研究課題/領域番号 |
05152075
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
杉野 明雄 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (90231737)
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研究分担者 |
川崎 泰生 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (30243257)
荒木 弘之 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (20151160)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1993年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 染色体DNA複製開始 / protein kinase / 出芽酵母S.cerevisiae / CDC7 / DBF4 / CDC7 homolog / Northern hybridization / 細胞周期 |
研究概要 |
がん化の過程で重要と考えられる染色体DNA複製開始の調節に関する研究は殆ど進んでいない。その大きな理由の1つに高等動物細胞に於ける染色体DNA複製に関与する突然変異株がなかなか得られないところにある。一方単細胞であるが真核細胞の性質を備えている酵母は、遺伝学が非常に進んでいて、また容易に染色体DNA複製開始に関する突然変異株が得られる。また、最近の多くの研究から、生命にとって基本的な細胞周期、シグナル伝達やDNA複製の過程は酵母からヒト細胞に至るまで根本的に同じであることが明らかになりつつある。従って本研究は、酵母突然変異株を相補するヒト染色体DNA複製開始を制御している遺伝子の単離を試みた。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)に於てG1からS期開始直前に必須な遺伝子としてセリン・スレオニン残基をリン酸化するprotein kinaseをコードしているCDC7が知られている。またCDC7 protein kinaseと複合体を形成し、protein kinaseを活性化しているDBF4遺伝子が知られている。そこでS.cerevisiae温度感受性突然変異株cdc7とdbf4を用いてヒト細胞よりCDC7とDBF4のhomologの単離を試みた。しかし残念ながらこの相補法では機能的に相同性のある遺伝子は現在まで得られていない。一方、CDC7 protein kinaseに特徴的なアミノ酸配列を基にして合成したoligonucleotidesをprimerを用いHeLa細胞より調整したmRNAをtemplateにしてPCR法によってDNA断片を増幅し、その塩基配列を決定した。この内の1つのDNA断片塩基配列より予想されるアミノ酸配列がS.cerevisiaeのCDC7のアミノ酸配列に非常に高い相同性を示した。従ってこの断片をprobeにして完全長のcDNAを単離した。このcDNAより予想されるアミノ酸配列はCDC7のアミノ酸配列と比較する全体で40%の相同性を示した。従ってこのcDNAはCDC7のヒトhomologをコードすると結論した。このcDNAをprobeにしたNorthern hybridization結果、予想通り、この遺伝子はG1とS期の間で発現していることが明らかになった。現在、この遺伝子産物に対する抗体を作製中であり、それを用いて今後この産物が本当にprotein kinaseであり、その活性がG1/S境界で上昇することを明らかにする予定である。
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