研究分担者 |
BAGAGLI Edua パウリスタ総合大学, ボツカツ校医学部, 教授
MARQUES Silv パウリスタ総合大学, ボツカツ校医学部, 教授
MENDES Rinal パウリスタ総合大学, ボツカツ校医学部, 教授
MONTENEGRO M パウリスタ総合大学, ボツカツ校医学部, 教授
FRANCO Marce パウリスタ総合大学, ボツカツ校医学部, 教授
吉田 祚一 千葉大学, 真核微生物研究センター, 助手 (20114340)
竹尾 漢治 千葉大学, 真核微生物研究センター, 教授 (10027097)
福島 和貴 千葉大学, 真核微生物研究センター, 助教授 (90114321)
西村 和子 千葉大学, 真核微生物研究センター, 教授 (00114314)
MARQUES Silvio Alencar Department of Medicine in Botucutu campus, UNESP Professor
MENDES Rinaldo Ponceo Department of Medicine in Botucutu campus, UNESP Professor
MONTENEGRO Mario R.G. Department of Medicine in Botucutu campus, UNESP Professor
SILVIO Alenc パウリスタ総合大学, ボツカツ校医学部, 助教授
EDUARDO Baga パウリスタ総合大学, ボツカツ校医学部, 助教授
RUNALDO Ponc パウリスタ総合大学, ボツカツ校医学部, 助教授
RUBENS G. Mo パウリスタ総合大学, ボツカツ校医学部, 名誉教授
MARCELLO Fra パウリスタ総合大学, ボツカツ校医学部, 教授
宇野 潤 千葉大学, 真核微生物研究センター, 助手 (40114243)
寺尾 清 千葉大学, 真核微生物研究センター, 教授 (30009120)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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研究概要 |
パラコクシジオイデス症は中南米に多発する深在性真菌症で、いまだに多くの人々を苦しめているある種の風土病である。本症の歴史は極めて古く一千年以上前のミ-ラからも本症の原因菌であるParacoccidioides brasiliensisが検出されている。かって、コロンビアの菌学者・Angela Restrepo Mは本菌に関する総説の表題を「The decology of Paracoccidioides brasiliensis : a puzzle still unsolved」としたとうり、本菌の自然界における生態は未だに不明である。 われわれが国際学術研究に選んだ相手校パウリスタ総合大学ボツカツ校は、本症の流行地でもあり同校の付属病院は毎年多くのパラコクシジオイデス症の患者の治療にあたっている。 P.brasiliensisはin vitroの酵母形は短期間で集落形成能を失い死に絶えてしまうため、継代培養が難しい菌である。この問題を解決するために基礎的実験を行ったが、P.brasiliensis及びその他の真菌細胞の抽出液を血清とともに培地に添加することにより、P.brasiliensisの酵母形細胞の発育が顕著に促進されることが判明した。その後の実験でこの真菌細胞抽出液のなかには鉄担体(siderophore)が含まれており、この物質が、P.brasiliensisにより生産されてP.brasiliensisの発育を促進していることが明かとなった。なお、無機陽イオンのなかで鉄イオンのみがP.brasiliensisに対し発育促進効果を示した。 P.brasiliensisの酵母形細胞に対する好中球の抗菌活性をin vitroの系で検討した。結果は以下のとうりである。マウス腹くう内侵出好中球はP.brasiliensis酵母形細胞に対してある程度の殺菌効果を発揮した。また、好中球は本菌にたいし発育抑制作用を示しその効果は少なくとも3日間は持続した。インターフェロンは好中球の抗菌活性を増強せしめたが、Tumor necrosing factor-αにはこの効果は認められなかった。 前年度に引き続きP.brasiliensisの自然界からの分離を試みた。その結果形態的にも生理的にもP.brasiliensisに類似する5サンプルを得ることができた。その中の2サンプルはアルマジロの穴から、他の2サンプルはユ-カリの林から、他の1サンプルは原野からそれぞれ採取された。アルマジロは貧歯類に属する哺乳類でブラジルでは一般的な動物で、以前からパラコクシジオイデス症との関係が考えられていた。 本菌の生体内寄生形態の微細構造についてはハムスターの睾丸を用いた実験から、宿主の炎症性細胞に貧食されたP.brasiliensisの細胞がその細胞壁の外側に広いinterfaceを作り自己防衛を果たしていること、このinterfaceを作ることのできない細胞は早晩死滅に追いやられることなどが明かとなった。 初年度、パラコクシジオイデス症多発地帯の土壌から採取した約800のサンプルについて同定が試みられた。結果は以下のとうりである。病原性黒色真菌に属するもの:Curvularia lunata,Exophiala spinifera,Exophiala sp,Fonsecaea pedrosoi,Phialophora verrucosa,Ramichloridium anceps,Rhinocladiella atroviens,Veronaea botryosa.アスペルギルス属その他に属するもの:Aspergillus fumigatus,A.niger,A.terreus,A.neoelli,A.flavus,Emericella,Neosartorya,Thielavia.なお、Neosartoryaのなかの二種・Neosartorya udagawaeおよびNeosartorya aureolaは新種であった。これらの真菌の生態とパラコクシジオイデスとの関係については今後研究されるべき課題である。
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