研究課題/領域番号 |
05152034
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
辻 勉 東京大学, 薬学部, 助教授 (00143503)
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研究分担者 |
山本 一夫 東京大学, 薬学部, 助手 (20174782)
今井 康之 東京大学, 薬学部, 助手 (80160034)
入村 達郎 東京大学, 薬学部, 教授 (80092146)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | インテグリン / VLA / 細胞接着 / 細胞運動 / 細胞外マトリックス |
研究概要 |
がん細胞の転移、浸潤などの挙動決定因子の一つである細胞接着分子、特に多くのがん細胞に発現の認められるVLA-3インテグリンの細胞運動性における役割をファミリーの他のメンバーと比較しながら検討した。 まず、wound法によりフィブロネクチンをコートした培養プレート上でのHT1080細胞あるいはWI38VA13細胞の水平方向の運動性(いわゆるハプトタキシス)を評価したところ、この運動は抗VLA-5抗体で抑制されたが、抗VLA-3抗体では影響を受けなかった。一方Boyden chamber法により同じ細胞の垂直方向への遊走能を調べたところ、いずれの細胞ともこの運動は抗VLA-3抗体で抑制されたが、抗VLA-5抗体では影響を受けなかった。これらの結果より、細胞の異なる運動形態には異なるインテグリン分子が関与していることが示唆された。さらに、この後者の方法を4回繰り返すことによってHT1080細胞を運動性の高いものおよび低いものとに分離した。これらをヌードマウスの尾静脈に注入し、4週間後の肺へのコロニー形成を調べたところ、運動性の高い分画は低いものに比べ、高いコロニー形成能を有することが明らかになった。このことより、VLA-3インテグリン依存性の細胞接着ががん転移において重要な役割を持つことが示された。また、VLA-3に対するモノクローン抗体を作製する過程で、ほとんどすべての抗体がVLA-3高発現細胞株の自己凝集を惹起することを発見した。この凝集反応は温度依存的で、二価金属イオン非依存的であった。この結果からVLA-3が細胞とマトリックスとの間のみならず、細胞間の接着にも関わっていることが示された。
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