研究概要 |
1.癌遺伝子c-H-ras,hst,neu,fgrで癌化させたマウス線維芽細胞NIH/3T3のうちc-H-ras癌細胞(EJ-NIH/3T3,18A)が、親細胞NIH/3T3に比べ、シスプラチンに対して最も強い耐性を示した。 2.EJ-NIH/3T3のシスプラチン耐性は、ras癌遺伝子発現によって直接誘導されることを、この癌細胞由来のフラット・リバータントR1細胞株を用いた薬剤感受性試験により証明した。 3.EJ-NIH/3T3およびR1細胞においては、NIH/3T3細胞に比べて、シスプラチンに対して、細胞内メタロチオネイン量およびグルタチオンS トランスフェラーゼ活性については各細胞間で差異は見られなかった。 4.v-K-rasまたはc-K-ras癌遺伝子で癌化させたNIH/3T3細胞は、NIH/3T3細胞に比べ、シスプラチンの取り込みや、Na,K-ATPase活性に差は見られず、シスプラチンに対して感受性を示した。 5.シスプラチン耐性の18A細胞にras癌遺伝子の抑制変異体116Yをトランスフェクションして得たフラット・リバータントF32/F33では、シスプラチン感受性が回復した。
|