研究課題/領域番号 |
05151014
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
谷口 克 千葉大学, 医学部, 教授 (80110310)
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研究分担者 |
中島 泉 名古屋大学, 医学部, 教授 (40022826)
佐藤 昇志 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50158937)
古川 鋼一 長崎大学, 医学部, 助教授 (80211530)
栗林 景容 三重大学, 医学部, 教授 (10064578)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
24,200千円 (直接経費: 24,200千円)
1993年度: 24,200千円 (直接経費: 24,200千円)
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キーワード | MHC結合ペプチド / がん抗原 / キラーT細胞 / CTL |
研究概要 |
I.MHC結合ペプチド 腫瘍細胞から分子量5000以下の酸(TFA)抽出物を得、ゲル濾過(HPLC)によりT細胞が認識すると思われる抗原ペプチドをマウスRL♂1ヒトメラノーマ、HLA-35結合抗原、HLA-DR4/DR53から単離、このうちいくつかはアミノ酸配列も明らかに出来た。さらに、MHCに結合するペプチドに関して、新しい知見:(1)12個のアミノ酸からなるペプチドもMHCクラスIに結合できる、しかもキラーT細胞を誘導できること。(2)N末のチロシン基とC末側8〜9番目のアスパラギンがHLA-DRの結合に重要等を見いだした。 II.腫瘍抗原とその遺伝子 ヘルパー/キラーT細胞が認識する免疫学的に重要な腫瘍抗原分子として分子量70KDの熱蛋白、ウィルス被膜蛋白/gag蛋白、HTLV-Itax、retがん遺伝子産物を同定し、一部はその遺伝子発現のメカニズムを明らかにし、エピトープのアミノ酸配列を決定した。またATLの抗原発現に重要な糖転移酵素の遺伝子発現機構を明らかにした。 III.腫瘍免疫反応系 主要内浸潤リンパ球(TIL)のレパトアは極端に限られていることをinverse PCR法により見いだした。またTILは免疫学的不応になっていることが多いがその一つの原因としてTILのCD3ζ受容体複合体の発現不全によるシグナル伝達低下によることを証明した。T細胞が認識するMHC結合ペプチドの同定、さらにはアミノ酸配列の決定が出来、その配列に基づいて合成したペプチドを免疫し、特異的T細胞クローンを作ることにも成功したことは大きな成果である。一方、腫瘍抗原発現の機序として熱蛋白がシペロンとして働くことを見いだしたことは新たな抗原提示機序の発見である。また腫瘍内浸潤Tリンパ球(TIL)のレパトアが極めて限定されていることの発見は抗受容体を用いるがん治療法の確立が可能であることを示唆している。またTILの機能不全が受容体複合体の発現不全であることを証明し得たことはがんの免疫系からのエスケープ機序を考える上で重要であろう。
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