研究課題/領域番号 |
05152060
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
日合 弘 京都大学, 医学部, 教授 (10073131)
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研究分担者 |
豊國 伸哉 京都大学, 医学部, 講師 (90252460)
福本 学 京都大学, 医学部, 助教授 (60156809)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1993年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | pre-Bリンパ腫 / 内在性ウイルス / Pre-B細胞 / 骨髄 / 多段階発癌 |
研究概要 |
リンパ腫好発系近交系マウスSL/Kh系の前リンパ腫期骨髄におけるB細胞分化を検討した。BP-1抗原陽性前B細胞が生後4-6週を中心に著明にポリクローナルに増殖し15-18週令ころより急速にモノクローナル増殖に転化した。他の大部分の近交系マウスでは前B細胞のレベルははるかに低かった。SL/KhとのF1では前B細胞の増殖がみられこの形質は遺伝的に優性とみなされた。SL/Khのリンパ腫発生には内在性レトロウイルスが必要であるが、前リンパ腫期の前B細胞の増殖にはウイルスは関与していないことがウイルス抵抗性遺伝子FV-4^Rcongenic C4WとのF1においても前B細胞の増殖があること、母系抵抗因子の投与によっても減少しないことから証明された。一方、放射線キメラを作成したところ、骨髄細胞ドナーによって前B細胞のレベルは決定されており、SL/Kh系の幹細胞の性質に基づくものと思われた。これらの所見から、SL/Kh系の前Bリンパ腫の発生は多段階過程を経て発生することが示された。 自然発生リンパ腫をみないNFS/N系とのF1、退交配系についてリンパ腫の発生、病型を観察し、プロウイルスとその発現、生化学的遺伝子マーカー、マイクロサテライトマーカーを全個体について解析した。すべてのリンパ腫の発生には内在性ウイルスのうちAkv-1(第7染色体)の存在と発現が必要であった。リンパ腫の発生は遺伝的に優性であるが、MHCと連関したEsl-1座位がSL/Kh由来のアレルを持つ場合には急性の前Bリンパ腫が発生し、第4染色体上のfoc-1座位がNFS/N由来の劣性アレルのホモの場合にはより成熟したB細胞腫瘍であるろ胞中心細胞リンパ腫が発生した。これらの所見はウイルスによる腫瘍の病型は宿主の遺伝的感受性により決定されていることを示すものである。
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