研究課題/領域番号 |
05151068
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
野田 哲生 財団法人癌研究會, 癌研究所・細胞生物部, 部長 (10183550)
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研究分担者 |
増井 徹 財団法人癌研究會, 癌研究所・ウイルス腫瘍部, 研究員 (50150082)
許 南浩 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70173573)
清水 素行 鳥取大学, 医学部, 助教授 (80130756)
澤田 典均 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30154149)
難波 正義 岡山大学, 医学部, 教授 (80069004)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
1993年度: 15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
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キーワード | ヒト上皮細胞 / TGFbeta / myc遺伝子 / 子宮頚癌 / ヒトケラチノサイト |
研究概要 |
本研究は、ヒト多段階発癌における種々の遺伝子変異の役割の解析に応用可能な、培養細胞を用いての実験系の開発を目的としており、具体的にはヒト細胞の初代培養、三次元培養系、染色体移入法、ジーンターゲティング法等の異なった分野の専門家を結集し、【.encircled1.】種々の上皮系培養系の確立、【.encircled2.】その培養細胞系に応用可能な遺伝子操作法の開発、【.encircled3.】この培養系を用いての発癌過程の解析に有用な、上皮細胞の変化を反映したパラメーターの開発等を行って来た。 本研究の平成5年度における成果の中で特に注目すべきものは以下の3つである。1.ヒト子宮頚部発癌諸段階より樹立した約20種の培養細胞系を用いた解析から、ヒト扁平上皮癌が生理的増殖阻害因子(TGFbeta及びレチノイド)に対して抵抗性を示すステップを同定した。特にTGFbetaに対する応答性に関しては、myc遺伝子の発現低下を指標として、この応答性の喪失が微小浸潤癌から浸潤癌へと進展する段階で生じることが同定され、さらにこうしたmyc遺伝子の発現低下が見られなくなった浸潤癌由来の細胞でも、TGFbetaに反応してJunBの発現増加が観察されることから、この応答性の喪失は従来から考えられていた受容体レベルのものではないという重要な知見が得られた。2.SV40大型T抗原を用いて各種ヒト上皮細胞を不死化することに成功した。3.高発癌性遺伝疾患である色素性乾皮症患者からケラチノサイト細胞株の樹立に成功した。 上記の成果以外にも、当初の目的は概ね計画通りに進行しており、特に上記の2.3.を始めとして、より正常に近いヒト上皮由来細胞株が次々と得られて居り、当初の計画通り、これらの細胞株の性状の解析やこれらの細胞株に対する遺伝子操作を行うことにより、ヒトがんの特性に関する研究の進展が期待される。
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