経済成長と地域社会の変化

• 研究課題/領域番号: 05045016
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 大学協力
• 研究機関: 長野大学
• 研究代表者: 嶋田 力夫 長野大学, 産業社会学部, 教授 (60097459)
• 研究分担者: 李 文英 河北大学, 日本研究所, 講師 ; 江 瑞平 河北大学, 日本研究所, 助教授 ; 陳 俊英 河北大学, 日本研究所, 講師 ; 孫 執中 河北大学, 日本研究所, 教授 ; 郭 士信 河北大学, 日本研究所, 助教授 ; 焦 必方 復旦大学, 日本研究センター, 助教授 ; 童 適平 復旦大学, 日本研究センター, 講師 ; 陳 建安 復旦大学, 日本研究センター, 教授 ; 鄭 励志 復旦大学, 日本研究センター, 教授 ; 田中 夏子 長野大学, 産業社会学部, 講師 (30257505) ; 京谷 栄二 長野大学, 産業社会学部, 助教授 (90195397) ; 安井 幸次 長野大学, 産業社会学部, 教授 (10133472) ; 圓増 治之 長野大学, 産業社会学部, 教授 (60168820) ; 小川 勝一 長野大学, 産業社会学部, 教授 (10148190) ; 天野 勝行 長野大学, 産業社会学部, 教授 (10090672) ; 表 秀孝 長野大学, 産業社会学部, 教授 (90097452) ; 桜田 百合子 長野大学, 産業社会学部, 教授 (50097458) ; CHEN Jian An FUDAN UNIVERSITY ; ZHENG Li Zhi FUDAN UNIVERSITY ; LI Wen Ying HEBEI UNIVERSITY ; CHEN Jun Ying FUDAN UNIVERSITY ; TONG Shi Ping FUDAN UNIVERSITY ; SUN Zhi Zhong FUDAN UNIVERSITY ; GUO Shi Xin FUDAN UNIVERSITY ; JIANG Rui Ping FUDAN UNIVERSITY ; JIAO Bi Fango FUDAN UNIVERSITY ; 朱 文富 河北大学, 日本研究所, 講師
• 研究期間 (年度): 1993 – 1995
• 研究課題ステータス: 完了 (1995年度)
• 配分額: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円); 1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円); 1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円); 1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
• キーワード: 日本 / 中国 / 比較研究 / 中小企業 / 郷鎮企業 / 内発的発展 / 農村工業化

研究概要

本助成金による調査研究は、内発的発展論からの中小企業・郷鎮企業に関する先行研究を踏まえながら、3つの調査地点(長野県坂城町・上海市近郊・河北省保定市)の地域企業と家族について行なわれた。この研究の特徴的な点は次のようなものである。
1.坂城町の工業集積過程の特質と地域企業の現状に関しては、第一に、坂城町の地域的特性、地域企業の特質を歴史的に考察する中で、坂城町工友会・商工会が果たしてきた役割に着目し、フォーマル、インフォーマルな企業間の協力体制が、地域企業集積の特質を形成していく上での意義を解明した。第二に、D.フリードマンがM.ピオレとC.セイベルの「柔軟な専門化」論を指針として、日本の中小企業のフレキシブル生産システムの特質を示す事例として坂城町を取り上げ理論的展開を行なっているが、その理論的展開のもつ欠陥、すなわち、「地域産業共同体」としての坂城町の内実とその基盤の解明の欠落および企業の労働条件の分析の欠落に焦点をあて実態調査に基づいた分析を行なった。第三に、いわゆる「キーパーソン」としての企業家群像について、1987年の坂城町商工会調査による因子分析(町民意識・経営実践・企業家精神)によって析出された企業家精神の3つの類型に対して、新たな実態調査を行なうとともに、世代的考察をも加え、企業家群の社会的、文化的基盤にまで立ち入って分析した。
2.中国郷鎮企業の現状と課題については、第一に、中国農村工業化の過程で郷鎮企業が急速に発展した背景として、1978年からの農村改革(家庭経営請負責任制、農産物買い上げ価格の引き上げ、統一買い付け・統一販売制度の廃止等)があった点を、江蘇省南部地域を事例として取り上げ、分析した。第二に、地域社会と密着している郷鎮企業が、競争よりも協力、一企業の利益よりも地域社会全体の利益を追求している状況=共同体の再構築=について、上海市近郊と坂城町の現地調査を踏まえて分析した。第三に、上海市の嘉定区南翔鎮と奉賢県江海郷の郷鎮企業の調査を踏まえて、地方政府と個別企業との間での経営管理上の問題点を解明した。
3.今後の課題としては、第一に、子どもの生活調査の日中比較分析を行なうことである。既に3地区で質問紙による調査を実施したが、補充調査の必要性等により継続研究が必要となっている。第二に、「キーパーソン」の日中比較分析を行なうことである。既に坂城町の企業家群像については、新たな視点からの分析をおこなってきているが、この分析を踏まえて、上海市近郊、河北省保定地区の企業家群像を分析し、日中の比較を行なう必要がある。第三に、地域中小企業・郷鎮企業と地域社会との関連をトータルに分析していく課題がある。郷鎮企業の発展に伴う「市鎮化」(都市化)によって、「社区」(地域コミュニティ)の変容していく過程の分析などがそれである。

研究成果

• [文献書誌] 小川 勝一: "日中共同研究のひとつの考え方(ノート)-その1" 長野大学紀要. 第17巻. 98-108 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 長野大学産業社会学部編: "地域の暮らしと環境問題" 郷土出版社, 226 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Shoichi Ogawa: "A Thought on Joint Study of Japan and China" BULLETIN OF NAGANO UNIVERSITY. 17. 98-108 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] NAGANO UNIVERSITY: KYODOSHUPANSHA. The Regional Life and Environmental Problems, 1-226 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] 桜田百合子: "坂城町" 長野自治研センターだより. 13号. 2-7 (1993)
• [文献書誌] 焦 必方: "中国市場経済の先導-郷鎮企業-" 日中共同研究通信. 2号. 1-6 (1993)
• [文献書誌] 嶋田 力夫: "経済成長と地域社会の変化-郷鎮企業と地域中小企業との比較研究の視点-" 長野大学紀要. 17巻2号(発表予定). (1995)
• [文献書誌] 安井 幸次: "地域中小企業の現状と課題-長野県坂城町事業所調査の分析-" 長野大学紀要. 17巻2号(発表予定). (1995)