研究課題/領域番号 |
05045020
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松原 豊 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (80202323)
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研究分担者 |
MARTINIC N.J サンアンドレス大学, 理学部, 教授
藤井 善次郎 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (10022724)
安野 志津子 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 講師 (30022586)
村木 綏 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (70013430)
MARTINIC Nicolas j Universidad Mayor de San Andres, Professor
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 太陽中性子 / チャカルタヤ / 荷電弁別 / エネルギー測定 / シミュレーション / 加速器実験 / 観測体制 / 次期太陽活動期 / ワークステーション / 8mmテープ / 電子メール / 宇宙線国際会議 / 赤道高山 / 新方式 / 中性子エネルギー / 世界最高感度 / 24時間ネットワーク |
研究概要 |
平成5年度前半は名古屋大学特定研究経費等を用いて観測に必要なシンチレータを製作した。このシンチレータは、荷電粒子と中性子を弁別し、宇宙線荷電粒子によるバックグラウンドを除去するためのアンチカウンターとして製作された。また、データ読み出し、記録に必要な回路系を購入した。国内での動作試験の後、これらの観測装置を船便でボリビアに発送した。平成6年1月に松原が、2月に村木がボリビアに渡航し、現地の研究者とともに観測装置の設置・組み立てを行い、3月8日より運転を開始した。これにより、既存の観測装置と比較して帯電粒子によるバックグラウンドは1/3に減少し、S/N比が2倍向上した。検出器の有効検出面積は4m^2で、赤道高山にあるため(南緯16°、高度5250m)、世界に既存の太陽中性子検出器の中では最も感度のよい観測装置となった。 平成5年7月にカナダのカルガリ-で宇宙線国際会議が開かれたが、会議の場であらためて太陽中性子観測の重要性が認識された。チャカルタヤの新検出器は、名大太陽地球環境研究所が東大宇宙線研究所の乗鞍観測所に有する太陽中性子望遠鏡試作機とともに、中性子と陽子の識別ができること、中性子のエネルギーが測定できることを利点としている。従来の太陽中性子モニターでは得られない特長であり、国際会議の場でも関心を呼んだ。またチャカルタヤは、日本の真夜中に太陽が南中し、24時間ネットワークへの第一歩を踏み出した。 平成6年度前半は得られたデータを解析をし、粗解析から太陽中性子イベント探索まで誰でも簡単にできるルーチンを開発した。観測で得られたデータは8mmテープに記録されているが、前年度末にサンアンドレス大学側にワークステーションが導入されたのを考慮して、8mmテープからデータをワークステーションのディスクにコピーして保存する方法を確立した。 平成6年8月にデータ収集回路の一部が故障したが、現地研究者の努力でデータ収集の中断には至らなかった。平成6年11月に松原がボリビアに渡航して、チャカルタヤでこの故障箇所を修理し、このような問題が起きないように改善作業を行なった。この際観測装置を構成する各検出器が非常に安定に働いていることが確認された。また、日本で作ったデータ記録・データ解析のソフトウェアをサンアンドレス大学のワークステーションに委嘱し、今後の日本へのデータ配送、データ解析の進め方に関して議論を行ない体制を整えた。 平成7年8月に村木が渡航し、回路系の点検を行なった。大まかな運転状況としては、順調であった。しかし、平成6年11月からのデータをよく見ると必ずしも安定に動いていないチャンネルもあり、現地の研究者等がチェックすべき項目の再整理を行なった。平成8年3月には松原が渡航し、現地の研究者等と議論を行ない、基本的に日本人がいない状況での観測体制に関しての確認を行なった。チャカルタヤにおける太陽中性子の観測は、平成9年から始まる次期太陽活動期には格別に重要となる。検出器・データ収集回路・オンラインプログラムとも日本で開発したものを持ち込んでいるため、故障等起こった場合の対処が問題であるが、現地にはマニュアル類を用意してある。それでも駄目な場合にはFAX、電子メールでの連絡により対応することを現在考えている。 この間太陽活動は活発ではなかったので、物理的な結果はまだ得られていないが、観測状況については平成7年9月にローマで開かれた宇宙線国際会議で発表した。また、これは本国際学術の経費で行なったものではないが、平成8年の2月から3月にかけて太陽大学核物理センターの加速器によりエネルギーのわかっている中性子を検出器に当てるビームタイムを得ることができた。ボリビアにあるのと同じタイプの検出器を作り、検出器の中性子に対する検出効率やエネルギー分解能を調べた。詳細な解析にはまだ時間がかかるが、シミュレーションから期待された結果とほぼ同様の結果が得られ、本観測でこれから得られる結果について不確定要素はなくなった。
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