研究分担者 |
ファス ダン サイモンフレーザー大学, システム科学センター, 客員研究員
マクフェトリッジ ポール サイモンフレーザー大学, 言語学科, 助教授
ハン ジアウエイ サイモンフレーザー大学, システム科学センター, 助教授
ポポビッチ フレッド サイモンフレーザー大学, 計算機学科, 助教授
セルコン ニック サイモンフレーザー大学, 計算機学科, 教授
大槻 説乎 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (70037745)
丁 文烈 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (50253563)
乃万 司 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (60228351)
中村 順一 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (30164304)
吉田 郷子 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (90240910)
竹内 章 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (00117152)
MCFETRIDGE Paul Department of Linguistics, Simon Fraser University
POPOWICH Fred Department of Computer Science, Simon Fraser University
CERCONE Nick j. Department of Computer Science, Simon Fraser University
JUNG Moon-ryul Department of Artificial Intelligence, Kyushu Institute of Technology
ダン ファス サイモンフレーザー大学, システム科学センター, 客員研究員
ジアウェイ ハン サイモンフレーザー大学, システム科学センター, 助教授
ポール マクフェトリッジ サイモンフレーザー大学, システム科学センター, 助手
ニック セルコン サイモンフレーザー大学, システム科学センター, 教授
吉田 將 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (80039065)
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研究概要 |
平成4年4月に姉妹校となった九州工業大学(KIT)とサイモンフレーザー大学(SFU)は,それぞれ国や州の支援を得て,情報工学に関し活発な研究教育を行っている.とりわけKITの知能情報工学科とSFUの計算機学科は,自然言語処理の部門に力を注ぎ,従来から交流を重ねてきた.本研究は,自然言語の構文解析,意味解析,機械辞書などへの応用を,心理モデルに基づいて統合的に処理するシステムの構築を目的としている. 従来から寓話の世界にちなんだ“イソップワールド"プロジェクトを推進してきたが,昨年度,知性と感性を持つエージェントのプロトタイプを完成した.このエージェントは,自然な環境に住み,願望を持ち,プランを立て,実行し,感情を生起し,そして発話する.本年度は,もう1人のエージェントを導入し,両者の間で協調的な対話や行動を行うよう,拡張した. まず心理モデルとして,「勧誘」を話題にしたプランニングのモデルを勧誘する側,される側の両方から構造化した.各エージェントは,心の中に自己のプランニングモデルの他相手のモデルも持ち,相手の心理状態を“読み"ながら,対話する.プランニングモデルは,勧誘を構成するいくつかの要素的心理状態とそれらの間の依存関係で把握され,ネットワークによって表現される.各心理状態は,それ自身小さなネットワークになっており,小ネットワークの各ノードは,例えば“目標s"型の,局所的プロダクションルールで構成される.実験により両エージェントの間で柔軟な対話が確認された.またプランニングによる知的処理に加えて,情緒の生起を“パターン理解"としてとらえる手法も拡張した.“嬉しい",“怖い"など8種類の基本的情緒を詳細に分析し,従来の約40種類に加え新たに40種類の特徴を得た.これらにより,エージェントの感性は,より豊かになった. 次に,言語の理解と生成については,すでにプロトタイプにおいて,非言語的な心理過程と言語の深層構造を対応づける問題について基本的な方式を提案している.これに対し,話者の信念処理や比喩理解の方式について改良を加えた.特に信念管理は,曖昧な情報から事実を推論する信念生成部と,得られた信念の間で矛盾がないようチェックする信念管理部とからなる.およそ50素種類の信念関係の推論ルールを作成し,実験的に確認した.一方言語の深層構造と表層構造を対応づける部分についてもいくつか進展させた.日本語については,外国人の日本語学習に注目し,まず誤りのタイプを詳しく調べた.次に誤り文を生成する規則を考え,それらを用いて学習過程における誤りを自動的に検出するサブシステムを構築した.特に誤り生成規則を人手によらず自動作成する部分に工夫を凝らした.一方英語については,HDPS文法に基づいて翻訳や自然言語インターフェイスのサブシステムを改良した.特に英語の複合語の解析部分に力を入れたが,基本的には文の格構造を利用するもので,日本語においても同様の考えが通用するものである. 次に本研究の応用としてデータベースとその自然言語インターフェイスの構築であるが,すでにSystemXとDBLearnという2つのインターフェイスを作成している.SystemXについてはカナダのケーブルシステム企業のデータベースに適用し,有効性が評価された.またDBLearnについては,事例からの類推による学習方式を導入し,利用者が曖昧な表現で質問しても関連データを検索できる方式を開発した. 最後にアニメーションと知的CAIへの応用についても成果をあげることができた.アニメーションについては物語文章の意味を理解した上で,環境内における主人公の時間的,空間的位置関係を柔軟に推論する方式に改良を加えるととに,レートレーシング手法に基づく高画質の画像生成技術を開発した.またCAIに関しては,マルチメディアを駆使して,英語やスペイン語を教育する手法について考案した.
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