研究課題/領域番号 |
05044147
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡邊 建彦 (渡邉 建彦) 東北大学, 医学部, 教授 (70028356)
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研究分担者 |
STEINBUSCH H マースリヒト大学, 医学部, 教授
TIMMERMAN He アムステルダム自由大学, 理学部, 教授
堀尾 嘉幸 大阪大学, 医学部, 講師 (30181530)
谷内 一彦 東北大学, 医学部, 講師 (50192787)
大和谷 厚 大阪大学, 医学部, 教授 (30116123)
福井 裕行 大阪大学, 医学部, 助教授 (90112052)
HARRY Steinb アムステルダム自由大学, 医学部, 助教授
HENDRIK Timm アムステルダム自由大学, 理学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1993年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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キーワード | ヒスタミンH1受容体 / ヒスタミンH3受容体 / アップ・レギュレーション / クローニング / NMDA受容体 / マイクロダイアリシス / PET / 神経毒 / 初代培養 |
研究概要 |
ラット、モルモット、ヒトのヒスタミンH1受容体遺伝子をクローニングした。3者ともは、イントロンをもたず、それぞれ486、488、487個のアミノ酸をコードする。いづれも7ヶ所の膜貫通領域をもち、この領域と細胞内領域の膜に近い部分で互いに相同性が高かった。ラットのH1受容体mRNAは一種類であったが、モルモット、ヒトでは脳に一種類、末梢に二種類のmRNAが検出された。ヒトH1受容体はホルボルエステル処理でアップレギュレーションをうけ、20時間後に結合量は最大となり、mRNAは6時間で最大となった。このアップ・レギュレーションにはH1受容体の脱感作の場合とは異なるC-キナーゼ・アイソザイムの関与が示唆された。また、Site directed mutagenesisの結果から、H1受容体タンパクのAsp107、Asn198、Tyr431がヒスタミンの結合に重要であることがわかった。クローン化したヒスタミンH1受容体はキニ-ネに親和性がないのに対して、脳および末梢組織ではキニ-ネに親和性のあるヒスタミンH1拮抗薬が結合する部位があることを明らかにした。 ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(PET)を用いてヒスタミンH1受容体のヒト脳内分布を調べ、複雑部分発作、痴呆症例に応用し、特異的な変化を見いだした。即ち、複雑部分発作症例のてんかん焦点においてH1受容体の増加を認め、また、アルツハイマー病、多発性梗塞性痴呆症においてH1受容体は性と年齢の一致した正常対照群より大脳皮質で減少していた。これらの臨床的結果を裏付けるために、病態モデル動物や手術脳・剖検脳を用いて基礎的研究を行った。 ヒスタミン神経系に特異的な神経毒の可能性として6-OHDAとのアナロジーから合成された2,3,5-トリヒドロキシフェニルヒスチジンをスタインブシュ教授より入手し検討した。本物質をラット視床下部に微量注入し、抗HDC抗体を用いてヒスタミン・ニューロンを染色し計測したが、ほとんど破壊はみられなかった。そこで興奮性アミノ酸の効果を、種々のアゴニストを同じく微量注入し検討した。NMDA-1受容体に特異的に作用するイボテン酸によっては破壊されたが、NMDA-2受容体に特異的なキノリン酸によっては破壊されなかった。AMPA受容体に特異的なキスカル酸は5%しか破壊されず、カイニン酸受容体に特異的なカイニン酸では全く破壊されなかった。 受容体オートラジオグラフィー法を用いてH1とH3受容体の生後発達をラットにおいて検討した。H1受容体は生後2日目から検出でき、16日で成獣レベルに達するのに対して、H3の方は9日までは検出できず、23日で成獣レベルに到達した。多重標識受容体オートラジオグラフィーを開発し、これを用いてH3受容体とドパミンD1受容体が線条体に存在するニューロンに共存していることを明かとした。H3受容体は種々の化学的、物理的神経破壊によってアップレギュレーションされることを示した。また、除神経によるH3受容体の増加は、破壊された神経の後シナプス側において増加するのに対して、神経障害によって同じく増加することが知られている一酸化窒素合成酵素は傷害された神経細胞自体で増加する。 ティンマーマン教授により開発された新規H3アゴニスト、イメピップとアンタゴニスト、クロベンプロピットのヒスタミンとGABA遊離に対する効果を脳内微小透析法を用いて検討した。イメピップはヒスタミン遊離を抑制したが、GABA遊離には変化なかった。クロベンプロピットはヒスタミン遊離を増加させたが、GABA遊離には影響しなかった。チオペラミドはヒスタミン、GABAの遊離を増加させた。クロベンプロピットは電撃痙攣の強直相、間代相、昏睡相のすべての持続時間を用量依存的に短縮した。
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