研究課題/領域番号 |
05044134
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西本 毅治 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10037426)
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研究分担者 |
BISCHOFF Fra ドイツがん研究センター, 研究助手
PONSTINGL He ドイツがん研究センター, 教授
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | RCC1 / Ran / 細胞核 / Gタンパク / GEP活性 / アラニンスキャン / 細胞周期 / tsBN2変異 |
研究概要 |
RCC1タンパクは西本等によって発見され、その細胞内存在量はヒストンにも匹敵する核タンパクである。Ponstingle等はこのタンパクと特異的に結合する低分子量Gタンパク:Ranを発見した。RanはRCC1の約20倍量あると推定されており、両者とも酵母からヒトまで良く保存されている。本研究の目的は夫々の発見者が共同研究することでより深く、そして効率良くRCC1/Ran複合体の細胞周期における機能を研究することであった。この共同研究は西本等が発案しPonstingl博士等に呼びかけたものである。 西本等は分離したRCC1cDNAに多くの変異を導入しその生物活性をハムスター由来の温度感受性変異株tsBN2と分裂酵母の系を用いて研究する計画を立てた。この計画を実行するにあたり作成された変異RCC1タンパクがどのようにしてRanタンパクと作用するかを知ることは大切な要素となる。そこで、Ranタンパクを生化学的に分離しRCC1タンパクとの結合を証明したPonstingl博士等に呼びかけ変異RCC1タンパクとRanとの結合を調査していただくことにした。彼らはRCC1/Ran複合体の下流にあるGタンパク:Ranのエフェクターを探しておりその成果はRCC1タンパクの機能解析にとり重要であると考えた。 我々は既にRCC1cDNAの多数の変異体を分離しており、大腸菌で発現し精製したRCC1タンパクがGEP活性を持っていることをPonstingl博士より供給されたRanタンパクを用いて確認している。また分裂酵母内でRCC1タンパクを過剰に発現させると酵母が死ぬことも確認している。ドイツのグループの役割として以下のことを考えた。 1)Ranタンパクの分離精製と供給。 2)変異RCC1タンパクとRanとの結合性を調査する。 3)Ranタンパクに変異を導入しRCC1タンパクとの結合性、GTPase活性を調べる。 4)低分子Gタンパク:Ranのエフェクターを生化学的に探す。 計画は2年間であったが1年に短縮されたため、下記の点に重点を置いて研究した。 1。アラニンスキャンニングの方法に従いRCC1タンパクの7回繰り返し構造の中にある全ての電荷を持つアミノ酸をアラニンに変えて、変異RCC1タンパクの活性を次の方法で調べる。 1)変異RCC1cDNAを動物細胞での発現ベクターにつなぎtsBN2変異の相補活性を調べる。 2)変異RCC1cDNAを大腸菌で発現させこのタンパクを精製する。その上で、次の実験を行なう。 a:Ponstingl博士等のグループにより精製されたRanタンパクを用いて変異RCC1タンパクのGEP活性を調べる。 b:変異RCC1タンパクのRanとの結合性を調べる。 2。RCC1/Ranの系と接触しているタンパクを探す。このためには酵母のtwo-hybrid法を用いた。ドイツのグループはこれを生化学的に行なっている。 研究は継続中であり1年で目立った成果はでていないが、強いていえば以下の成果が挙げられる。 1。両方のグループの親密性がました。当然のことではあるが今後の共同研究にとって良い種をのこすことができた。 2。7回繰り返し構造の特定のアミノ酸を変えるとRCC1タンパクのGEP活性が完全にきえることがわかった。これら、GEP活性をなくしたRCC1タンパクはtsBN2変異を相補する活性もなくしていた。 3。温度感受性変異を起こしたRCC1タンパク:BN2-RCC1のGEP活性が高温で数分以内に消えることがわかった。これは変異のためにタンパクが消えるのよりははるかに前におこった。 4。Ranタンパクと結合する多数のタンパクの存在が我々の方法で示唆された。その内、2個は生化学的方法でドイツのグループにより同定されたものと一致した。この因子と変異RCC1タンパクとの作用は今後の大切な課題である。 両グループともに同じような計画を持っていることがわかり今後とも共同研究を継続することでより親密で、深いそして効率のよい研究が可能になると思われる。
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