研究課題/領域番号 |
05151067
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
土屋 永寿 財団法人癌研究會, 癌研究所・病理部, 主任研究員 (00072314)
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研究分担者 |
河嶋 和子 国立がんセンター研究所, 主任研究官 (60177673)
井内 康輝 広島大学医学部, 病理学教室, 教授 (20116536)
高橋 隆 愛知県がんセンター研究所, 化学療法部, 主任研究員 (50231395)
山川 和弘 財団法人癌研究會, 癌研究所・生化学部, 研究員 (30241235)
下里 幸雄 国立がんセンター病院, 臨床検査部, 部長 (10076979)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
20,000千円 (直接経費: 20,000千円)
1993年度: 20,000千円 (直接経費: 20,000千円)
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キーワード | 肺癌抑制遺伝子 / 第三染色体短腕欠失 / 遺伝子単離 / P53遺伝子変異 / 肺非小細胞癌染色体欠失 / L-myc RFLP / クララ細胞蛋白 / HuD抗原 |
研究概要 |
1.肺癌発生機序に関する成果として、(1)肺癌株化細胞において第3染色体短腕の共通欠失領域3p21.3-22内に数Mbのホモ欠失領域を同定し、この領域より複数の癌抑制遺伝子候補のcDNAを単離した。そのなかには、細胞接着インテグリン分子の新しいサブユニット遺伝子も含まれており、現在これらの遺伝子につきヒト肺癌例における変異の有無を解析中で、真の癌抑制遺伝子同定もまじかいものと思われる。(2)肺癌の癌抑制遺伝子として、RB,p53,および染色体3p上の遺伝子以外に、新たに染色体9q上に扁平上皮癌の、8q上に腺癌の発生増殖と関係する癌抑制遺伝子の存在が示唆された。(3)気道上皮の分化、増殖にはビタミンAが深く関わっていることが明瞭となり、血清無添加培養による化生の誘導にもビタミンAの関与が推察された。(4)気道異型上皮の遺伝子変異の解析は、マスタードガス障害者例のような長期ホルマリン固定材料では困難であるが、最近のホルマリン固定手術例では可能なことが明かとなった。(5)アスベスト量と発癌の間には関連が認められた。 2.癌細胞の特性に関する成果として、(1)肺癌の悪性度はp53遺伝子変異の有無、L-mycのRFLP、3pの欠失、クララ細胞分泌蛋白の発現などど関係しており、これらの遺伝子変異や蛋白質発現の検索が、がんの早期診断、術後患者における高危険群の同定、治療方針の選択などに有用である可能性が示唆された。(2)HuD抗原が小細胞癌の診断マーカーとして有効か、その発現量が小細胞癌の臨床病理学的特異性と相関するか、などに関してはさらなる検索が必要がある。(3)クララ型と 型腺癌では、クララ細胞分泌蛋白陽性例が陰性例よりも予後が良好であった。 3.L-myc遺伝のタンパク質翻訳開始部位を標的としたアンチセンスDNA分子による細胞増殖の抑制は、mRNAの発現抑制ではなく、L-mycタンパク質翻訳過程の制御によるものと考えられた。
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