研究課題/領域番号 |
05152017
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
斉藤 隆 千葉大学, 医学部, 教授 (50205655)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1993年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 細胞周期 / G1サイクリン / G1アレスト / 増殖阻害 / 腫瘍T細胞 / TCRを介する活性化 / アポトーシス / サイクリン依存性キナーゼ |
研究概要 |
腫瘍T細胞を、T細胞レセプターを介して刺激することにより誘導される、増殖阻害と細胞周期の制御機構との関連を解析した。(1)活性化に伴ってG1期アレストが起こり、引き続きアポトーシスが誘導されるが、この際、細胞周期関連遺伝子が変化した。サイクリンE、D3は顕著に減少する一方、D2は逆に増加した。cdk2キナーゼも減少した。G1アレスト、増殖阻害に伴って、Rb蛋白は脱リン酸化が起こっていた。一方、アポトーシスが誘導されるにもかかわらず、この系ではc-mycは高発現のまま保たれ、直接係わってないことを示唆する。(2)活性化によって減少するサイクリンD3、Eおよびcdk2を構成的に高発現するトランスフェクタントを作製し、その細胞周期への影響を調べた。サイクリンD3、E導入細胞では、活性化に伴うG1アレストが阻止され、S期の増加も起こらなかった。一方、cdk2を導入しても変化なく、D3、Eは他のキナーゼと会合して増殖阻害を調節していると考えられた。機能的にも、実際にD3、Eの導入細胞では、活性化に伴う増殖阻害が抑制された。(3)腫瘍化していない正常T細胞クローンにおいても、IL-2存在下で増殖している際に、TCR刺激を受けるとアポトーシスを誘発するが、この時にも、G1アレスト、増殖阻害が先行することが判明した。G1サイクリン、キナーゼの解析より、腫瘍T細胞と同様に、活性化に伴って、サイクリンD3、Eが減少することが判明した。これらは、転写のレベルだけでなく、実際にサイクリンD3が減少することを抗D3抗体を用いて確認した。(4)即ち、T細胞の増殖における、TCRシグナルは、細胞増殖阻害をG1サイクリンを介して誘導し、引き続きアポトーシスを起こす。この細胞周期依存性アポトーシスは、Fasを介したアポトーシスが細胞周期非依存性であることと対照的で、G1サイクリン-キナーゼ会合の調節、TCRシグナルによる修飾などの分子機構を更に解明する必要がある。
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