研究課題/領域番号 |
05044192
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
成瀬 達 名古屋大学, 医学部, 講師 (50180550)
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研究分担者 |
HERBST F. ビオテク研究所, 所長
FORSMANN W.G ニーダーザクセン州立ペプチド研究所, 所長教授
WRAY Victor 国立バイオテクノロジー研究所, 室長
軒原 清史 島津製作所, バイオ機器部, 研究開発専門部長 (60137073)
尾崎 毅 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (20045694)
古家 園子 (古屋 園子) 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (20096952)
FORSSMANN W. ニーダーザクセン州立ペプチド研究所, 所長 教授
VICTOR Wray 国立バイオテクノロジー研究所, 主任 研究員
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | PACAP / PRP / VIP / エンドセリン / NMRスペクトル分析 / ラジオイムノアッセイ / 免疫組織化学 / 受容体 / セクレチン / NMRスペクトル / 構造活性相関 |
研究概要 |
脈管作動性ペプチドの(1)構造解析、(2)生理作用、(3)生体内分布および(4)受容体の研究を2年度にわたり進め、その分子認識機構と生理作用の解析を行った。 1.脈管作動性ペプチドの構造の研究 強力な血管拡張作用を有するPACAP(Pituitary Adenylate Cyclase Activating Polypeptide)およびその前駆体上に存在するPACAP関連ペプチド(PRP)を化学合成し、構造を解析した。CDおよびNMRスペクトル分析の結果、PACAP38の9-26位と28-38位にはαヘリックス構造が存在し、20-21位にはヒンジが存在することが明らかとなった。PACAP27の構造は、C端部のヘリックス構造を欠く以外、PACAP38と同じであった。両分子型ともN端部は自由な構造をとっていた。PRPの3位と20位にはαヘリックス構造が存在し、PRPは構造的にPACAPと同様セクレチングルカゴンファミリーのペプチドの特色を備えていることが判明した。 脈管作動性ペプチドの生理作用の研究 これらの構造解析に基づき、各種誘導体を化学合成し、その生物活性を検討した。PACAP38および27は、麻酔犬の大腿動脈およびモルモットの単離血管標本に於いて用量依存性の強力な血管拡張作用を示した。PACAPの血管拡張作用は内皮細胞およびNOに依存せず、直接作用であり、PACAP38の作用は27より持続性があった。この持続作用にはPACAP38C端の構造が関係しており、PACAP37、36、35、34、33と順次作用時間は減少したが、最大反応量には変化が無かった。PACAPのN端のヒスチジン残基はこのペプチドの作用発現に重要であった。PRP生物活性は、無麻酔犬の左胃動脈およびモルモットの単離血管ならびに胆嚢平滑筋標本に於いて検討した。PRPはPACAPと異なりこれらの血管系において拡張作用を示さなかった。しかし、モルモットの単離胆嚢平滑筋標本ではPACAP同様に収縮反応を示した。 3.脈管作動性ペプチドの生体内分布の研究 PACAPの生体分布と生合成を研究するために、PACAPおよびPRP特異的ラジオイッムノアッセイ系を確立し、モルモットに於いて両ペプチドの組織含量ならびに生体内分布を解析した。PACAPならびにPRPの免疫活性は視床下部に最も多く存在したが、中枢神経系ばかりではなく、消化管、肺、副腎など広く分布していた。組織抽出物中のPACAPおよびPRPの免疫活性はHPLC上、合成品と同部位に認めた。免疫組織化学的にはPACAPならびにPRPの免疫活性は消化管の粘膜下ならびに筋間神経叢の神経節細胞および神経繊維に存在していた。これらの知見は、モルモットにおいてPRPもしくは類似ペプチドがPACAPと共に生合成され、神経伝達物質として脈管の調節などに関与している可能性を示唆している。 4.脈管作動性ペプチドの受容体の研究 (1)脈管作動性ペプチドの受容体の構造と分布を免疫組織化学的に検索するために、セクレチンならびにエンドセリン受容体のcDNA構造を基に各種フラグメントを化学合成した。これらのペプチドを家兎に免疫することにより抗血清を得た。ラット膵臓の粗膜標本をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、PVDF膜にブロッテング後、抗セクレチン受容体フラグメント血清により染色した。cDNA構造から推定される約50kDaの分子量に相当する部位が染色された。またセクレチン、エンドセリン受容体抗体により膵導管細胞ならびに肝の伊東細胞が特異的に染色された。 (2)PACAPおよびVIP受容体における両ペプチドの分子認識機構を解析するためPACAPならびに両ペプチドのハイブリッドを化学合成し、ラット脳の膜標本に対する結合能ならびにモルモット単離胆嚢平滑筋標本に対する作用を検討した。両ペプチドの構造が最も異なるC端部置換体は脳膜標本への結合能および胆嚢平滑筋標本収縮作用ともに変化はなかった。比較的自由な構造を取るN端部の置換によりPACAPの脳膜標本への結合能は抑制され、胆嚢平滑筋標本に於いて弛緩作用が発現した。したがってPACAPおよびVIP受容体における両ペプチドの分子認識機にはN端部が重要である。
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