研究課題/領域番号 |
05044139
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
新免 輝男 姫路工業大学, 理学部, 教授 (80114510)
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研究分担者 |
WILLIAMSON R オーストラリア国立大学, 生物教室, シニアフェロー
PALEVITZ A.B ジョージア大学, 生物学教室, 教授
横田 悦雄 姫路工業大学, 理学部, 助手 (80212299)
三村 徹郎 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (20174120)
WILLIAMSON Richard E. Research School of Biological Science, Australian National University
BARRY Palevitz A. Department of Botany, The University Georgia
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1993年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | 細胞骨格 / 原形質流動 / ミオシン / アクチン / カルシウム / 花粉管 / 車軸藻 / 培養細胞 |
研究概要 |
本研究は原形質流動の機構とその制御機構について明らかにすることを目的としている。特に研究の重点は原形質流動に関与するミオシンのカルシウム制御に関する研究においた。さらにその他にもミオシン抗体を用いた研究や根毛における逆墳水型流動の機構、原形質流動に対するオカダ酸の効果およびミオシンの細胞内分布についても見るべき成果を挙げた。 1.テッポウユリ花粉管のカルシウム制御 本研究の準備段階において、我々はテッポウユリ花粉管から170KDの重鎖を含むミオシンを精製することに成功していた。今年度はそのミオシンのカルシウム感受性について解析した。 以前の研究において我々は花粉管の細胞小器官が車軸藻のアクチンケーブルの上を滑り運動することを発見し、花粉管中においてはミオシンが細胞小器官の表面に結合してアクチンと滑り運動することによって原形質流動の力発生を行っていると結論した。この時、車軸藻アクチンケーブル上における花粉管細胞小器官の運動がカルシウムによって阻害されることから、花粉管ミオシンは阻害性のカルシウム感受性を持つことを予測した。その後、我々は120KDの重鎖を含むミオシンを花粉管から精製し、これを用いてカルシウム感受性を調べた。テッポウユリ花粉管のミオシンをカバーガラスの表面に固定し、その上における蛍光標識アクチンフィラメントの運動を観察することによってミオシンの運動活性を測定するいわゆるin vitro motility assayによってミオシンのカルシウム感受性を調べた。この時はカルシウム濃度を1mMにまで上げてもミオシンの運動活性は全く影響を受けなかった。 その後、精製法を改良した結果、170KDの重鎖を含むミオシンを得ることができ、これが本来花粉管に含まれているミオシン重鎖であり、120KDの重鎖は精製過程における分解産物であることが明かとなった。この170KDの重鎖を含むミオシンを用いてin vitro motility assayによって運動活性のカルシウム感受性を調べたところμM程度のカルシウムによって阻害されることが分かった。植物からカルシウム感受性のあるミオシンを精製することに成功したのはこれが初めてである。また、部分分解によってミオシンのカルシウム感受性が失われるので、この現象をさらに解析することによって、ミオシンのカルシウム制御機構にアプローチできる可能性がある。 2.根毛における逆墳水型流動の機構 トチカガミの根毛では典型的な逆墳型の原形質流動がみられるが、今だかって組織だった解析はなされていない。我々はアクチンの阻害剤であるサイトカラシンとミカロライドを用いて解析を行った。サイトカラシンは10μM程度の濃度で原形質流動を完全に阻害した。この時、液胞中をつらぬく原形質の糸(transvacualar strand:以下TSと略す)が消失した。ロ-ダミン・ファロイジンで染色すると、細胞の周辺およびTS内にアクチンフィラメントが見られるが、サイトカラシン処理によってこれらのアクチンフィラメントは消失した。サイトカラシンを洗うと、原形質流動が回復すると共にTSとアクチンフィラメントが出現した。 ミカロライドも同様に原形質流動の阻害と共にTSとアクチンフィラメントの消失をひきおこしたが、サイトカラシンとは異り、その作用は不可逆的であった。ミカロライドを植物細胞に用いたのはこれが始めてであり、以後、この阻害剤の活用が期待される。 3.オカダ酸による花粉管の原形質流動の阻害 テッポウユリの花粉管にオカダ酸を作用させると原形質流動が阻害された。この時ロ-ダミン・ファロイジンで染色してみるとオカダ酸はコントロールと同じ構造を保っていた。これらの結果から、オカダ酸はミオシンのリン酸化を促進することによって原形質流動を阻害した可能性が考えられる。 4.ミオシン抗体を用いた各種植物のミオシンの解析 我々はテッポウユリ花粉管のミオシンに対する抗体を作製することに成功している。本研究ではこの抗体を用いてタバコ培養細胞、ムラサキツユクサの花粉管などのミオシンについてイミュノブロッティング、蛍光抗体法で解析した。
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