研究課題/領域番号 |
05151060
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
加藤 隆一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40112685)
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研究分担者 |
石川 隆俊 東京大学, 医学部, 教授 (30085633)
多田 万里子 愛知県がんセンター研究所, 生化学部, 室長 (90073113)
若林 敬二 国立がんセンター研究所, 発がん研究部, 室長 (60158582)
渡部 烈 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (00057316)
出川 雅邦 東北大学, 薬学部, 助手 (50134002)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
19,000千円 (直接経費: 19,000千円)
1993年度: 19,000千円 (直接経費: 19,000千円)
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キーワード | 化学発癌 / 代謝的活性化 / 活性中間体 / DNA付加体 / DNA修復 / P450 / アセチル化酵素 |
研究概要 |
本研究は癌原物質の活性中間体の生成、安定性、不活性化、細胞内外および臓器間移行、DNA付加体の生成の難易度とその構造特異性、傷害DNAの修復などを総合的に研究し、発癌における臓器特異性、種差、系統差、性差の機構を分子レベルで解明することを目的とした。[研究成果および考察]1)N‐ヒドロキシアリルアミンの代謝的活性化に関与するO‐アセチル化酵素の遺伝的多型性の原因としてハムスターでは一塩基置換によるストップコドンが現われる。2)P450誘導剤による代謝的活性化能の誘導とDNA付加体の間には正の相関があった。3)肝における化学発癌過程において、P450含量は低下するにもかかわらず、DNA付加体が増加するので、DNA修復能の低下が考えられた。4)各種ヒドロキシメチルアレンはO‐硫酸化によりDNAで付加体を作る(グアニン残基の環外アミノ基と結合)が、肝では残存率が高く修復除去を受けにくい。5)ニトロピレンのDNA付加体量と腫瘍発現との間には必ずしも相関性が認められず、付加体の性質、修復能や細胞傷害作用などを併せて考えねばならない。6)N‐ニトロソアルキルアミンのメチル体によるDNA修復はエチル、プロピル体などの修復とは異なる機構により行なわれる。7)4‐アミノアゾベンゼンの誘導体による変異誘発能はDNA付加体の生成量のみでの説明では不十分であり、その付加体はSOS反応を誘導できるかどうかが重大である。8)xpのモデルマウス(XPAC遺伝子‐1‐)では癌原物質に対してきわめて感受性が高く、早期に多量の癌が発生した。以上、化学発癌においては癌原物質とそれを活性化する酵素が多様であり、今後、ヒトでの発癌リスクを正しく評価するためには特にDNA付加体の解明とその修復能の解明が特に必要と考えられた。
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