研究課題/領域番号 |
05151031
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 寿人 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (70127083)
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研究分担者 |
瀬戸山 千秋 熊本大学, 医学部・生化学第一, 講師 (60040250)
渥美 忠男 理化学研究所, ライフサイエンス筑波研究センター, 研究員 (50151080)
村松 喬 名古屋大学, 医学部・第一生化学教室, 教授 (00030891)
秦 順一 慶應義塾大学, 医学部・病理学教室, 教授 (90051614)
野崎 正美 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (30189394)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
22,000千円 (直接経費: 22,000千円)
1993年度: 22,000千円 (直接経費: 22,000千円)
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キーワード | 胚性腫瘍 / 胚幹細胞 / N-myc / Oct-3 / LTR / Midkine / PEBP2 / AML |
研究概要 |
胚性腫瘍細胞の未分化状態(がん状態)から体細胞への分化の際に生じる転写制御系の切り換わりが、本研究班の中心の一つである。POU-転写因子群に関する研究、がん状態におけるレトロウイルスLTRの抑制に関する研究で大きな成果が得られた。濱田班員は、EC細胞と繊維芽細胞との融合によって得られた細胞株がとるがん状態と分化状態との間の可逆的遷移を解析し、Oct-3因子の発現が、がん状態をもたらす引き金になること、がん状態から神経細胞への分化においてOct-3からBrn-2へのPOUファミリー内での切り換わりが必須であることを明らかにした。丹羽班員はMo-MuLVのLTRを抑制する因子ELPがそれ自体で抑制効果を持つだけでなく、レチノイン酸結合因子に対して競合的に作用すること、ELPをはじめとした複数種の抑制機構の協同効果としてLTRが完全に抑制されることを明らかにした。 上記のほか、がん状態から分化状態への遷移に対応して発現される新たな増殖因子群(Miakineファミリー)の研究(村松)、ホモ突然変異(double knockout)ES細胞を用いたキメラ解析によるN-mycの制御機能の分析(近藤)、胚性腫瘍から幾段階かの分化の進行をへた体細胞系幹細胞株の樹立(渥美)などに大きな進展が見られた。全体的に、がん状態と分化状態との間での転写制御の切り換わりに関する研究と、増殖因子や細胞そのものに関する研究とが急接近し、研究が重なり合ってきたことが特記される。胚性腫瘍におけるがん状態とは何かという基本問題への一つの解答が遠からず与えられると期待される。
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