研究分担者 |
ADE Surachma パジャジャラン大学, 準教授
ADJI Soerman パジャジャラン大学, 準教授
WIWI Winangs パジャジャラン大学, 準教授
SOEPARNA パジャジャラン大学, 教授
LUKITO Sukah パジャジャラン大学, 副学長
MAMAN Rukuma パジャジャラン大学, 学長
斉藤 悦則 鹿児島県立短期大学, 教授 (30149877)
岡本 紀子 鹿児島県立短期大学, 助教授 (30194400)
西村 貢 鹿児島県立短期大学, 教授 (00180646)
瀬戸口 照夫 鹿児島県立短期大学, 教授 (20106040)
細谷 章夫 鹿児島県立短期大学, 教授 (60123923)
橋口 晋作 鹿児島県立短期大学, 教授 (80106038)
小住 フミ子 鹿児島県立短期大学, 教授 (80071992)
ADC Surachma パジャジャラン大学, 準教授
ADJI Socrman パジャジャラン大学, 準教授
SOCPARNA パジャジャラン大学, 教授
MAMAN Rukman パジャジャラン大学, 学長
ADI Soermana パジャジャラン大学, 準教授
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研究概要 |
鹿児島と西ジャワ州(インドネシア)それぞれの地域社会,生活,文化を比較するという調査・研究を3年間おこなってきた。地方の個性をどのように守り育てていくか,経済の発展と伝統の保持をいかにして両立させるか,を共通の問題とし,地方の視点からアプローチした。かつ総合研究の名にふさわしく,参加した研究者どうしの内部報告会をたび重ね,公開の場でも2度にわたってジョイント・シンポジウムを開催した。学術研究をとおして,地方と地方のあいだでの国際交流をますます深く豊かなものにしていくことに貢献した。 以下,個々のパートでの成果と,全体としての成果を大まかに紹介する。 西ジャワの社会経済構造に関しては,口承の慣習法が近代法とは分離した法体系を維持していること,相互扶助の慣行が農漁村社会で大きな経済機能をはたしていることを調査によって確認した。また,中小企業の育成をささえるべき金融制度はまだ十分成熟していず,活発な華人系企業と一般の中小企業のあいだに摩擦が生じている。大学卒のサラリーマンへのインタビューや新興住宅地での家庭訪問などから明らかになったように,とりわけ都市部において新しい中間階層が大きな塊として形成されつつあり,意識や生活スタイルにも変化がもたらされている。 地方住民の食生活・栄養事情については,パジャジャラン大学の学生にたいするアンケート調査や山岳地帯の純農民の住民への聞き取りをおこない,食生活の変化を調査した。また,伝統食の代表とされるクルプック(揚げ煎餅)を調理学的に分析実験し,ひとびとの嗜好を数値的に解明した。西ジャワ特有の衣生活・服飾文化についても,学生アンケートを実施した。さらに,バンドン市内の家政系職業高校における被服教育の実情を調査し,近代化と伝統文化保存の両立がどのようにはかられているのかの考察をすすめた。 西ジャワにおける住民の宗教意識や美意識については,各種の祭祀への参加観察や,事情にくわしい古老への聞き取りをおこなった。伝統芸能については,西ジャワのみならずバリ島その他の地域に赴いて,それぞれの土地での芸能文化を比較した。伝統スポーツに関しては,バンドン近郊で盛んな武道(プンチャ・シラット),マドゥ-ラ島の競牛,バリ島での闘鶏などについて調査した。各種の珍しい球技はビデオに撮影するとともに,それぞれのルールを分析・解明した。 インドネシアにおける日本語教育についても調査した。国際化の流れの中で,鹿児島における日本語教員の養成も一つの新しい課題となっていることがその背景にある。パジャジャラン大学文学部,バンドン教育大学,バンドン外国語短大,そして民間の日本語学校を訪れて,カリキュラムなどを調べた。 全体として,地方の個性を維持・発展させるうえで鹿児島は西ジャワに学ぶべき点が多々あることが明らかとなった。近代化が全国の画一化とほぼ重なりあう日本に比べて,「多様性のなかの統一」を国是とするインドネシアは地方の差異性を国の活力に転化しようとしている。鹿児島の発展にとって教訓的なことがらが学びとられた。また交流相手校であるパジャジャラン大学の研究者は,地方における人材育成(教育)の実態などを鹿児島を例につかみとった。 前述のとおり,この3年間に2回,共同シンポジウムを開催した。1回目は平成6年,バンドンにおいて社会科学の分野で,2回目は平成7年,鹿児島において自然・人文科学の分野で報告・討議の場を設け,いずれも盛会であった。。パジャジャラン大学側からは,今後も持続的に共同研究をおこない,シンポジウムを開くなどの交流を続けていきたいとの強い要望を受けた。こうした絆の形成も大きな成果の一つである。 さらに,一般の県民に向けても公開講座を2度(7回連続と6回連続で)おこなった。われわれの学術研究が地域にねざし,地域への貢献をめざすものであることが十分にアピールできたと思われる。
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