研究課題/領域番号 |
05044125
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
星 元紀 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (20012411)
|
研究分担者 |
DARSZON Albe メキシコ自治大学, 生物工学研究所, 教授
LONGO Frank アイオワ大学, 医学部, 教授
千葉 和義 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (70222130)
松本 緑 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (00211574)
西田 宏記 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (60192689)
|
研究期間 (年度) |
1993 – 1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1994年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1993年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
|
キーワード | 膜融合 / 受精 / 先体反応 / 精子活性化ペプチド / 硫酸化糖鎖 / 金属プロテアーゼ / 表層胞 / Gタンパク質 / G-タンパク質 / 受容体 / ヒトデ / ホヤ / ガングリオシド |
研究概要 |
本研究は、受精に関する研究のうちでも、特に解析が遅れている膜融合機構をとりあげ、受精の分子機構を理解するとともに、膜融合機構一般の理解を目指して企画されたものである。昨年度に引き続き、ウニ、ヒトデおよびホヤを主な材料として、受精に際して見られる3種の膜融合系、すなわち精子先体反応、精子一卵細胞膜融合、および受精に伴う表層胞の崩壊(エクソサイトーシス)につき以下の研究を行った。 A.先体反応 1.ARIS キヒトデ精子の先体反応誘起に中心的な役割を果たす、卵ゼリー中の硫酸化糖タンパク質(ARIS)の活性は主に硫酸化糖鎖が担っているが、ARISの主要糖鎖は次に示す5糖の繰り返しからなることを明らかにした。 [-4Xylβ1-3Galαl-3FucSαl-4Fucαl-3FucSαl-]_n (FucS:Fuc-4-sulfate) 一方、ARISが精子頭部のごく一部にのみ結合することを、光学顕微鏡に続き電子顕微鏡レベルでも明かにした。また、ARIS受容体を同定するために、光親和性標識試薬を用いてARIS受容体の標識を試みた。一方、精子表面に対するモノクローン抗体を作成し、卵ゼリーによる先体反応誘起の阻害活性、および先体反応誘起活性を指標にスクリーニングし有望な抗体をいくつか得た。 2.SAP キヒトデの先体反応に関与する、卵ゼリー中の精子活性化ペプチド(SAP)の構造解析を進め、11種の構造を決定した。いずれも34残基からなり、グルタミンに富み、ヂスルフィド結合を1つ持った環状ペプチドで、ほぼ同程度の比活性を示した。これらSAPの構造の違いは、主にN-末端領域に認められ、この領域は活性にとって余り重要でないと予想された。実際、N-末端の5残基を除いても活性には殆ど影響が認められなかった。しかし、ヂスルフィド結合を開裂すると、活性のほとんどが失われた。また、これらのSAPの遺伝子は、アミノ酸17残基に相当するスペーサーを介してタンデムに配列されていた。各スペーサーの構造は良く似ており、特に両端は良く保存されているので、一旦大きなタンパクとして翻訳された後に、特異性の高いプロテアーゼによってプロセシングされていることが予想された。 B.精子一卵細胞膜融合 3.卵との膜融合に関与する、カタユウレイボヤ精子の金属プロテアーゼの活性測定法を確立し、これを利用して同酵素を精製し、その性質を明らかにした。一方、同酵素に対するモノクローン抗体を作成し、この酵素が予想通り精子頭部に局在することを明らかにした。 また、膜融合に関与するのではないかと考えられる糖脂質の構造解析を、バフンウニ配偶子についてすすめ、新たな糖脂質の存在を確認した。目下、その構造を解析中である。 C.表層胞の崩壊 4.ヒトデでは、卵成熟に伴って、受精による表層粒崩壊の様子が顕著に変化することを光学顕微鏡レベルで明かにしてあるので、その機構を解析した。イトマキヒトデを用い、1-メチルアデニンによる卵成熟の誘起に伴い、表層胞の分布や崩壊の程度が変化するとを電子顕微鏡レベルで明らかにした。また、1-ミチルアデニンの情報伝達に関与する三量体Gタンパク質が、未成熟卵母細胞の表層に分布し、成熟に伴って消失するサイトケラチン繊維上に、約0.7μmの間隔で配列する約0.7μmのバンドとして存在することが明かになった。しかも、電子顕微鏡レベルでの免疫染色により、各バンドの内部には、さらに細かなバンドの規則的な繰り返し構造が認められた。目下、この構造の機能を解析中である。
|