CLEMMONS David r. The University of North Carolina, School of Medicine, Professor
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1994年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1993年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | インスリン様成長因子 / インスリン様成長因子結合タンパク質 / インスリン様成長因子レセプター / チロシンリン酸化 / タンパク質栄養 / タンパク質代謝 |
研究概要 |
1.種々の生理状態におけるラットインスリン様成長因子I(IGF-I)および結合タンパク質(IGFBP)遺伝子の発現状態および血中動態の追跡:まず、我々は、種々のIGFBPを精製し、これらに対する特異的抗体を作成した。更に、各IGFBPのcDNAをクローニングした。今回、取得した抗体およびcDNAを用いて、タンパク質の「質」あるいは「量」の異なる食餌を与えた動物、副腎除去・卵巣除去動物、糖尿病・肝臓病モデル動物をはじめとした、種々の生理状態の動物のIGF-IおよびIGFBPの血中濃度、および種々の組織におけるこれらのタンパク質の遺伝子発現を追跡した。その結果、タンパク質栄養状態の悪化あるいはインスリン依存性糖尿病によって、(1)IGF-IおよびIGFBP-3、BP-4血中濃度が低下する、(2)IGFBP-1およびBP-2血中濃度が上昇することが明らかとなった。更に、種々の臓器の各々のIGFBP遺伝子発現を追跡したところ、タンパク質栄養状態の悪化に伴って、IGFBP-1およびIGFBP-2mRNA量が著増することがわかった。 2.ラットIGF-I、IGFBP-1およびIGFBP-2遺伝子の転写制御機構の解析:まず、我々は、ラットgenomic libraryより、ラットIGF-IおよびIGFBP-1、IGFBP-2遺伝子の5′上流領域をクローニングした。IGFBP-1については、タンパク質栄養状態の異なるラット肝臓より核タンパク質を調製し、ラベルしたIGFBP-1遺伝子の5′上流領域断片とincubateし、gel retardation assayにより、両条件下で違いが観察される領域を発見した。さらに、この領域と結合する核タンパク質がHNF-1であることを確定した。一方、IGF-I遺伝子については、胎児あるいは成長後のラット肝臓の核タンパク質とIGF-I遺伝子の5′上流領域断片の相互作用について詳細な検討を行った。 3.ラット初代培養肝実質細胞・非実質細胞におけるIGF-IあるいはIGFBPの合成・分泌の制御:ラット初代培養肝実質細胞・非実質細胞にホルモンを添加するなど種々の生理状態で培養した後、培養液中に分泌されるIGF-I・IGFBP量およびこれらのタンパク質の遺伝子発現量を追跡した。ラット初代培養肝実質細胞において、IGF-I生合成は成長ホルモンおよびインスリン処理により誘導された。一方、IGFBP-1の分泌量およびmRNA量はグルカゴン・デキサメタゾン処理により増加し、インスリン処理により減少した。IGFBP-4の分泌量およびmRNA量は、インスリン・T_3処理により増加することがわかった。これに対して、IGFBP-3は肝非実質細胞で特異的に生産されており、この生合成量はIGF-I処理により上昇した。このように、肝臓におけるIGF-IおよびIGFBPの生産は、実質細胞と非実質細胞の相互作用により制御されていることが明らかとなった。 4.IGF-I標的細胞におけるcAMP情報伝達経路とIGF-I情報伝達経路の相互作用:甲状線由来細胞FRTL-5を用いて、cAMP経路を刺激するTSHとIGF-Iの同時処理により、増殖が相乗的に促進されることを発見した。更に、この際、チロシンリン酸化の段階においてcAMP経路とIGF-I経路の情報が合流することが明らかとなった。この両経路の情報の合流は、筋肉細胞・腎臓細胞・肝臓細胞などでも観察され、生理的意義の高い反応であると考えられる。続いて、tyrosine kinase阻害剤を用いた実験より、この細胞の増殖において、cAMP経路の刺激により活性化されるtyrosine kinaseが重要な役割を果たしていることを明らかにした。現在、FRTL-5細胞において、IGF-Iの情報伝達に重要であると考えられるチロシンリン酸化タンパク質の精製を、抗ホスホチロシン抗体をリガンドしたアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどを用いて進めている。
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