研究課題/領域番号 |
05151033
|
研究種目 |
がん特別研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
白川 茂 三重大学, 医学部, 教授 (20026850)
|
研究分担者 |
曽根 三郎 徳島大学, 医学部, 助教授 (40145024)
玉置 憲一 東海大学, 医学部, 教授 (50055860)
上田 龍三 愛知県がんセンター研究所, 化学療法部, 部長 (20142169)
下山 正徳 國立がんセンター中央病院, 副院長 (50110002)
鶴尾 隆 東京大学, 応用微生物学研究所, 教授 (00012667)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
15,500千円 (直接経費: 15,500千円)
1993年度: 15,500千円 (直接経費: 15,500千円)
|
キーワード | 多剤耐性(MDR)腫瘍 / P糖蛋白(P-gp) / 抗P-gp抗体 / 多剤耐性遺伝子(MDR1) / MDR1mRNA発現 / 血液脳関門 / MDR癌の免疫療法 / cyclosporin A(CsA)誘導体 |
研究概要 |
1.lethal midiline granulomaを始めとする鼻腔原発‘T'リンパ腫(NL)は予後不良とされているが、NL10例につきP糖蛋白(P-gp)発現を抗体と遺伝子発現から検討した。10例中9例で腫瘍細胞のUIC2陽性、9例中4例にMDR1遺伝子mRNAの発現を認め、通常の悪性リンパ腫に比べて高率であった。2.81例の原発ヒト大腸癌および61例の転移リンパ節を用いてテネイシン(TN)の発現、DNA ploidyおよびP-gp発現を検討した。異数体DNAパターンはTN^-の大腸癌組織(37/61)および転移リンパ節(44/52)に高頻度に認められ、二倍体DNAパターンはTN^+例(50/56)に主に認められ、P-gpの発現は原発TN^+およびTN^-大腸癌(9/81)に認められたが、P-gpとDNA異数体との間に有意な相関はなかった。3.P-gpが脳毛細血管内皮細胞に存在し、脳に移行しにくい抗癌剤VCRに対する血液脳関門として機能していることが、新しく樹立した脳毛細血管内皮細胞株を用いたモデル系により実証された。即ちマウス脳内皮細胞MBECのVCRの細胞内蓄積量をP-gp(+)細胞とP-gp(-)細胞で比較し、前者で抑制されており、P-gp阻害薬のVerapamil(VER)により蓄積量の増大のみ、MBECのP-gpも耐性細胞と同様の抗癌剤輸送機能をもつことが推測された。ヒト脳腫瘍(glioma)でもP-gp/MDR1遺伝子発現は腫瘍細胞自身ではなく、間質の血間内皮細胞の血間内腔側細胞膜上に局在し、脳腫瘍の脳内移植系のVCR,DOX自然耐性に関与していることが考えられた。4.多剤耐性(MDR)癌の免疫療法の上で抗P-gp抗体MRK16を介して単球/mφがMDR癌細胞を障害するが、P-gp阻害剤cyclosporin A(CsA)がMRK16と相乗的にMDR癌細胞の抗癌剤感受性を回復することが判明し、この際CsA誘導体PSC833およびFK-506も単球のADCC活性を増強させるがVERではこの作用はなく、MRK16とCsAとの併用時期の考慮により多剤耐性克服強化への可能性が示唆された。
|