研究課題/領域番号 |
05152069
|
研究種目 |
がん特別研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中川 八郎 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (20029937)
|
研究分担者 |
相沢 慎一 理化学研究所, ライフサイエンス筑波, 副主任
岡田 雅人 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (10177058)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | Srcキナーゼ / Csk / チロシンキナーゼ / 遺伝子破壊 / がん遺伝子 / 形質転換 / 情報伝達系 / トランスデューサー |
研究概要 |
Src関連チロシンキナーゼは、情報伝達系でトランスデューサーとして機能すると考えられているが、その本来の存在意義は未だに明らかでない。一方でSrcキナーゼは特定のチロシン残基のリン酸化、脱リン酸化によって活性調節されることが知られ、情報伝達のスイッチオン、オフに関わっていると考えられている。我々は、主にオフを司る特異的なチロシンキナーゼCskを発見し、その機能解析を進めてきた。最近では、相同組換え法によってCskを欠損したマウスの作製に成功し、CskがSrc型キナーゼの必須の制御因子であることを証明した。本研究では、Csk欠損マウスより細胞を株化し、個体で見られた異常(胎児の発達不全、細胞死などの)の分子レベルでの解析を行った。Csk欠損のみでは細胞を不死化出来なかったので、がん抑制遺伝子p53を欠損したマウスと交配して、Csk-p53欠損マウス胚より細胞株を樹立した。Csk欠損細胞では、Src型キナーゼの著しい活性化がみられ、それに伴って以下のような形質が観察された。1)細胞内蛋白質のチロシンリン酸化レベルの亢進が認められ、特にコルタクチン、パキシリン等の細胞骨格系と関連した蛋白質のリン酸化が顕著であった。2)アクチンストレスファイバーの形成が不全であり、細胞外基質との接着が弱い傾向を示した。3)増殖に対して接着阻害効果が見られるが、Csk発現細胞に比べてかなり高密度に増殖した。4)しかし、ソフトアガー中で有意なコロニー形成能は示さなった。これらの形質は、細胞が部分的ではあるが形質転換していることを示していた。また、Csk欠損によりSrcの発現の著しいダウンレギュレーションが見られ、完全な形質転換が抑制されている原因の一つと考えられた。現在、これら細胞で得られた情報の生体レベルでの確認を進めている。
|