研究概要 |
1)巨核球系細胞株(T-33)の分化誘導を各種リコンビナント造血因子を使っておこない、p2抗体による血小板糖蛋白llb/lllaの発現率をみた。T-33のclone17は無刺激で発現率が10%以下であったが、IL-6,IL-11,LIF,EDF,GM-CSFの10-100ng/mlおよびEpoの1-10U/ml添加後6日目において50-100%と増加した。TPAの前処置によってさらに増強された。これらのリコンビナント因子の混合添加によってもさらに増強された。この事実は巨核球成熟因子(MEG-POTENTIATOR,MEG-POT)が巨核球性白血病細胞の分化を誘導しうることを示している。チロシンキナーゼ阻害物質(Herbimycin)によっても発現率は顕著に増加した。多種類のMEG-POT因子を含む悪性中皮腫細胞株(T-85)の培養上清は同様の添加培養で極めて強い分化誘導能を示した。これは上清に含まれるMEG-POTの相乗作用によると思われる。 2)T-33の分化誘導をこれまではホルボールエステル(TPA)単独で行ってきたが、今回の実験で既知のリコンビナント因子も明瞭な分化誘導能を示すことが判明した。また正常の巨核球に作用するMEG-POTが白血病細胞の分化にも働くことも判明した。GI社が開発したMEG-CSFについては現在検討中である。 3)T-85細胞株のトロンボポエチン活性が既知のMEG-POT因子によるものか、あるいは新規の物質も関与しているのかについては、現在活性物質を精製中であるが、その後の追試でも上清を既知因子に対する抗体および結合蛋白で処理してもトロンボポエチン活性の約15%が残るのでこの点をさらに検討していくつもりである。
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