研究課題/領域番号 |
05152016
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
清野 進 千葉大学, 医学部, 教授 (80236067)
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研究分担者 |
稲垣 暢也 千葉大学, 医学部, 助手 (30241954)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1993年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | ソマトスタチン受容体 / 腫瘍 / G蛋白質 / ソマトスタチンアナログ / 細胞増殖 |
研究概要 |
平成5年度では新たに2種類のヒトソマトスタチン受容体サブタイプのクローニング(SSTR4およびSSTR5)を行った。SSTR4とSSTR5はそれぞれ388個と364個のアミノ酸から構成されていた。検索し得たヒト種々の組織ではSSTR4,SSTR5 mRNAいずれも発現が認められなかったが、ヒト膵臓癌由来の細胞株であるMIA PaCa-2細胞で発現が認められた。これらの受容体を哺乳動物細胞であるCOS細胞で発現させ、ソマトスタチン-14(SS-14)や種々のアナログとの結合特性を検討した。SSTR4とSSTR5はSS-14とそれぞれIC_<50>が1.6nM,0.16nMの親和性が認められた。また、ソマトスタチン-28(SS-28)や種々のアナログとの結合能とIC_<50>で比較するとSSTR4に対してはSS-14=SS-28>RC-160>>SMS201-995,SSTR5に対してはSS-28>SS-14>>RC-160>SMS201-995の順であった。腫瘍増殖抑制とホルモン分泌抑制の目的で、すでに臨床応用されているSMS201-995は5つのソマトスタチン受容体サブタイプのうちでSSTR2と最も高い親和性を示し、ついでSSTR5とも親和性を有することが明らかとなった。従って、SSTR2が細胞増殖抑制作用を媒介する受容体であることが示唆された。種々の内分泌腫瘍で発現するソマトスタチン受容体サブタイプを同定した。グルカゴノーマの2例ではSSTR5を除きすべてのサブタイプの発現が認められた。インスリノーマの4例では発現するタイプが異なり、その発現に多様性が示された。褐色細胞腫の3例ではいずれもSSTR1とSSTR2の発現が認められたがこのパターンは正常副腎と同じであった。カルチノイドの例ではSSTR1とSSTR4のみ発現が認められた。臨床的にSMS201-995はグルカゴノーマの1例で有効、カルチノイドの1例では無効であったことから、SSTR2の発現の有無がこのアナログの薬理効果を決定する1つの因子であることが示唆された。現在、SSTR2を介する細胞増殖抑制におけるシグナル伝達を解析中である。
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