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ヒト好中球のスーパーオキサイド産生酵素-その分子構成と活性誘導の機構

研究課題

研究課題/領域番号 05044181
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関愛媛大学

研究代表者

田村 実  愛媛大学, 工学部, 助教授 (00128349)

研究分担者 LAMBETH J.Da  エモリー大学, 医学部, 教授
LAMBETH J.D.  アメリカ合衆国, エモリー大学・医学部, 教授
研究期間 (年度) 1993 – 1995
研究課題ステータス 完了 (1995年度)
配分額 *注記
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
キーワード好中球 / NADPH oxidase / 活性酵素 / アクチン / 細胞骨格 / 細胞内情報伝達 / ホスファチジン酸 / スペルミン / スーパーオキサイド / G protein / Cross-linking / 貧食作用 / 活性酸素 / 貪食作用
研究概要

NADPH oxidase(O_2産生酵素)のサブユニット構造を解明するために,セミリコンビナント系(遺伝子工学で得られたp47,p67,及びracと形質膜画分からなる再構成系)で本酵素を活性化し,これを架橋剤で固定化したのち,二次元電気泳動で構造を解析することを試みた。タイプの異なる数種の架橋剤を用い種々の条件を試みたが,無細胞系と違ってセミリコンビナント系では架橋剤による安定化が難しく,また強い条件で安定化させると酵素活性そのものが失活してしまった。
セミリコンビナント系での架橋剤による安定化が細胞質ゾルの場合と比べてはるかに低いことから,細胞質ゾル中に安定化に関与する蛋白が何かあるのではないかと考え,細胞質ゾル中に多量に存在するアクチンについて,本酵素の活性化との関連を検討した。その結果,酵素の活性化および活性化した酵素維持に重合アクチンが重要な役割を果たしている事を示す実験データを得た。好中球の活性化に伴いアクチンが重合することはすでに海外の2,3のグループから報告されているが,それがNADPH oxidaseの活性化/保持と関係しているかどうかはこれまで不明であり,今回の知見は極めて興味深い。またこのことは,無細胞活性化で架橋剤による安定化をおこなった際,架橋複合体が巨大分子になったという我々の以前の知見とも一致する。今後はこの点(アクチンの重合)も考慮に入れながら活性複合体の解析法を改良し,酵素の成り立ち(サブユニット間の動的相互作用も含めて)検討して行きたい。
上記のような実験にはリコンビナント蛋白が多量に要る。これまでリコンビナト蛋白は研究分担者であるLambethの研究室で調整したもの使っていたが,量的に限度があり,また輸送上のトラブルなどもあり,やはり自分の研究室で調製することが望まれた。そこで,まずサブユニットのうちracについては大腸菌を用いて大量発現する系を確立した。次いでp47とp67をバキュロウイルス/昆虫細胞系を使って大量生産することに着手した。こちらについては昆虫細胞の培養と組換えウイルスの感染の方法をLambeth研究室から習得し,若干改良をしながら我々の手で生産を始めた。現在p47についてはSf21細胞を使って,またp67についてはHi-Five細胞を使った系をほぼ確立している。今後これらのリコンビナント蛋白を研究に用いたい。
本研究のもうひとつのテーマであるNADPH oxidaseの活性誘導の機構については,本酵素がアニオン性の脂質により活性が誘導されるという従来の知見に着目し,細胞内の活性化因子としてホスファチジン酸がその有力な候補であることを膜透過性を上げた細胞を使ってつきとめた。ホスファチジン酸は細胞の活性化とともにレベルが上昇し,その濃度は酵素を活性化するのに十分な濃度であることから好中球から情報伝達において2nd messengerの役割を果していると思われる。また近年ホスファチジン酸によるG-蛋白(ras)の活性化が報告されていることから,G-蛋白であるracへの直接の作用が期待される。これらについては今後検討して行きたい。
一方本酵素の活性化を制御する細胞内分子として,生体ポリアミンに着目し検討した結果,生体ポリアミンのうちスペルミンが本酵素の活性化を強く抑制することを,細胞レベル/無細胞レベルの両方で明かにした。無細胞レベルの実験から,スペルミンの作用は酵素の基質や活性化剤に対するものではなく,細胞質ゾル中のタンパクであることを明かにした。さらにそのタンパク分子を特定するためにセミリコンビナント系(上述)を使って解析し,スペルミンが酵素サブユニット(特にp67)に作用して活性複合体の形成を妨げることを明かにした。これらの結果は,実際の細胞内でのスペルミンの抑制分子としての働きを示唆するものとして興味深く,今後さらに検討して行きたい。

報告書

(3件)
  • 1995 研究成果報告書概要
  • 1994 実績報告書
  • 1993 実績報告書
  • 研究成果

    (16件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (16件)

  • [文献書誌] 森松朋美: "ヒト好中球NADPH oxidaseの活性化におけるアクチン重合の役割" 生化学. 68(発表予定). (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kenichi Ogata: "Spermine suppresses the activation of human neutrophil NADPH oxidase in cellfree and semi-recombinant systems" Biochem.J.313. 549-554 (1996)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 田村実: "スペルミンによる好中球NADPHオキシダーゼ無細胞活性化の抑制-セミリコンビナント系を用いた作用機序の検討" 生化学. 67. 936- (1995)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 田村実: "ヒト好中球NADPHオキシダーゼの無細胞活性化に及ぼすスペルミンの影響" 生化学. 66. 652- (1994)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Minoru Tamura: "Phosphatidic acid-induced O_2 generation in electropermeabilized human neutrophils" Arch.Biochem.Biophys.305. 477-482 (1993)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 田村実: "ホスファチジン酸によるヒト好中球スーパーオキシド産生の誘起-電気穿孔法を用いて-" 生化学. 65. 944- (1993)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Tomomi Morimatsu: "The role of actin polymerization in human neutrophil NADPH oxidase" Biochemistry (Japanese) submitted. 68. (1996)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kenichi Ogata: "Spermine suppresses the activation of human neutrophil NADPH oxidase in cell-free and semi-recombinant systems" Biochem.J.313. 549-554 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Minoru Tamura: "Suppression of cell-free activation of neutrophil NADPH oxidase using semi-recombinant system" Biochemistry (Japanese). 67. 936 (1995)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Minoru Tamura: "Effect of spermine on cell-free activation of human neutrophil NADPH-oxidase" Biochemistry (Japanese). 66. 652 (1994)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Minoru Tamura: "Phosphatidic acid-induced O_2 generation in electropermeabilized human neutrophils" Arch.Biochem.Biophys.305. 477-482 (1993)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Minoru Tamura: "Induction of human neutrophil O_2 generation by phosphatidic acid using electroporation" Biochemistry (Japanese). 65. 944 (1993)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 田村実: "ヒト好中球NADPHオキシダーゼの無細胞活性化に及ぼすスペルミン影響" 生化学. 66. 652 (1994)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] Minoru Tamura: "Phosphatidic Acid-induced Superoxide Generation in Electro-permeabilzed Human Neutrophils" Arch.Biochem.Biophys.305. 477 (1993)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 田村実: "ホスファチジン酸によるヒト好中球スーパーオキサイド産生の誘起" 生化学. 65. 944 (1993)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] MINORU TAMURA: "Phosphatidic Acid-Induced Superoxide Generation in Electropermeabilized Human Neutrophils" Archives of Biochemistry and Biophysics. 305. 477-482 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書

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公開日: 1993-04-01   更新日: 2016-04-21  

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