研究分担者 |
KANOK Sorate チュラロンコン大学, 歯学部, 準教授
NARONGSAK La チュラロンコン大学, 歯学部, 講師
PIYAWAT Phan チュラロンコン大学, 歯学部, 準教授
SITTICHAI Tu チュラロンコン大学, 歯学部, 準教授
VISAKA Limwo チュラロンコン大学, 歯学部, 準教授
石川 烈 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (10014151)
黒田 敬之 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (10013939)
大山 喬史 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (50064366)
天笠 光雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (00014332)
SORATESN Kanok Associate Professor, Faculty of Dentistry Chulalongkorn University
LAOSRISIN Narongsak Lecturer, Faculty of Dentistry Chulalongkorn University
PHANKOSOL Piyawat Associate Professor, Faculty of Dentistry Chulalongkorn University
TUDSRI Sittichai Associate Professor, Faculty of Dentistry Chulalongkorn University
LIMWONGSE Visaka Associate Professor, Faculty of Dentistry Chulalongkorn University
|
配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
研究概要 |
1.〈顎顔面の発生と発生異常に関する調査研究〉頭部神経堤細胞(NC)が神経上皮上の領域によってその分化運命が異なるかどうかを細胞培養系で検索した。その結果、(1)ニューロンは中脳領域由来のNCから前脳領域より多くしかも早期に分化した、(2)軟骨細胞に分化すると思われる細胞は中脳領域由来のNCに限定されていた、(3)色素細胞は前脳領域由来のNCに限定されていた。以上より、NCは神経上皮上から移動を開始する前に分化運命はその領域毎ですでに決まっていると考えられた。 2.〈顎顔面外科に関する調査研究〉チュラロンコン大学および東京医科歯科大学の口腔顎顔面外科における1985年〜1994年の10年間の口腔悪性腫瘍、良性腫瘍、顎顔面裂奇形、顎骨骨折および顎関節疾患について調査、比較研究を行った。悪性腫瘍中最も頻度の高かったのは両国とも扁平上皮癌であった。扁平上皮癌は男性に多く、タイでは60〜70歳台に、日本では50歳台に好発していた。タイで下顎歯肉癌が多かった(42.1%)のに対し日本では舌癌が高頻度であった(46.6%)。良性腫瘍中タイで多かったのはエナメル上皮腫(51.4%)、血管腫(20.0%)であり、日本では血管腫(18.8%)、多形性腺腫(13.1%)の順であった。裂奇形については両国ともに片側性唇顎口蓋裂が多かった(タイ42.1%、日本33.3%)。顎骨骨折は20歳台の男性に好発しており、その原因はタイでは交通事故が圧倒的に多く(72.5%)、日本では転倒によるものが多かった(30.0%)。顎関節疾患のうち外科的処置を受けたものはタイでは顎関節強直症(87.5%)が主であったが、日本では顎関節内障(42.1%)、強直症(28.1%)、習慣性脱臼(10.5%)など多疾患にわたっていた。 3.〈顎顔面補綴に関する調査研究〉両国間の症例数を可及的に同一とするため、チュラロンコン大学では1985年〜1994年の間の188症例、東京医科歯科大学では1992年〜1994年の間の425症例を最終的な分析対象症例とした。症例を口蓋裂、腫瘍、外傷、炎症、その他に分類し、年度別患者数、男女比、年齢分布、主訴、症例別患者数、最終補綴物について分析を行い、さらに、口蓋裂症例については裂型、腫瘍症例についてはその部位、外傷症例についてはその部位と原因についても分析を行った。その結果、両国間での共
… もっと見る
通点、相違点が明らかとなり、その原因が主にそれぞれの国における経済状況、産業構造などの相違にあることが考察された。今回得られた結果は、両国における顎顔面補綴治療の確立の一助となると同時に、長期にわたる経過観察が必要であることを示唆した。 4.〈顎顔面矯正に関する調査研究〉本年度は、外科的矯正治療を必要とした下顎前突症患者を対象として両国患者間にみられる形態的な特徴を検討した。 資料:外科的矯正治療を終了した日本人30名、タイ人53名および矯正治療単独で治療した下顎前突症患者日本人30名の側面頭部X線規格写真を用いて、形態分析をおこなった。パラメーターは21分析項目である。得られた主な結果は以下のとうりである。 (1)共通した所見:(1)角SNBの減少、下顎骨長の短縮、(2)角ANB,overjetの減少、(3)角FCAの増加、(4)SN-MPの増加 (2)相異した所見:(1)角L-1to Mand.,(2)距離ADH(前歯槽高) すなはち、日本人の治療後の下顎前歯はやや唇側傾斜をしており、前顔面高はタイ人の方が増加していた。(3)日本人における手術適用症例は角ANBと角L1to Mand.とにより明確に分けられることがわかった。 5.〈重症歯周病に関する調査研究〉長期にわたり良好に歯周組織を維持した2名の患者をふくむ4名のPapillon-Lefevre症候群(PLS)患者について免疫学的、細胞学的検査を行った。初診時における4名の患者の4種類の歯同病原性細菌に対する血清抗体価の比較においては、3名の患者においてActinobacillus actinomycetemcomitans (A.a.)に対する血清抗体価が高かった。4名の患者のうち3名について歯周治療を行ったが、ここで、長期に良好な経過を追っているPLS患者に関してA.a.Y4株に対する血清抗体価がさらに低下した。別の1名の患者に関しても、歯周治療による臨床状態の改善とともに、A.a.Y4株に対する血清抗体価の減少を見た。これらの3名のイムノブロットによる検査においては、A.a.の同じ抗原を認識したことがわかった。細菌学的検査において、これらの患者から初診時にA.a.が検出されたが、歯周治療による改善を見てからは検出されていない。以上の結果から、PLS患者において、A.a.が歯周組織の破壊に関与していると考えられた。 6.〈研究総括〉顎顔面の発生と発生異常に関する調査研究については、Suconta Chareonvitが大学院学生(研究留学生)として本学で研究しているので、共同研究の形で遂行されたが、他の4調査研究は本学とチュラロンコン大学とのデータの比較で遂行された。その結果をみると、口腔癌の頻度では、タイで下顎癌が、日本では舌癌が高頻度であること、また顎骨骨折は、タイでは交通事故が原因の一位であるのに対して、日本では転倒によるなど、比較研究ならではの興味ある相違点がいくつか知見として得られたのは、本協力研究を土台にしてさらに問題を追求していく上できわめて有意義であった。 隠す
|