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ツパイの音声カタログの作成および聴覚系の特異性に関する共同研究

研究課題

研究課題/領域番号 05044142
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関北海道大学

研究代表者

亀田 和夫  北海道大学, 歯学部, 教授 (70018414)

研究分担者 鎌田 勉  北海道大学, 歯学部, 助手 (20091431)
POON Paul W.  台湾, 国立成功大学・医学院生理学研究所 香港・香港大学・医学部, 教授 名誉講師
孫 心徳  中国, 華東師範大学・生物系, 教授
SUN Xinde  East China Normal University, Department of Biology, Professor
PAUL W. F.Po  香港大学, 医学部 (香港), 講師
研究期間 (年度) 1993 – 1994
研究課題ステータス 完了 (1994年度)
配分額 *注記
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1994年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1993年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
キーワードツパイ / 音声 / 聴覚 / 下丘 / 大脳皮質 / 音声カタログ / 聴覚系 / 音声周波数 / FM音への反応
研究概要

本研究では、かって原始的な霊長類として霊長目に分類されたこともあるくらい哺乳類の中で系統進化学上興味のある動物であるツパイ(Tupaia belangeri chinensis)について動物が発生する音声のカタログの作成と種固有音声を含む複雑音の音声認識に関わる聴覚系の特性を神経生理学的に明らかにすることが目的であった。
ツパイは多彩な鳴き声を発するにもかかわらず、その音声学的分析は十分なされていなかったので、中国南部に棲息するものを入手して聴覚研究を行っていた相手国・孫心徳教室との共同研究としてこれを取り上げることとなった。昨年度、分担者が上海の孫教授の研究室に趣き、ツパイ音声を録音した。録音は聴覚実験に使用する防音室内で、それをコンピュータを用いて分担者・P.W.F.Poonと共同で音声分析をした。音声の録音は、雄だけ、あるいは雌だけを飼育用金網ケージに入れて室内に置いた場合、雄雌のペアで置いた場合などに分けて行った。鳴き声には3通りのものがあったが、最もよく出される鳴き声について詳細に分析した。それは6-7個の成分からなる1続きの鳴き声で、ツパイに独特のものであった。音声はアナログテープに録音した他、ディジタイズしてコンピュータファイルとし、後の分析に使用した。それを基に、Poonは香港(当時)において独自の分析プログラムを開発して、この鳴き声500個を分析してソナグラムとした。香港に赴いた分担者・鎌田はその分析に参画し、さらに作られたソナグラムを基に、第一倍音成分の長さ、周波数、周波数の時間変化などの特徴をそれぞれについて抽出して、統計的に解析した。その結果、大量の鳴き声を比較すると雌雄の相違に相当するかと思われる2つの傾向に分かれることが示唆された。そこで、本年度において、相手国分担者・孫のもとで、この点に注意してさらに新たな鳴き声の録音を行った。また、3通りの鳴き声の他にも鳴き方がないかどうかについても検討した。実験室という人為的な環境下では、それ以上の鳴き声を録音することは結果的にむつかしかったが、自然環境下での発声のレパートリーがもうないのかどうかについては検討を要する。
雌雄の相違については、本年度、相手国より孫を招へいした際にも新しく購入されたKAY者のソナグラフ装置を用いて、予め雌雄を区別して録音された音声について分析・検討した。それによって上記の周波数と周波数の時間的変化の2点について雌雄で微妙な相違があることが示された。これらの結果について分担者Poonとも合議の上、発表できるように取りまとめが行われた。
ツパイの聴覚系に関する実験については、昨年度では特に下丘のニューロンの基本的特性とFM音に対する感受性について検討した。実験を始めてみるとツパイは他の哺乳類と比較して上丘が非常に発達していて下丘の上をおおっており、ニューロンの記録を行うための微小電極を下丘に刺入するのが非常にむつかしく、記録を行うのに問題があることがわかった。しかし、それを可能とし、下丘ニューロンの純音に対する基本的特性と、分担者Poonが開発したランダムノイズによって周波数変化を制御する種々なFM音を使用するFM音感受性を調べる方法をツパイに適用して、実験を行った結果、ツパイでもFM音に対する感受性については他の哺乳類と際だって相違することはなく、他の哺乳類と基本的に同じ反応様式を示すことがわかった。さらに本年度では、大脳皮質ニューロンの記録を試み、その基本的特性とFM感受性についてのデータを収集した。これらについては結果をとりまとめつつあるが、種々の制約のためデータが十分でないことから、さらに実験を要すると思われる。15EA05:以上、哺乳類の中で、系統進化学上、興味のある動物であるツパイの音声・聴覚についての実験を行い、音声の分析と雌雄の鳴き声の相違、聴覚系、特に下丘・大脳皮質のニューロンの記録を行い、これまで知られなかったニューロンの反応を記録することができた。結果はまもなく発表できるように準備を進めている。

報告書

(2件)
  • 1994 研究成果報告書概要
  • 1993 実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 鎌田 勉,亀田 和夫: "発声中枢刺激によるラット超音波発声の動態" 歯科基礎医学会雑誌. 35(S). 230 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] Kamada,T.and Kameda,K.: "Response properties of auditory cortical neurons in Japanese monkeys" Jpn.J.Physiol.43. S212 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書

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公開日: 1993-04-01   更新日: 2016-04-21  

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