研究概要 |
ソウル大学を訪問し,韓国側研究分担者の李仁圭教授及び高哲煥教授と研究打ち合せを行ない,あわせて日韓両国における海産底生生物研究の現状及び今後の研究のあり方について情報と意見の交換を行なった。また,韓国における底生生物の研究に関する成果はほとんど韓国の国内誌に発表されているので,韓国誌について文献調査を行なった。 韓国の海藻についてはソウル大学の李教授の研究室が調査研究の中心的役割を果しており,多くの文献を入手すると共に,韓国東北部海岸の海藻植生の現状視察を12月に実施した。また,韓国南東部海岸については3月に現地視察を実施し,現状の把握に努めた。 韓国に面した日本の日本海沿岸の海藻植生については,日本国内発行の研究誌ならびに水試等の出版物を中心に資料の収集を行ない,それらの整理を実施中である。 韓国の底生動物研究の歴史は浅く,研究者も少ない。そのため,分類学的研究の割合が最近まで高かったが,現在は高教授を中心として,多毛類を中心とした群集レベル(種多様性,分布)の研究が各地で精力的に進められている。韓国の底生動物の研究では,2枚貝の増養殖に関連した応用的研究の占める割合が多い。また,韓国西海岸は潮位差が極めて大きいために世界でも有数の広大な干潟が発達しており,西海岸の干潟が韓国の底生動物の多様性と分布を特徴づける重要な生態系のひとつとなっている。そこで,仁川にある韓国西海水産研究所を訪問し,浅海域における底生動物の増養殖の現状について説明を受けると共に,仁川近郊の干潟の現状を視察した。 底生動物に関する国内研究としては,宮城県七北田河口域において研究を進めており,この結果をも含めて,日韓両国の河口域の比較を更に進める予定である。
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