研究課題/領域番号 |
05044166
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岸本 忠三 大阪大学, 医学部, 教授 (10093402)
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研究分担者 |
DAVIS M. スタンフォード大学, 助教授
REINHARZ E. ハーバード大学, 助教授
KIYONO H. アラバマ大学, 教授
LOH D. ワシントン大学, 助教授
西川 伸一 京都大学, 医学部, 教授 (60127115)
平野 俊夫 大阪大学, 医学部, 教授 (40136718)
高津 聖志 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10107055)
奥村 康 順天堂大学, 医学部, 教授 (50009700)
本庶 佑 京都大学, 医学部, 教授 (80090504)
笹月 健彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50014121)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 自己免疫疾患 / 自己トレランス / アポプトーシス / CD5^+B細胞 / 接着分子 / B70 / MHC分子 / 抗原ペプチド |
研究概要 |
自己と非自己の識別、及びその異常に起因すると考えられる自己免疫疾患の発症機構に関する研究は現在免疫学における最も中心的な命題の一つである。日米両国において第一線の研究者が以下の研究目標のもとに共同研究を行うことを決定しその目的を遂行するため本年度は本庶佑(京大)、奥村康(順天堂大)、笹月健彦(九州大)の3名がNIH、スタンフォード大、ハーバード大学に出張し共同研究立案、討論、情報交換を行った。この国際学術研究が目的とする研究テーマは 1.自己トレランス獲得のためのpositive及びnegative sclectionの分子機構の解明 2.免疫非応答の分子機構解析のためMHCとペプチドの相互作用、及びT細胞レセプターによるその認識、更にそれに引き続くサイトカイン遺伝子群活性化の解析 3.HLA多重遺伝子族の発現制御とその異常による自己免疫疾患発症機序の解析であり、この目的に沿って共同研究が行われ、以下の成果が得られた。 本庶教授はトランスジェニックマウスを用いたB細胞トレランス発現機構の解析データと自己免疫病の治療法に関する研究をW.E.Paul,M.Leonald,J.Ashwell,R.Schwaltz,P.Mezinger博士等と長期間に亘って討論を行い、その結果きわめて有益な示唆と実験計画に対する有益な批判を得た。具体的には自己免疫病の治療法として、腹腔内に蒸留水を投与することによって、CD5^+B細胞を死滅させ、自己免疫の治療を図る実験をおこなったところ、NZBマウスの溶血性自己貧血に関してきわめて驚くべき効果が現われた。すなわち、一週間ごとの蒸留水投与によって溶血性貧血の発症頻度および脾臓の重量の増大が著しく低下することが明かとなった。このデータの解釈と意義について充分な討論を行えたのはきわめて有益であった。 一方、B細胞トレランスに際する細胞死機構の研究をめぐって、J.Ashwell博士、R.Schwaltz博士と議論をした結果、彼らのT細胞系中心の細胞死、もしくはアナジーによるトレランスと比較討論すること、また、他の多くの細胞死のメカニズムに関しては、現在、多くのグループが異なる系において様々な角度から知見を終結しているが、これを総合的な視点からまとめて議論する機会は必ずしも多いとは言えず、このような議論に基づいて、平成6年8月にNIHにおいて約20名の演者を集める国際シンポジウムを開催することを決定し、NIHがorganizerとなって計画することを提案し、最近これが承認された。 奥村教授は免疫反応におけるT細胞活性化とその逆のアナジーの成立に関与する接着分子の役割を解明するための共同研究を行った。奥村らの研究室で、確立した未知の接着分子に対するモノクローナル抗体を用い、スタンフォード大学医学部遺伝子学教室、DNAXの研究者の協力を得、米国側のcDNAライブラリー等を用い、未知の接着分子で、休止期のT細胞の活性化に最も主要な分子B70を同定することが出来た。 笹月教授はHLAによる免疫制御に関する最新の情報の交換、研究資料の交換、さらに共同研究の立案を目的としてJ.Strominger教授、D.Willey教授、C.Morimoto助教授(ハーバード大学、ボストン)、B.Dupont教授(スローンケタリング癌研究所、ニューヨーク)、およびH.O.Mcdevitt教授、M.Davis教授、G.Fathman教授(スタンフォード大学、スタンフォード)を訪ねた。J.Strominger教授、D.Willey教授と、HLAクラスII分子の結晶解析結果から、抗ペプチド結合部位の構造、結合する抗原ペプチドの備える条件、HLAクラスII多重遺子族のHLA-DR、DQ、DPの構造の差等につき、情報を交換した。C.Morimoto助教授と接着分子を介した免疫制御につき討議し、共同研究を立案した。B.Dupont教授と、HLAクラスII分子を介するシグナル伝達について新の情報を交換した。H.O.McDevitt教授、M.Davis教授、G.Fathman教授と、HLAトランスジェニックマウスを巧みに利用したT細胞レパトワ決定におけるMHCクラスII分子の役割についての共同研究の成果を示し、新しい考え方を提示し、今後の共同研究につき詳な打ち合わせを行った。
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