研究課題/領域番号 |
05152003
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高木 信夫 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (20001852)
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研究分担者 |
中島 登 北海道大学, 理学部, 講師 (00180290)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1993年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | ゲノムインプリンティング / X染色体 / 微小細胞融合 / 不活性化 / EC細胞 / 細胞雑種 |
研究概要 |
1.ヒトの染色体としては不活性Xのみを1-3本持つマウス細胞CF-150をUCLAのDr.T.K.Mohandasより供与された。ヒト不活性X上のHprt遺伝子が活性化したために微小細胞融合によってA9細胞に導入が可能になったものである。複数のヒトX染色体はHprt遺伝子の発現が十分でないことに原因があると考えられている。最初に、複製バンド法と染色体ペインティング法により検討した結果、CF-150のヒト染色体は長腕は晩期複製型であるが、短腕はかなり同調的に複製していた。Vivoにおいても似た傾向があるため、これをヒト不活性Xと判断した。 2.CF-150をコルセミド処理し、微小核を形成させ、EC細胞株OTF9-63にヒト不活性X染色体の導入を試みた。PEGによる融合後HAT培地による選択を行ったところ11個のクローンが得られた。BrdUの取り込みを利用した複製バンド法とペインティング法によって、導入されたX染色体はintactあるいは長腕の末端が僅かに欠失しており、活性化していることが判明した。これらの細胞では細胞周期が多少長くなり、コロニーの周辺に内胚葉が分化することから、分化能もやや増していると推測される。 3.CF-150を^<60>Coで照射(5,000r)し、直ちにA9細胞と融合し、ヒトX染色体を部分的に含むradiation hybridsの作成を試みた。現在までにHAT抵抗性の11クローンを分離した。4クローンには部分的に晩期複製する染色体が存在したので、ペインティングで確認したところ、すべてヒトX由来であった。残る7クローンには晩期複製部位をもつ染色体は認められなかったが、ヒトXの存在を検討するためのペインティングはまだ実施していない。 4.PSA1やOTF9-63などEC細胞と正常雌体細胞を融合すると、後者の不活性X染色体は活性化する。この時に、インプリンティング様の記憶も消え去るか否かについては知見が無い。そこで、PSA1とT16H転座が存在するために常に不活性となるRb2染色体(第2染色体とXとの動原体融合産物)をもつリンパ球を融合させて、近4培体のEC様細胞雑種を得た。この細胞に胚様体形成を介して分化を誘導すると、再びX染色体の不活性化が起きる。Rb2染色体が不活性になった細胞はPSA1由来の正常Xが不活性となった細胞の約50%であった。T16H転座染色体が不活性になった細胞は5%以下で、転座による不活性化センター(Xic)あるいはその下部の構造に変化が起きていることを示唆している。
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