研究課題/領域番号 |
05152076
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷口 直之 大阪大学, 医学部, 教授 (90002188)
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研究分担者 |
西河 淳 大阪大学, 医学部, 助手 (30218127)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1993年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | 癌転移能 / 細胞接着 / N-アセチルグルコサミン転移酵素III / マウスメラノーマ細胞 / レクチン / 糖鎖構造 |
研究概要 |
細胞表面の糖鎖の構造は、細胞間認識あるいは細胞接着などに重要な役目をはたしている。癌細胞においては、この表面の糖鎖構造、特に枝分かれ構造が多くなった糖タンパク質糖鎖の出現と転移能との間に深い関連があることが明らかになってきた。 我々は、酵素の精製、クローニングに成功したN-アセチルグルコサミン転移酵素III(GnT-III)の遺伝子を、マウスメラノーマ細胞株B16F1に導入してGnT-IIIをpermanentに発現するmutant細胞株を樹立し、これらの人工的に細胞表面糖鎖構造を変化させた細胞をマウスに静注し、各細胞株の転移能を検討した。GnT-III遺伝子による糖タンパク質糖鎖の変化をレクチンブロット解析したところ、GnT-III遺伝子導入細胞では、GnT-IIIの反応生成物であるbisecting GlcNAc構造を認識するE-PHAレクチンの反応性増加が認められていたことから、GnT-III導入は明らかに細胞糖鎖を変化させることが判明した。さらにGnT-IIIの遺伝子が導入されて活性の高い細胞は、GnT-IIIの活性が発現していない細胞に比較して、有意にその転移能が低下していた。このGnT-III発現細胞と非発現細胞の間で、明らかな細胞増殖能の変化などは認められなかったことから、この癌転移実験系ではGnT-IIIが細胞表面の糖鎖構造を変化させ癌転移能を抑制したものと考えられる。
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