研究課題/領域番号 |
05152068
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 亀代次 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (80144450)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
1993年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
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キーワード | DNA修復 / 色素性乾皮症 / Znフィンガー蛋白 / DNA結合 / 遺伝子ターゲッティング / ES細胞 / モデルマウス / 発がん |
研究概要 |
A群色素性乾皮症の原因遺伝子(XPA遺伝子)をクローニングし、C4タイプのZnフィンガーモチーフを持つ273個のアミノ酸からなる親水性蛋白をコードする事を明らかにした。XPA遺伝子の機能を解析する為、大腸菌内でXPA cDNAを発現させ組換えXPA蛋白を精製した。ゲルシフト法、フィルター結合法でXPA蛋白のDNA結合能を調べたところ、XPA蛋白は何も処理していないDNAにも結合したが、紫外線(UV)、シスプラチン、AAF、OsO4処理したDNAにはより多くのXPA蛋白が結合し、XPA蛋白は種々のDNA障害を認識する機構に関わる蛋白である事が示唆された。ついで、αキモトリプシンによる部分分解とUV照射したDNAをプローブに用いたサウスウエスタン法、さらに、N末端アミノ酸シークエンス法により、XPA蛋白のDNA結合ドメインを決定した。C4タイプのZnフィンガードメインを含む約20kDaの短縮XPA蛋白で完全長のXPA蛋白と同等のDNA結合能が認められた。従って、XPA蛋白のC末端はDNA結合能には関与せず、他のDNA修復機能に関与すると考えられた。事実、C末端は種間でよく保存されていた。この部分は、DNA除去修復過程において、XPA蛋白が他のDNA修復蛋白と結合するドメインではないかと推測した。事実、幾つかの蛋白がこの領域を含む部分でXPA蛋白と結合した。また、XPA蛋白がERCC1、XPB、PCNAと結合する事も明らかにした。一方、ES細胞を用いた遺伝子ターゲッテイング法によりXPA欠損マウスを樹立した。このマウスは形態上あるいは行動上明らかな異常を認めないが、XPA欠損マウス由来の繊維芽細胞は、A群XP細胞と同様にUVに高感受性を示し、DNA除去修復能は欠如していた。さらに、化学発癌剤DMBAをXPA欠損マウスの皮膚に塗布すると、一週間後に強い潰瘍が形成され、一ケ月後にはその部分にパピローマが発生した。正常およびヘテロ接合体マウスでは潰瘍はみとめられず、パピローマの発生も低頻度でずっと後期になって認められるのみであった。このマウスは発癌性に関してXPの良いモデルになると思われた。
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